ここに分類不可の三題噺を置きます。

三題噺(鏡 狐 忘れた名前)宝石の国

2025/07/19 08:42
鏡面のような水面を、毎朝仕事のために見つめている。我々が知る海の広さなど、この器くらいのものなのかもしれない。
「コーラル」
金剛先生の声で意識が戻る。風に乗ったザラメが気持ち悪い。
「っはい、すみません考え事をしており」
「別にそのようなことはせずともよい。私が与えた新しい名前はどうだ」
「ど……どう?」
「気に入ってもらえたかな」
金剛先生は表面上は悲しそう、辛そうな顔をした。仮面の下を剥がせば、もっとどす黒く胸を焼くようなものが詰まっていると感じた。
「……気に入っておりますよ。海からきた珊瑚の宝石、それは僕のことですから」
しばしの沈黙が永遠に思えて、耐えきれず声をあげた、
「コーラルは、ここで仕事を実行します。ご安心くださいませ」
母上が天に昇る前、僕だけ逃したのにはワケがある。金剛先生も何かを隠している。僕は誰の憶測にもハマらずに、クラゲの飼育員をやる。それが、コーラルの定め。

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