刀鍛冶の少女

白ひげのナワバリであるバーニングエイト。ここで、刀鍛冶の鬼徹一派は日夜鍛錬に励み、名刀を生み出している。鬼徹一派は平等と自由を愛し、棟梁が元海賊でありながらも、世界政府や海軍相手にも取り引きをしていた。それは、海賊相手でも変わらず、金さえ払えば相手を選ぶことはなかった。そんな彼らの元にかの大海賊、四皇ビッグマムから招待状が届いた。

『お前達の噂は聞いている。とてもいい刀を作るそうだな。俺にも一振作ってもらいたい。当然のことながら、お前達に拒否権はない。もし、ナワバリに現れなかった場合、お前らの一番大事なものを奪うぞ』

おおよそ、そんな事の書かれた招待状。この場合、奪われる対象は白ひげ海賊団であることが暗に示されていた。四皇同士の全面戦争。こんなことが起きれば、世界はどうなってしまうだろうか。事態を重くみた鬼徹一派棟梁は、大恩ある白ひげには告げず、単身トットランドに向かうことを決めた。末弟子であり、一番弟子でもあるアケビという少女を連れて。


招待状が届いてから一週間後。棟梁とアケビは最短距離でトットランドに到着した。招待状を見せれば、皆笑顔でホールケーキ城に2人を案内した。開催される狂ったお茶会。ビッグマムは満足気に2人を見下ろす。

「ママママ……ちゃんと棟梁と弟子一人、遅刻せずに来たね。歓迎するよ。なぁに、金はちゃんと払おうってんだ。一級品の物を作ってくれ」
「勿論だ。俺たちゃ、仕事に嘘は吐かねぇ」

棟梁が強い意志で答えれば、気に入ったのかマムは笑みを深くした。アケビはその間、黙って話を聞いていた。

「明日から仕事に取り掛かってもらう……だが、十代目鬼徹。あんたと弟子は別々にだ」
「……なんだと?」
「なに、途中で逃げ出されちゃ困るからね。弟子は人質だよ。その代わり丁重に扱うし、お前が逃げない限り、弟子の命は保証しよう」
「そんな、馬鹿な話!」
「棟梁、私はそれでいいよ」

アケビが始めて口を開いた。人質本人からの申し出に、マムは一瞬面食らった。

「そうじゃないと、棟梁の仕事が出来ないなら。私は大人しく縛につきます」
「マママ……物分かりのいいガキだね。嫌いじゃないよ。ただし、そんな威嚇しなくてもいい。お前の望む物は全て用意するし、最高の生活を約束しよう。……カタクリ!」

マムが呼ぶと、長身の男が黙って現れる。そうして、棟梁からアケビを引き離した。

「期限は六ヶ月間! その間に最高の剣を完成させな。妙な真似をしたら……うちの息子がお前の娘の首を飛ばす」

もはや取り引きではなく、脅迫であるそれに、棟梁は青ざめながらも覚悟を決め、頷いた。マムはそれを確認すると、今度はアケビの方を睨みつける。

「お前もそうだよ。逃げ出すようなことがあれば、師匠の命はないと思いな」
「分かっています」

幼く見えるのに全く怯まないアケビに、マムは少し苛立ちを覚えた。しかし、甘いケーキを食べれば、そんな気持ちもすぐに落ち着く。これで、どう転んでも自分の手に新たな力が手に入るからだ。

「それじゃあ、約束の証に乾杯しよう……期待しているよ」

こうして、アケビのトットランドでの暮らしはスタートした。
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