ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(透明な傘、電車の発車ベル、ミルクキャラメル)
2025/11/23 15:35都会に出る僕を、威嚇するような透明な傘。君が泣けば、僕は決意を変えると思ったのかい。そういう遠回しなわがままが、本当に嫌でした。最初の頃は、可愛らしかったけれど。君は境界線を間違える人でした。ばいばい、さよなら。僕は都会で、なにも思い出さずに生きるでしょう。故郷には、育ててくれた父母に危機が迫った時くらいしか、帰らない。それすら、父母は寂しそうにはしましたが、なにも言わずに送りだしてくれました。それなのに、君ときたら。透明な傘はうざったく、君の表情を透かします。顔に落ちる雨粒を、涙と勘違いして君は泣き、僕の袖を掴む。電車の発車ベルが鳴り、振り払った。遠ざかる故郷の風景。ずっと君は僕を見ていた。山が焼けるように夕陽が落ちる。ポケットの中のミルクキャラメルは、溶けかけていて。少し銀紙を剥がすのに手こずりながら、口に運んだ。甘さが口の中を支配して。ほっと、息を吐いた。甘い日々は終わったけれど、今だけはキャラメルの香りに寄りかかって、未来を夢見てもいいだろうか。
