ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(青い鍵、診察室、ひとつだけの嘘)

2025/08/03 19:11
青い鍵がひとつ、鳥籠の格子に引っ掛けてある。開け方などは、とうに知ってる。僕はつまらなく見えるよう、鍵を突き倒し、蹴飛ばした。
「おやおや、なにが気に入らない?他の子はみんな外へ出たのに」
顔も知らない他の連中のことなど、信じない。彼らが上手く飛び立ったなんて話は、こいつの口から聞いたことがないからだ。青い鍵と、空は同じ色をしているよ。俺が興味を持つように吐かれたひとつだけの嘘。隣のカナリアが引っかかった嘘。嘘だらけなんだよなにもかも。空は青い、けれど夜になれば暗闇に怯えるのだろ?世界の真実に打ちひしがれてるんじゃねぇんだ俺は。嘘を吐かないと旅立たないと思われてるのが癪なのさ。
「この子も、もういいかね」
研究者のぼやきを聞いた。じゃあそうだな、旅立つ日は今夜にしようか。星の並びを覚えて、俺の旅立ちの星座としよう。風も空気も、俺が飛び立つために初めからあった。

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