ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(白紙の切符、猫背の彗星、薄荷の飴)
2025/11/27 11:55「人生とは、白紙の切符を握りしめて進み、最期の日にようやっと行く先を書く権利を得るものなんだ」
おしゃべり猫はそんな御伽話を語る。大きなあくびで、鋭い歯が見える。「お前のことを食いちぎる牙だ、歯だなんて弱そうな言い方はよせよ」昔、歯を撫でてやったらそう言って不機嫌になった。猫の所有者は、一応僕になるのだろうか。猫は僕の部屋で暮らしている。しなやかな身体を見せつけるように、なーなーと足元に転がって。身体がうねるたびに、つやつやの毛並みが光を反射して、とても美しい。猫はその毛並みを誇らしげに歩くが、僕が週に一度風呂に入れてやり、ブラッシングまでしてやってるからのことだ。
「今日、お前の家の窓から彗星が見えるよ。猫背のような曲線を描き、薄荷色に輝いた彗星が」
猫は後ろ足で立ち上がり、窓にコンコンと爪を立てながら、そんなことを言う。部屋は綺麗に整理整頓している。この窓が大きすぎるくらいだから、太陽に盗み見られるんじゃないかって気が気でなくてね。猫が暮らすにも、物はあまり置かない方がいいんだ。爪を立てて窓のガラスをシャッシャッと鳴らすので、窓を開けてやる。冷え込んだ空気が滑り込んできて、身震いをした。それは猫も同じようで、窓から一度顔を出して、引っ込めた。窓を閉める。
「今日はずっと、部屋にいることにした。枕になってくれ」
「仕方がないな」
猫を膝の上に乗せ、温かい玄米茶を淹れた。薄荷の飴を口に含んで、のどをケアする。猫背の彗星とやらは、何時に現れるのだろうか?自分の背中も丸まっていた。大きく伸びをして、あくびをする。歯並びは猫と全く違う。飴を噛み砕いた。玄米茶の湯気を吸い込んで、手のひらを見る。ポケットも探す。白紙の切符なんて、持ち合わせていない。でももし、持っていたらなんて書こうか。彗星を待ちながら、新世界へ。猫を優しく撫でたら、寂しくなった。出発が、まだもう少し先でありますように。
おしゃべり猫はそんな御伽話を語る。大きなあくびで、鋭い歯が見える。「お前のことを食いちぎる牙だ、歯だなんて弱そうな言い方はよせよ」昔、歯を撫でてやったらそう言って不機嫌になった。猫の所有者は、一応僕になるのだろうか。猫は僕の部屋で暮らしている。しなやかな身体を見せつけるように、なーなーと足元に転がって。身体がうねるたびに、つやつやの毛並みが光を反射して、とても美しい。猫はその毛並みを誇らしげに歩くが、僕が週に一度風呂に入れてやり、ブラッシングまでしてやってるからのことだ。
「今日、お前の家の窓から彗星が見えるよ。猫背のような曲線を描き、薄荷色に輝いた彗星が」
猫は後ろ足で立ち上がり、窓にコンコンと爪を立てながら、そんなことを言う。部屋は綺麗に整理整頓している。この窓が大きすぎるくらいだから、太陽に盗み見られるんじゃないかって気が気でなくてね。猫が暮らすにも、物はあまり置かない方がいいんだ。爪を立てて窓のガラスをシャッシャッと鳴らすので、窓を開けてやる。冷え込んだ空気が滑り込んできて、身震いをした。それは猫も同じようで、窓から一度顔を出して、引っ込めた。窓を閉める。
「今日はずっと、部屋にいることにした。枕になってくれ」
「仕方がないな」
猫を膝の上に乗せ、温かい玄米茶を淹れた。薄荷の飴を口に含んで、のどをケアする。猫背の彗星とやらは、何時に現れるのだろうか?自分の背中も丸まっていた。大きく伸びをして、あくびをする。歯並びは猫と全く違う。飴を噛み砕いた。玄米茶の湯気を吸い込んで、手のひらを見る。ポケットも探す。白紙の切符なんて、持ち合わせていない。でももし、持っていたらなんて書こうか。彗星を待ちながら、新世界へ。猫を優しく撫でたら、寂しくなった。出発が、まだもう少し先でありますように。
