ここに分類不可の三題噺を置きます。
三題噺(指輪、雨宿り、駅前)
2025/10/08 10:11そのカフェは予報外れの雨の時だけ、誰かの心に寄り添うように現れる。まだ改装工事中の駅前のビル、立ち入り禁止の看板が立ち並ぶ場所。見える人にだけ、見えなくなるその看板を、超えた先にある小さな珈琲屋。雨宿りを誘うように佇む珈琲屋に、吸い込まれるように人が消えていく。雨があがって、朝になればまた工事が始まる。工事現場の屈強な作業員は、そこに珈琲屋があるなんて気づかない。次の日も、また次の日も天気は晴れだった。珈琲屋は現れない。
やっと予報外れの雨が降る。魂を抜かれたのか、毒素を抜かれたのか、ふらふらと無気力な人が珈琲屋から出てきた。彼の指には、指輪。裏にまじないが彫ってあり、どこにいてもこの珈琲屋を見つけられるようになる。もっとも、ここまで吸い取られた人間が、この珈琲屋にもう一度辿り着けることは稀である。
やっと予報外れの雨が降る。魂を抜かれたのか、毒素を抜かれたのか、ふらふらと無気力な人が珈琲屋から出てきた。彼の指には、指輪。裏にまじないが彫ってあり、どこにいてもこの珈琲屋を見つけられるようになる。もっとも、ここまで吸い取られた人間が、この珈琲屋にもう一度辿り着けることは稀である。
