ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(軋むベッド、灯台、モノクロ写真)ワールドトリガー
2025/08/05 18:58雨が降ると、保栄が外へ向かう。雨の空を見上げて、額に手をかざして。止めてほしいのか、一緒に来てほしいのか。幾度か繰り返されるやり取り、答えを知らないまま、私は出入り口に身体を預ける。
「…………つらい?」
「いいや。今だって鮮明に思い出せるさ」
モノクロの写真は、保栄の父親がアートデザイナーだった証。カラーのものもある。けれど、保栄が選んで身に寄せたのはモノクロの方だった。
「忘れられないのも、つらいでしょう」
「忘れたところで、灯台を見失えばそれ以上に地獄だ」
保栄は写真を胸元にしまって、こちらに戻ってくる。同時に、警戒区域のどこかでアラートが鳴り響く。
「さて、仕事しようか琴羽ちゃん」
「…………そうだね」
保栄のためにメイキングした軋むベッドは、どうでもいいことになった。どうでもいいことを、いくつ繰り返せるか。それを愛と呼ぶのではないだろうか。洒落てみた。似合わない。私はオペレーターマイクを手に取った。明瞭な声で、はっきりと情報の伝達を。終わりが欲しいのか、続きが欲しいのか。曖昧なまま、この街は騒ぎ続けている。
「…………つらい?」
「いいや。今だって鮮明に思い出せるさ」
モノクロの写真は、保栄の父親がアートデザイナーだった証。カラーのものもある。けれど、保栄が選んで身に寄せたのはモノクロの方だった。
「忘れられないのも、つらいでしょう」
「忘れたところで、灯台を見失えばそれ以上に地獄だ」
保栄は写真を胸元にしまって、こちらに戻ってくる。同時に、警戒区域のどこかでアラートが鳴り響く。
「さて、仕事しようか琴羽ちゃん」
「…………そうだね」
保栄のためにメイキングした軋むベッドは、どうでもいいことになった。どうでもいいことを、いくつ繰り返せるか。それを愛と呼ぶのではないだろうか。洒落てみた。似合わない。私はオペレーターマイクを手に取った。明瞭な声で、はっきりと情報の伝達を。終わりが欲しいのか、続きが欲しいのか。曖昧なまま、この街は騒ぎ続けている。
