ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(何食わぬ顔、夕焼けの虹、化石になりたい)

2025/09/05 15:27
「恐竜時代からやり直したら?」
水をぶっかけられ、学生鞄はひっくり返され、散々笑われて帰宅を促すチャイムが鳴る。いじめっ子は帰っていった。私ははじまりからおわりまで、何食わぬ顔で過ごしたが、1人になるとほっとして、でも泣かぬように唇を引き締めた。水を含んだシャツが重くて肌寒い。身震いして、くしゃみをひとつ。
(恐竜時代からやり直したら?)
いじめっ子の声を反芻する。別段、悪いことでもないなと思う。恐竜時代からやり直すなら、こんな生活とは無縁だろうし。化石になって、子供にロマンを振り撒くなんて素敵。化石になりたい。子供は好きだもの。好きなのにな。子供と大人の狭間の人間が、許しがたく嫌いだ。
(化石になりたい)
醜い言葉を吐き出してしまう前に、化石になってしまえたら。顔を上げて窓の外を見た。燃える夕焼けに虹がかかっていて、あっけにとられた。急に肩の力が抜けた。まだ、大丈夫。お天道様が見てらっしゃる。それでいい。それだけでいい。1人を終わらすにはまだ早いから。

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