毎夜、花と宝石は手を繋ぐ
夜の帳が下り、虫たちが囁くようにしんしんと鳴く。9月22日、弓張り月の今宵もワルプルギスはやってくる。地上から遥か上の厚い雲を踏みしめて、頭上を見上げるものたちがいる。今回のワルプルギスの夜は、ピエロような顔でグロテスクに笑う。
「気持ち悪いですね」
「ピエロの顔は比較的多い。およそ21%はああいう顔だな」
「あら、そうなのですね。センニチ咲けども、思い出せないことばかり」
センニチコウは、自分の髪に差していたかんざしを抜くと、鋭い剣にしてみせた。それを見て、もう1人ーーブラックサファイアは後ろに下がる。
「前に出過ぎるなよ」
「あら、誰のことを言って?」
ブラックサファイアはため息を吐くと、センニチコウとピエロを挟むような位置に立った。横から見ると、このワルプルギスの夜が風船のように膨らんでいるのが分かる。
「おい、こいつを刺すなーー」
ブラックサファイアの警告は間に合わず、センニチコウのかんざしはピエロを裂いた。途端、急速に皮が萎んで、蟻のような生き物が砂の流れになって襲ってくる。甘いセンニチコウはどんどんと食われていった。
「しくじりましたわ」
花は皆、再生力を持っていて回復も出来るが、そんなものは間に合わない。硬いため、ブラックサファイアはびくともしない。
「仕方がない。今夜夜通し、俺はこいつらを一粒残らず殲滅しておく」
「申し訳ないわね」
センニチコウが舞わした花びらを、ブラックサファイアは手に包んで捕まえて。胸のポケットにしまった。
「さて、ここからはーー遠慮はなしだな?」
ブラックサファイアは確かな剣筋で、蟻を1匹残らずーー四季も大地も奪わせるものかと戦った。朝日と共に、ブラックサファイアは雲の上で嘘だったようにほぐれて消える。この日、災厄として地上に降り注いだワルプルギスはいなかった。
花に四季を、宝石に大地を。とっくのとうに訪れていたワルプルギスの夜に、懸命に、賢明に争い続ける花と宝石達。地球には四季も大地も必要だ、奪わせてはならない。花は朽ちても再生を繰り返し、宝石は砕かれた傷すら輝きに変える。毎晩毎晩、花と宝石が手を取って世界を守る。これは、そんな彼らの物語。
「気持ち悪いですね」
「ピエロの顔は比較的多い。およそ21%はああいう顔だな」
「あら、そうなのですね。センニチ咲けども、思い出せないことばかり」
センニチコウは、自分の髪に差していたかんざしを抜くと、鋭い剣にしてみせた。それを見て、もう1人ーーブラックサファイアは後ろに下がる。
「前に出過ぎるなよ」
「あら、誰のことを言って?」
ブラックサファイアはため息を吐くと、センニチコウとピエロを挟むような位置に立った。横から見ると、このワルプルギスの夜が風船のように膨らんでいるのが分かる。
「おい、こいつを刺すなーー」
ブラックサファイアの警告は間に合わず、センニチコウのかんざしはピエロを裂いた。途端、急速に皮が萎んで、蟻のような生き物が砂の流れになって襲ってくる。甘いセンニチコウはどんどんと食われていった。
「しくじりましたわ」
花は皆、再生力を持っていて回復も出来るが、そんなものは間に合わない。硬いため、ブラックサファイアはびくともしない。
「仕方がない。今夜夜通し、俺はこいつらを一粒残らず殲滅しておく」
「申し訳ないわね」
センニチコウが舞わした花びらを、ブラックサファイアは手に包んで捕まえて。胸のポケットにしまった。
「さて、ここからはーー遠慮はなしだな?」
ブラックサファイアは確かな剣筋で、蟻を1匹残らずーー四季も大地も奪わせるものかと戦った。朝日と共に、ブラックサファイアは雲の上で嘘だったようにほぐれて消える。この日、災厄として地上に降り注いだワルプルギスはいなかった。
花に四季を、宝石に大地を。とっくのとうに訪れていたワルプルギスの夜に、懸命に、賢明に争い続ける花と宝石達。地球には四季も大地も必要だ、奪わせてはならない。花は朽ちても再生を繰り返し、宝石は砕かれた傷すら輝きに変える。毎晩毎晩、花と宝石が手を取って世界を守る。これは、そんな彼らの物語。
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