刀鍛冶の少女
今日は仕事が早く終わった、というよりも早く終わらせたので、昨日から遊びに来ているエースと出かける時間が出来た。いつもエースが散歩に来て、仕事終わりに縁側でお話するばかりなので、楽しみであるし緊張もしてきた。ほぼ使うことのない、外行きの洋服を着てエースを自室に迎えに行く。
「エース、支度出来た」
「おう、じゃあ早速……」
私の姿を見て、エースは固まった。やはりなにかおかしいだろうか……Tシャツに黒のズボンとシンプルな服装なのだが。やはりもっとオシャレ……なんて分からないが、そういった洋服を着るべきだろうか。
「エース、やっぱやめる? 私、やっぱり服装変かな……?」
「へ? いや、そんなんじゃねぇよ! ただ、作業着じゃないのが珍しかっただけだ……!」
エースは立ち上がると、そそくさと外に歩き出した。なにか怒らせた? でも、怒るそれとは違う気がした。どうしたんだろう?
緊張する。柄にもなく。ただアケビがいつもの服とは違うというだけで、二人で出かけるというだけで。誘ってきたのはアケビだった。「明日帰るのであれば、仕事に余裕があるので午後からお出かけでも」と。余裕があるんじゃなくて、俺のために調整してくれたのは明らかだった。俺が眠った後も作業をして、俺より早く起きてまた刀を打っていた。うっすらと隈の出来た顔に申し訳なさが募るのだが、どうにも俺は嬉しいようでそわそわとしてしまう。
「エース、待ってください、靴が」
「!! あぁ、悪りぃ」
アケビが靴を履くのすら待てずに、一人で外に出てしまっていた。こんなんじゃダメだ。カッコつけようとする俺が言う。でも、なんで俺はアケビの前でカッコつけてたいのだろうか? 考えたが、頭の悪い俺には答えなんてすぐには出ない。
「さて、どこに行きましょうか? 商店街でも見に行きます?」
「アケビが行きたいとこでいいぜ」
「そうは言っても、私はこの街に住んでますからね」
アケビが苦笑しながら、俺のために考えてくれてることが嬉しい。正直な話、俺はアケビと歩ければそれでよかったけど。いつものようにお喋りをしながら歩けば、自然と商店街に着いていた。
「うーん……エースが興味ありそうなところ……」
「そんな悩まないでいいって」
「じ、じゃあ適当にあの雑貨屋で」
アケビが指差した方には若者向けの雑貨屋があった。人混みをすり抜け、店内に入る。
「実は私も入るの初めてなんですけど……なんか面白いものありますかね?」
店内を見回せば、綺麗な模様の絨毯だとか、装飾の凝った小物入れだとか、あとはアクセサリーだとか。しかし、どれも女性向けのものなので、俺は自然とアケビにやるにはどれがいいかなんて考えていた。
「エース、エース! これ可愛いです!」
声のする方に振り向けば、キラキラとした笑顔でこちらに手招きするアケビがいた。ドキリ、と心臓が鳴る。悟られないように、すぐに駆け寄ってアケビの見つめる商品を確認する。
「……子電伝虫?」
「そう! この子電伝虫、ペアなんですよ! 模様が色違いで、可愛くないですか?」
青基調の物と赤基調の物がセットで売っているらしい。正直、可愛いかは別として。はしゃぐアケビを見ていたら、勝手に会計に持って行っていた。
「え、エース! 買うんですか?」
「これがありゃ、いつでもお喋り出来るだろ」
そう言えば、目を見開いて驚いた顔をする。そして次第に、眩しいくらいの笑顔になった。
「それは、とっても嬉しいです!」
無邪気に喜ぶ彼女が見ていられなくなって、さっさとレジで会計を済ます。心臓は海兵に鉢合わせたような時の何倍も速く、鼓動を刻んでいた。
「エース、支度出来た」
「おう、じゃあ早速……」
私の姿を見て、エースは固まった。やはりなにかおかしいだろうか……Tシャツに黒のズボンとシンプルな服装なのだが。やはりもっとオシャレ……なんて分からないが、そういった洋服を着るべきだろうか。
「エース、やっぱやめる? 私、やっぱり服装変かな……?」
「へ? いや、そんなんじゃねぇよ! ただ、作業着じゃないのが珍しかっただけだ……!」
エースは立ち上がると、そそくさと外に歩き出した。なにか怒らせた? でも、怒るそれとは違う気がした。どうしたんだろう?
緊張する。柄にもなく。ただアケビがいつもの服とは違うというだけで、二人で出かけるというだけで。誘ってきたのはアケビだった。「明日帰るのであれば、仕事に余裕があるので午後からお出かけでも」と。余裕があるんじゃなくて、俺のために調整してくれたのは明らかだった。俺が眠った後も作業をして、俺より早く起きてまた刀を打っていた。うっすらと隈の出来た顔に申し訳なさが募るのだが、どうにも俺は嬉しいようでそわそわとしてしまう。
「エース、待ってください、靴が」
「!! あぁ、悪りぃ」
アケビが靴を履くのすら待てずに、一人で外に出てしまっていた。こんなんじゃダメだ。カッコつけようとする俺が言う。でも、なんで俺はアケビの前でカッコつけてたいのだろうか? 考えたが、頭の悪い俺には答えなんてすぐには出ない。
「さて、どこに行きましょうか? 商店街でも見に行きます?」
「アケビが行きたいとこでいいぜ」
「そうは言っても、私はこの街に住んでますからね」
アケビが苦笑しながら、俺のために考えてくれてることが嬉しい。正直な話、俺はアケビと歩ければそれでよかったけど。いつものようにお喋りをしながら歩けば、自然と商店街に着いていた。
「うーん……エースが興味ありそうなところ……」
「そんな悩まないでいいって」
「じ、じゃあ適当にあの雑貨屋で」
アケビが指差した方には若者向けの雑貨屋があった。人混みをすり抜け、店内に入る。
「実は私も入るの初めてなんですけど……なんか面白いものありますかね?」
店内を見回せば、綺麗な模様の絨毯だとか、装飾の凝った小物入れだとか、あとはアクセサリーだとか。しかし、どれも女性向けのものなので、俺は自然とアケビにやるにはどれがいいかなんて考えていた。
「エース、エース! これ可愛いです!」
声のする方に振り向けば、キラキラとした笑顔でこちらに手招きするアケビがいた。ドキリ、と心臓が鳴る。悟られないように、すぐに駆け寄ってアケビの見つめる商品を確認する。
「……子電伝虫?」
「そう! この子電伝虫、ペアなんですよ! 模様が色違いで、可愛くないですか?」
青基調の物と赤基調の物がセットで売っているらしい。正直、可愛いかは別として。はしゃぐアケビを見ていたら、勝手に会計に持って行っていた。
「え、エース! 買うんですか?」
「これがありゃ、いつでもお喋り出来るだろ」
そう言えば、目を見開いて驚いた顔をする。そして次第に、眩しいくらいの笑顔になった。
「それは、とっても嬉しいです!」
無邪気に喜ぶ彼女が見ていられなくなって、さっさとレジで会計を済ます。心臓は海兵に鉢合わせたような時の何倍も速く、鼓動を刻んでいた。
