ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(レシート、水音、嘘)

2025/10/22 21:06
ふぃーー……今日も今日とて疲れた。玄関先で革靴を放り出すと、手早く着替えてしまって、洗濯機を回す。スーツが社会人の戦闘服だとか言うが、俺は洗濯機でフツーに洗うぞ。洗濯機は水音と言うよりは、ガッタンゴットン電車が走るような音を出している。今度ボーナス来たら買い換えるか……と思考した途端に静かになる。怖。
冷蔵庫から缶ビールを取り出して、買ってきたスーパーの惣菜と合わせる。今日の業務を振り返る。やはり接待ついでに自分も美味しい飯(ステーキ)にありつけるのは、いいもんだ。最高ー!!胃がもたれているから、つまみはあっさりめのを選んできた。俺も歳なんかな……歳といえば、俺もそろそろ結婚がしたいな。同期はさして興味がないようで、多様性の世の中にぽかーんと言葉なく暮らしている。いや、いいと思うよ多様性。よく分からんけど。洗濯機の稼働音が止まり、ピーッピーッと鳴いている。俺は缶ビールを飲み干すと、洗面所に向かって洗濯物を取り出す。途端、綿のような白いものが散る。
「おわっ!?!?」
どうやら、ポケットティッシュを一緒に洗っちまったらしい。どえらいこっちゃ。スーツのズボンのポケットをひっくり返すと、白い短冊のようになったレシートが出てきた。インクはなにもかも流れ落ちている。接待の証拠!!
「今日のステーキ!!落ちねぇよこれ!?」
いや、インクは落ちた。そうじゃねぇよ、経理通らんよこれじゃ!?経理の都ちゃんは優しいけど……これは無理じゃねぇ??なんて嘘吐こうか……いや、むしろこれをダシにお近づきに??いやいやいやいや。
「とりあえず、洗濯やり直しだこれ……」
洗濯槽に注がれる水音が、なんだかやるせない。嘘吐かず、正直に話すか。正直ものは救われんだろ。はぁ。「洗濯機で回しました」の証拠に、まっしろなレシート。財布にしまった。今度からはいつでも財布にしまうことにしよう。そうしよ。

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