ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(スーツケース、アールグレイ、記念切符)
2025/11/04 20:57ポットで用意されたアールグレイは、とっくのとうに冷めてしまっている。砂糖の溶けなくなったそれは、今の私の気分のように渋い。帰ってしまうにも、大きなスーツケースが邪魔だ。記念切符に印字された出発時刻を見る。全てどうでもよくなるような、過去の時刻。癪だからポットの中、残った紅茶に浸してしまって。もうこの話は終いにしましょう。外はいい天気だ、どこかの宅配センターを見つけて、スーツケースは家に届けてもらいましょ。
「…………みのり!!」
秋に名付けられた、私の名前が聞こえる。振り向く私は、ただの馬鹿な女ね。スーツケースを容易く彼に預けて、切符は買い直して。旅行先では、高級なアフタヌーンティーでもいただこうかしら。あんなに怒ってたはずなのに、私は彼に理由は聞かない。けれど、訳は細かく話さずとも、精一杯に頭を、何度も何度も下げる彼を、許すしかないじゃない。
「飛行機で飲むかと思って」
手渡されたペットボトルのアールグレイ。私は上機嫌で、封を開けて飲んだ。彼がいてもいなくても、旅はドラマだ。そのことが1番大事に思う。
「どこから行きましょうか!」
「みのりちゃん、まだ飛行機にも乗ってないんだよ?」
顔を見合わせて笑う。どこへでもいい。1人で生きていけるけれど、この人の側にいたいのだ。アールグレイの香りは、さっき1人で飲んでいたより濃く香った。
「…………みのり!!」
秋に名付けられた、私の名前が聞こえる。振り向く私は、ただの馬鹿な女ね。スーツケースを容易く彼に預けて、切符は買い直して。旅行先では、高級なアフタヌーンティーでもいただこうかしら。あんなに怒ってたはずなのに、私は彼に理由は聞かない。けれど、訳は細かく話さずとも、精一杯に頭を、何度も何度も下げる彼を、許すしかないじゃない。
「飛行機で飲むかと思って」
手渡されたペットボトルのアールグレイ。私は上機嫌で、封を開けて飲んだ。彼がいてもいなくても、旅はドラマだ。そのことが1番大事に思う。
「どこから行きましょうか!」
「みのりちゃん、まだ飛行機にも乗ってないんだよ?」
顔を見合わせて笑う。どこへでもいい。1人で生きていけるけれど、この人の側にいたいのだ。アールグレイの香りは、さっき1人で飲んでいたより濃く香った。
