ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(影、切符、記憶喪失)
2025/10/15 13:05影が勝手に動く。吊られるようについていく。影に逆らえない。どうしてこうなってしまったのだろう。握りしめた切符の、行き先さえ読めない。街中の看板も駅名も、なにもかも。影に話しかけてもみた、周囲の人たちが僕を避けるように歩いていく。僕の気持ちに関係なく、影がご機嫌に踊るから、僕も踊らされる。今度は少しの人垣が生まれて、投げ銭をされた。お金にも見覚えがない。影は駅の方へ、切符が改札に吸い込まれて。どこへ連れて行かれるのだろう。記憶が、ない。記憶喪失。僕は誰?そんなことすら。この頭に描いている文字は、何語なのか?故郷はどこか?恐怖も焦燥も置き去りに、影は進む。深呼吸すると、強烈な眠気に襲われた。夢なら、夢ならばいいな。景色がゆっくり闇に呑まれて、影は消えていく。僕はほっとして、気持ちを緩めて眠った。目覚めが遠くても、それでもいいかと思った。
目が覚めて、握りしめた切符の文字が読めない。どういうことだろう。僕は誰?
「おかえり」
耳鳴りのような声で、それだけ聞こえた。
目が覚めて、握りしめた切符の文字が読めない。どういうことだろう。僕は誰?
「おかえり」
耳鳴りのような声で、それだけ聞こえた。
