病弱な体術使い
シャボンディ諸島から少し離れた海域。空は快晴。この日、珍しくハートの海賊団は海戦に臨んでいた。というのも、溜まった洗濯物を干しに海上へ出たら、たまたま海軍に見つかってしまったのだ。だが、ここは海軍本部からも近い。船長は想定してなかったわけではなかった。ローはROOMを展開しながら、次々と海軍を片付けていく。しかし、船の後方までは手が回らずにいた。
「うわあ、キャプテーン!!」
「!! くそっ……」
どうやら後方に強者が現れたらしい。船長であるローは判断を迫られていた。前方に集中するか、後方へ援護に行くか。頭を働かせていると、船内から声がした。
「私を出せばいいじゃん」
「………お前は今日調子悪いだろうが! ドクターストップだ!」
「気分は最高潮だもの。というか、自分の身体にイライラして暴れたい気分。早く出してよ」
「ちっ……じゃあ勝手にしろ! 後で泣き言言っても知らねえからな!」
ローはROOMを船内まで広げた。そうして。
「シャンブルズ!!」
船内の声の主と、目の前の海兵を入れ替えた。その中身だけを。途端、海兵は船の後方へ急行する。そうして、ハートの海賊団の敵を次々に蹴散らしていく。
「クラゲだ! クラゲが出たぞ!」
海軍大佐が声を上げる。その大佐も、あっという間に倒してしまった。ハートの海賊団から歓声が上がる。それにニヤリと悪人顔で応えつつ、後方の海軍を一掃していく。
「くそ! 仲間の身体を使いやがって!」
「怯むな! 海兵の姿をしていても、中身は億越えの賞金首だぞ!」
そんな億越えの賞金首を、一兵卒が止められるはずもなく、後方の部隊は壊滅状態になった。そうこうしているうちに、前方も。ハートの海賊団の勝利だった。
「くそ、くそぉ!」
船内から、先ほどの女性の声がする。ローがもう一度シャンブルズをすると、中身は元の持ち主に戻る。
「くそ……!」
海兵は元の声でなおも憤る。また、船内から女の声がする。
「お疲れ様! 身体を貸してくれたお礼に、無傷で返してあげる。さっさと本部に戻って報告してよね、とんだ化け物がいるって」
「……!! ちくしょうがあ!!」
その海兵は頭は悪くなかった。それ以上は向かって来ずに、言われた通りに撤退した。そうして、本部に連絡を取る。
「……ハートの海賊団を取り逃がしました。トラファルガーが前方に気を取られているうちに、後方から攻め込みましたが……やはり、クラゲは生きているようです」
クラゲ。賞金一億ベリーの大物。しかしながら、身体が弱く、本人を目撃した海兵はいない。なので、手配書の写真はなく、写真にすら十万ベリーの賞金がかかっている。優れた体術の使い手で、船長トラファルガー・ローの能力で敵の身体を乗っ取り、戦場に立つ。……海軍が掴んでいるデータはこれだけだった。
「ったく、無理しやがって。やっぱり体調悪化してるじゃねえか」
ハートの海賊団船内。病室のような部屋にクラゲはいた。
「悪化してない! 私は元気よ!」
「嘘つけ。熱が上がってる。脈拍も弱い。今日はもう、ずーっと寝てるんだな」
「宴してるでしょ? 行く!」
「ダメだ。医者の言うことは聞け」
険しい顔でローは睨むが、負けじとクラゲも頬を膨らませる。その様子に、ますますローの眉間にしわが寄った。
「そんな顔して可愛い歳じゃねえだろうが。うざい」
「うざいってなによ! 患者に向かって!」
「患者だと思うなら、もう寝てろ。ドクターストップだ」
再三寝るように言われ、今度はがっくりと肩を落とす。その様子に少し、ローは医者として同情した。
「重ねて、キャプテン命令。今日はもうゆっくり休め」
「はあーい…………」
ドクターストップにキャプテン命令。抗えない二つの命令を聞き、ようやくクラゲは大人しく横になった。それを見届けて、ローは部屋を出る。扉を閉めた後、ローは誰にも聞かれずにため息を吐いた。
「うわあ、キャプテーン!!」
「!! くそっ……」
どうやら後方に強者が現れたらしい。船長であるローは判断を迫られていた。前方に集中するか、後方へ援護に行くか。頭を働かせていると、船内から声がした。
「私を出せばいいじゃん」
「………お前は今日調子悪いだろうが! ドクターストップだ!」
「気分は最高潮だもの。というか、自分の身体にイライラして暴れたい気分。早く出してよ」
「ちっ……じゃあ勝手にしろ! 後で泣き言言っても知らねえからな!」
ローはROOMを船内まで広げた。そうして。
「シャンブルズ!!」
船内の声の主と、目の前の海兵を入れ替えた。その中身だけを。途端、海兵は船の後方へ急行する。そうして、ハートの海賊団の敵を次々に蹴散らしていく。
「クラゲだ! クラゲが出たぞ!」
海軍大佐が声を上げる。その大佐も、あっという間に倒してしまった。ハートの海賊団から歓声が上がる。それにニヤリと悪人顔で応えつつ、後方の海軍を一掃していく。
「くそ! 仲間の身体を使いやがって!」
「怯むな! 海兵の姿をしていても、中身は億越えの賞金首だぞ!」
そんな億越えの賞金首を、一兵卒が止められるはずもなく、後方の部隊は壊滅状態になった。そうこうしているうちに、前方も。ハートの海賊団の勝利だった。
「くそ、くそぉ!」
船内から、先ほどの女性の声がする。ローがもう一度シャンブルズをすると、中身は元の持ち主に戻る。
「くそ……!」
海兵は元の声でなおも憤る。また、船内から女の声がする。
「お疲れ様! 身体を貸してくれたお礼に、無傷で返してあげる。さっさと本部に戻って報告してよね、とんだ化け物がいるって」
「……!! ちくしょうがあ!!」
その海兵は頭は悪くなかった。それ以上は向かって来ずに、言われた通りに撤退した。そうして、本部に連絡を取る。
「……ハートの海賊団を取り逃がしました。トラファルガーが前方に気を取られているうちに、後方から攻め込みましたが……やはり、クラゲは生きているようです」
クラゲ。賞金一億ベリーの大物。しかしながら、身体が弱く、本人を目撃した海兵はいない。なので、手配書の写真はなく、写真にすら十万ベリーの賞金がかかっている。優れた体術の使い手で、船長トラファルガー・ローの能力で敵の身体を乗っ取り、戦場に立つ。……海軍が掴んでいるデータはこれだけだった。
「ったく、無理しやがって。やっぱり体調悪化してるじゃねえか」
ハートの海賊団船内。病室のような部屋にクラゲはいた。
「悪化してない! 私は元気よ!」
「嘘つけ。熱が上がってる。脈拍も弱い。今日はもう、ずーっと寝てるんだな」
「宴してるでしょ? 行く!」
「ダメだ。医者の言うことは聞け」
険しい顔でローは睨むが、負けじとクラゲも頬を膨らませる。その様子に、ますますローの眉間にしわが寄った。
「そんな顔して可愛い歳じゃねえだろうが。うざい」
「うざいってなによ! 患者に向かって!」
「患者だと思うなら、もう寝てろ。ドクターストップだ」
再三寝るように言われ、今度はがっくりと肩を落とす。その様子に少し、ローは医者として同情した。
「重ねて、キャプテン命令。今日はもうゆっくり休め」
「はあーい…………」
ドクターストップにキャプテン命令。抗えない二つの命令を聞き、ようやくクラゲは大人しく横になった。それを見届けて、ローは部屋を出る。扉を閉めた後、ローは誰にも聞かれずにため息を吐いた。
