ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(マイクスタンド、飛び石、風の抜け道)
2025/10/09 08:58誰も立たないマイクスタンドを、探して旅をしている。誰も立たないとは、誰も立ったことがないということだ。強い風が吹く。よたよたと歩く。風に勝てないようでは、見つからないだろうか。風の抜け道を通っても、星空の夜を渡っても、見つからないのだ。河原にやってきた。飛び石が敷いてある。僕は知らないふりをして、ざふ、と川に足を踏み入れる。飛び石を踏まずに、歩いていく。歩いても歩いても、向こう岸につかないことに気づく。飛び石の上に座った。途端、気分が良くなって歌を歌う。歌詞なんかめちゃくちゃだけれど、それが今の僕なのだと思った。しばらく、そこで歌っていた。帰ろうと振り向けば、飛び石が見えなくなるほどの濃い霧。僕は少しだけ途方に暮れて。ゆっくり、飛び石の上を改めて歩き出す。誰も立たないマイクスタンドに、マイクは備え付けられてないらしい。自分のマイクを握りしめて、また見つける日まで。ちゃんと磨こう。そよ風が抜けて、夜も明ける。雨が降ったら、また歌えばいい。ようやく僕は、勝負の席についたのだ。
