ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(ミルククラウン、飛び地、うそ泣き)
2025/11/12 21:43誰からも忘れ去られた飛び地の上で、ミルククラウンを作り続けている。今日もどこかで注がれるミルクのために。萎びてカサカサとした手の甲の、赤髭を蓄えた男はそうだと信じていた。そんなことはやめてくれ、君には炭鉱で石炭を掘り起こして欲しいんだ、頼むよ。うそ泣きで頼むひ弱なメガネの男の話には、耳を貸さなかった。石炭は儲かるよ、金に困ってはないかい?困ってはいないね。男は、午前中のミルククラウン作りが終わると、自分のためだけのカフェラテを淹れて、大事に飲む。小鳥がさえずり、木々の間をガサガサと飛び交う。小鳥はいつだって飛んでいるわけでない。どんなものにもひと休みが必要。だから、世界に優しさを注ぐこの仕事は、必要なのだ。男はそう、信じている。午後になる前に、魚を釣って焼いて食べよう。男は釣竿を取り出して、川に糸を垂らす。寒いが日差しの心地よい、風の小さなある日。
