ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(合鍵、湿気、水たまり)

2025/11/25 13:49
湿気が運ぶ、雨の気配。あの子の家が近い。雨宿りに顔を出そうかと思ったけれど、そうか。合鍵、引き千切るように返されたんだった。今どうしてるかなんて、聞けない立ち位置になったんだった。水たまりに足を突っ込んでしまう。靴に水が入りつま先が冷え込んでいく。水たまりは波紋が落ち着くと、情けない顔の僕を映して、雨の訪れを教えてくれた。歪み揺れる僕の顔。雨はこれから酷くなるだろう。早足で家に帰る。ひとりぼっちの我が家に。鍵は1本になったから、開けるときに迷うこともない。ガチャリ。開いた扉から香る匂いは、あの子の家のように華やかではないけれど。ふっと笑った。深く息を吐いて。大丈夫。湿気は乾燥機で飛ばして、部屋干しになるけど洗濯を回そう。濡れた靴下を脱いで、窓のカーテンを開けた。嵐はここには届かない。

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