ここに分類不可の三題噺を置きます。
3-2-1 ストレッチ(ラストは乙夜影汰)
2025/08/12 11:29鮮やかなマゼンタに美味しくなるようにレモネードを混ぜた。世界の終わりのその先を奏でる音楽を、バイクが轢き殺して進んでいく。色をぶちまける余裕があるうちに、この世界からの出口を見つけなくちゃ。食べかけのレモネードを投げ捨てて、誰にもバレない静かに進んだ。
フロアには軽快でナンパなナンバーが鳴り響いている。用意だけされたドレスを纏って、プールの淵でカクテルだけ煽る。数合わせだかチケットノルマだか知らないけれど、退屈なのは承知しないわね。私はワイングラスを逆さまにして、酔ったそぶりでエントランスへ。誰も声をかけてこない、これがこの場所の価値よ。私には必要のなかった場所。そうと決まれば、逃げるのが大正解。夜の大通り、私という蝶々は眠りを知らないのよ。
明け方から砂浜をまっすぐに歩いていた。灰色の砂だから、海は青とは呼べなかった。ずっと、まっすぐに。
「死にたいの?」
女の子の鋭い声で、身体が固まって混乱する。声の方を見れば、おや、なぜか砂浜が遠い。
「そのうち潮が満ちて、そこは足が届かなくなるわよ」
「そうなのか」
「死にたいの?」
女の子が険しく、鋭く言うもんだから、僕は気付いてしまった。
「君がそうやって険しく願い続けるなら、君はもう死にたくはならない」
「なっ」
「今日、死にたかったんだよね。もう大丈夫。きっともう死にたくはならないよ」
僕が笑うと、女の子は仏頂面のまま海に入り、僕の腕を引いて砂浜に引き戻した。
「今日は都合が悪かったわ」
「死ぬのに都合のいい日なんてないよ。毎日祝福でから騒ぎじゃない」
女の子は僕を見て、ため息を吐いて。眉間の皺は、柔くなった。
「あ、助けてくれてありがとう」
素直にこぼせば、ようやっと2人で笑い合えた。
(乙夜影汰)
鍵のかかってない部屋ばかり選んで進んできたら、遂には行き止まりになってしまった。ガラス張りで外が見えるのがいやらしいな。でもって、ゲームオーバーってやつ?でもここにきてお腹も減らないし眠くもねぇから、とりあえず脱出した方がよくね、と思って歩いてきたんだけど。
『37番、乙夜影汰さん。扉を選んでください!』
「いや扉を選んで進んできたっしょ。鍵開けなかっただけで」
『開けたくなる扉がなかった?』
「そゆこと〜」
アナウンスは黙りこくった。うーんでも、どれでもいいから開けろって言われそうだなぁ。俺は彷徨いて、開けやすそうな扉を探す。
『ちょっと待って、壊そうとしてますよね?』
「あ?それのが早くね?」
『鍵、ちゃんと用意してあるんですよ?』
「ありゃ、そうなの?そいつぁ失敬」
俺は言われた通りに動くふりをして、見つけてきたバールで思いっきりガラスをぶち抜いた。アナウンスは拡声器の奥でひっ、っと悲鳴を上げていた。え?誰でもこうするっしょ?外がすぐそこにあるんだぜ?部屋篭るなんてナンセンス。うるへーよ世界、俺のむーゔにじょいんしとけって。
フロアには軽快でナンパなナンバーが鳴り響いている。用意だけされたドレスを纏って、プールの淵でカクテルだけ煽る。数合わせだかチケットノルマだか知らないけれど、退屈なのは承知しないわね。私はワイングラスを逆さまにして、酔ったそぶりでエントランスへ。誰も声をかけてこない、これがこの場所の価値よ。私には必要のなかった場所。そうと決まれば、逃げるのが大正解。夜の大通り、私という蝶々は眠りを知らないのよ。
明け方から砂浜をまっすぐに歩いていた。灰色の砂だから、海は青とは呼べなかった。ずっと、まっすぐに。
「死にたいの?」
女の子の鋭い声で、身体が固まって混乱する。声の方を見れば、おや、なぜか砂浜が遠い。
「そのうち潮が満ちて、そこは足が届かなくなるわよ」
「そうなのか」
「死にたいの?」
女の子が険しく、鋭く言うもんだから、僕は気付いてしまった。
「君がそうやって険しく願い続けるなら、君はもう死にたくはならない」
「なっ」
「今日、死にたかったんだよね。もう大丈夫。きっともう死にたくはならないよ」
僕が笑うと、女の子は仏頂面のまま海に入り、僕の腕を引いて砂浜に引き戻した。
「今日は都合が悪かったわ」
「死ぬのに都合のいい日なんてないよ。毎日祝福でから騒ぎじゃない」
女の子は僕を見て、ため息を吐いて。眉間の皺は、柔くなった。
「あ、助けてくれてありがとう」
素直にこぼせば、ようやっと2人で笑い合えた。
(乙夜影汰)
鍵のかかってない部屋ばかり選んで進んできたら、遂には行き止まりになってしまった。ガラス張りで外が見えるのがいやらしいな。でもって、ゲームオーバーってやつ?でもここにきてお腹も減らないし眠くもねぇから、とりあえず脱出した方がよくね、と思って歩いてきたんだけど。
『37番、乙夜影汰さん。扉を選んでください!』
「いや扉を選んで進んできたっしょ。鍵開けなかっただけで」
『開けたくなる扉がなかった?』
「そゆこと〜」
アナウンスは黙りこくった。うーんでも、どれでもいいから開けろって言われそうだなぁ。俺は彷徨いて、開けやすそうな扉を探す。
『ちょっと待って、壊そうとしてますよね?』
「あ?それのが早くね?」
『鍵、ちゃんと用意してあるんですよ?』
「ありゃ、そうなの?そいつぁ失敬」
俺は言われた通りに動くふりをして、見つけてきたバールで思いっきりガラスをぶち抜いた。アナウンスは拡声器の奥でひっ、っと悲鳴を上げていた。え?誰でもこうするっしょ?外がすぐそこにあるんだぜ?部屋篭るなんてナンセンス。うるへーよ世界、俺のむーゔにじょいんしとけって。
