ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(片方だけ濡れた靴、夜行バスの休憩所、青いリボン)※優しいけど怪談です

2026/09/30 21:22
夜行バスの休憩所で、青いリボンを探す。擦り切れているかもしれない、汚れて色が変わっているかもしれない。それでも今宵も、青いリボンを探す。自分の靴が片方、濡れている。覚えがないが、気にしない。夜行バスに乗る人は皆々様誰も私には興味がない。重たい荷物を持って、追々夜行バスに乗り込んでいく。私は何故か、夜行バスの休憩所から出ることが出来ない。青いリボンを探さなければ……
シャン
錫杖の音が耳に響き、動きを止めた。こんな時間なのに、お坊さんが私を睨んでいる。シャン、シャン。錫杖の音が近付いて、後退さる。お坊さんがお経を唱え始めると、目の前が白く明るくなった。光のハシゴをあの子が登っていく、青いリボンを揺らして。
「今行くね」
娘の背を追いかけて、私はここを去った。私たち親子になにがあったのかは、するするリボンが解けるように地面に落ちていった。

「南無阿弥陀」
数珠をしまい、休憩所に腰をかける。数年前、ここの近くに夜行バスの大きな事故があった。幼い娘さんは即死だったが、母親は血みどろになりながらここまで来て……搬送先で亡くなったと聞く。当時、ニュースを見て大変痛ましく思っていた。そのあとから、この休憩所で怪奇現象が続いている、という話も聞き及んだ。今日ちょうど、近くで法事があって赴いた。これもなにかの縁と思い、立ち寄ったのだ。母親の霊は腰のあたりから片足が、靴まで血で濡れていた。

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