ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(水に濡れた手紙、午前4時のバス停、すれ違う足音)一次創作

2025/08/09 08:18
「朝日の間に合わない時刻、あの廃れたバス停は深海行きになるらしい」
そんな馬鹿げた話を、片足一個分だけ信じてやってきたが。宵が足りなかったようで、そこには寂れた看板と朽ちかけたベンチがあるだけだった。もうすぐ、朝になる。指に挟んだ1通の手紙。沈む瞬間まで、手を離れる感触まで、午前4時のバスに乗れば、手に残るかもしれないと。情けない話だ、マッチで燃やしてしまった方がいいだろうに。俺は顔を上げて、朝霧の深い山の空気を吸う。立ち上がれば、視界が回る。慌てて手紙をポケットに突っ込んで。もう一度瞬きをすれば、すれ違う足音が耳に帰ってきて。大都会の真ん中にいた。手紙は、なくしていた。俺は声もあげずに涙し、手紙の代わりに突っ込まれていた、辞めたはずのタバコに火をつけた。

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