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斜陽が差し込み、廊下を橙色に染めている。殆どの生徒は部活に行くか帰宅していて、運動部の掛け声が遠くに聞こえる。今日日直だった私は、職員室にプリントと日誌を届けて教室に戻ってきた。ふと、視線を後ろに向けると、女子が騒ぎそうな光景が目に入った。
「うわ、烏丸君が寝てる」
イケメンと名高い烏丸京介君が居眠りをしているではないか。物珍しくて、彼の前の席を陣取ってその端正な顔を覗き込む。
「ほえ~まつげなっが」
烏丸君は腕を組んで座った状態で眠っている。こくり、こくりと船を漕ぐ姿は無防備だ。それをいいことに、私は携帯を取り出してその姿を写真に収める。うん、これはこっそり待ち受けに使わせてもらおう。
疲れているのか、シャッター音にも反応がなかった。確か、ボーダーに所属してる上にアルバイトも掛け持ちしてるんだよね。相当、多忙な毎日なんだろう。
「……髪の毛、どんな感触なんだろ」
少し癖のある髪の毛。出来心で手を伸ばした。
「あ、さらさらなんだ……」
思ったよりも指通りがよく、繰り返し頭を撫でる。
「……ん、」
「!!」
慌てて手を引っ込める。王子様はゆっくり伸びをして目を覚ました。
「んー、あれ、早乙女さんなんでいるの?」
「いやっ、なんて言うか、寝てるの珍しいなーっていうか、その、ごめんなさい!」
嘘がつけない自分が憎い。あたふたする私とは対照的に、烏丸君は平然と帰る支度を始めた。
「これ以上寝てたらバイト遅刻するところだった、ありがとう」
「いや、いや、なんかすいません」
烏丸君はもう立ち上がり離れていく。せっかくだから、もう少し話がしたかったな。
「早乙女さん」
「! なに?」
急に烏丸君が振り返る。西日に照らされた顔は美しい。
「好きだ」
「え、」
今、なんて言ったの。いや、ちょっと待ってよ、私みたいな平々凡々の女、なんで烏丸君が。そもそも、そんなに話したことないし、でも、好きだと言われて嫌な気はしないし寧ろ嬉しいし、そんなこと言われたら私も好きになっちゃうというか、
「って相澤が言ってた」
「!?」
相澤? ここで相澤? 紛らわしいな相澤。相澤はクラス一緒だけど、特に好きじゃない、え、けど、相澤そうなの? そんな風に見られてたの?
「まあ、嘘だけど」
慌ただしい思考が止まる。え、嘘? なにが嘘。好きだ、が? 相澤が?
「…………はあ?」
なんでそんな嘘を吐かれたのか。私の叫びは誰もいない教室にこだましたのだった。
「うわ、烏丸君が寝てる」
イケメンと名高い烏丸京介君が居眠りをしているではないか。物珍しくて、彼の前の席を陣取ってその端正な顔を覗き込む。
「ほえ~まつげなっが」
烏丸君は腕を組んで座った状態で眠っている。こくり、こくりと船を漕ぐ姿は無防備だ。それをいいことに、私は携帯を取り出してその姿を写真に収める。うん、これはこっそり待ち受けに使わせてもらおう。
疲れているのか、シャッター音にも反応がなかった。確か、ボーダーに所属してる上にアルバイトも掛け持ちしてるんだよね。相当、多忙な毎日なんだろう。
「……髪の毛、どんな感触なんだろ」
少し癖のある髪の毛。出来心で手を伸ばした。
「あ、さらさらなんだ……」
思ったよりも指通りがよく、繰り返し頭を撫でる。
「……ん、」
「!!」
慌てて手を引っ込める。王子様はゆっくり伸びをして目を覚ました。
「んー、あれ、早乙女さんなんでいるの?」
「いやっ、なんて言うか、寝てるの珍しいなーっていうか、その、ごめんなさい!」
嘘がつけない自分が憎い。あたふたする私とは対照的に、烏丸君は平然と帰る支度を始めた。
「これ以上寝てたらバイト遅刻するところだった、ありがとう」
「いや、いや、なんかすいません」
烏丸君はもう立ち上がり離れていく。せっかくだから、もう少し話がしたかったな。
「早乙女さん」
「! なに?」
急に烏丸君が振り返る。西日に照らされた顔は美しい。
「好きだ」
「え、」
今、なんて言ったの。いや、ちょっと待ってよ、私みたいな平々凡々の女、なんで烏丸君が。そもそも、そんなに話したことないし、でも、好きだと言われて嫌な気はしないし寧ろ嬉しいし、そんなこと言われたら私も好きになっちゃうというか、
「って相澤が言ってた」
「!?」
相澤? ここで相澤? 紛らわしいな相澤。相澤はクラス一緒だけど、特に好きじゃない、え、けど、相澤そうなの? そんな風に見られてたの?
「まあ、嘘だけど」
慌ただしい思考が止まる。え、嘘? なにが嘘。好きだ、が? 相澤が?
「…………はあ?」
なんでそんな嘘を吐かれたのか。私の叫びは誰もいない教室にこだましたのだった。