ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(雷鳴、ガラス片、秘密)

2025/09/02 10:31
雷鳴を切り裂く仕事をしてるってことは、家族には秘密にしていたのに。だって、3K(きつい、危険、起死)とよく騒がれている仕事だ。家族仲は悪くはない、のだが、母親が少しヒステリックで過保護だから、弟にだけ話して、おしゃべりな父親にも黙っていた。まさか切り裂いた雷鳴が運悪く実家の窓ガラスを割ってしまうなんて。ガラス片が飛び散って、私怖くて怖くて!母さんが電話口で騒いでいる。担当地区でのこういった事故は、担当者が直接詫びに行かねばならない。こんな形でカミングアウトになるなら、早めに多少強引にでも納得させてあげるべきだった。ため息をひとつ吐く。でも、1番守るべき俺の家族のことだから。もう逃げないでちゃんと話をするさ。幸い、弟はとても賢いから。俺をフォローして話してくれるはずだ。
「母さん、今から片付けに行くから。落ち着いて休んでいて」
母さんは涙声で頷くと、電話を切った。俺は空を見上げた。雷鳴が嘘だったように、黄昏に金星が輝き出していた。

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