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※菊地原に妹がいたらの話です。妹もSE持ち。
妹の部屋で電気のスイッチが切られる音がした。またか、と思い、僕は妹の部屋へ急ぐ。まったく、兄に心配をかけるようなことをしないで欲しい。
「あき? 入るよ?」
返事はないけど、構わずに部屋に入った。真っ暗な部屋の中、ベッドでうつ伏せになっているあきを見つけた。
「お兄ちゃん、目、痛い」
「また友達に付き合ってLINEでもしてたんでしょ。自業自得だよ」
「うーっ……」
苦しむあきの背中をぽんぽんと叩いてやる。こうしてやると、あきの心音は落ち着いた。
「皆と同じようにしたいよう……」
「それは難しいんだから、ワガママ言わないの」
「だってえ……」
僕の耳がそうであるように、妹も目にサイドエフェクトを持って産まれた。彼女のそれは「強化視覚」。要は見えすぎるんだ。1キロ先でも、夜の暗闇でも、妹にはくっきりと物の動きが見えるらしい。けど、それは電波の飛び交うこのご時世には辛い物だった。機械からでる明かりは、あきには強すぎる。部屋の照明も、スマホやテレビも、あきの目にはキツくて、ずっとは見ていられない。かと言って、家中の電気を消してやるわけにもいかず、特別なメガネをかけたりしてどうにか誤魔化している。それに加えて、あきは僕と違って人懐こくて社交的だから、メールやLINEをよく使いたがる。だから、気にしていてやらないと今みたいに1人で辛い思いをするのだ。
「今日はどれくらい続けてたの?」
「30分くらい……」
「本当は?」
「…………1時間」
「ほら。そんなの痛くなって当然だよ」
「うええ怒らないでよお……」
別に怒ってるわけではないのに、あきは愚図りだした。泣いたらまた目に悪い。
「怒ってないでしょ。ただ、無理をして辛くなるのはあきなんだから。僕は心配をしてるだけ」
「うん、ごめんなさい……」
「分かってるならよろしい」
わしゃわしゃと頭を撫でてやれば、顔をあげる。可哀想に、目は充血して真っ赤になっている。
「大丈夫? 冷やす? 持ってこようか?」
「ううん、大丈夫……。お兄ちゃんここにいて」
「分かった」
勝手にもたれかかってくるので、仕方なく受け止めて落ち着かせてやる。あきの体温は僕のより暖かくて眠気を誘った。
「あき抱っこしてると眠くなるから嫌……」
「少し寝ようよ。いいでしょ?」
僕は分かりやすくため息を吐いて、妹の願いを叶えてやった。明かりの消えた部屋の中、2人分の心音だけを聞いていた。それは僕たちにしか分からない、とても安心できる場所だった。
妹の部屋で電気のスイッチが切られる音がした。またか、と思い、僕は妹の部屋へ急ぐ。まったく、兄に心配をかけるようなことをしないで欲しい。
「あき? 入るよ?」
返事はないけど、構わずに部屋に入った。真っ暗な部屋の中、ベッドでうつ伏せになっているあきを見つけた。
「お兄ちゃん、目、痛い」
「また友達に付き合ってLINEでもしてたんでしょ。自業自得だよ」
「うーっ……」
苦しむあきの背中をぽんぽんと叩いてやる。こうしてやると、あきの心音は落ち着いた。
「皆と同じようにしたいよう……」
「それは難しいんだから、ワガママ言わないの」
「だってえ……」
僕の耳がそうであるように、妹も目にサイドエフェクトを持って産まれた。彼女のそれは「強化視覚」。要は見えすぎるんだ。1キロ先でも、夜の暗闇でも、妹にはくっきりと物の動きが見えるらしい。けど、それは電波の飛び交うこのご時世には辛い物だった。機械からでる明かりは、あきには強すぎる。部屋の照明も、スマホやテレビも、あきの目にはキツくて、ずっとは見ていられない。かと言って、家中の電気を消してやるわけにもいかず、特別なメガネをかけたりしてどうにか誤魔化している。それに加えて、あきは僕と違って人懐こくて社交的だから、メールやLINEをよく使いたがる。だから、気にしていてやらないと今みたいに1人で辛い思いをするのだ。
「今日はどれくらい続けてたの?」
「30分くらい……」
「本当は?」
「…………1時間」
「ほら。そんなの痛くなって当然だよ」
「うええ怒らないでよお……」
別に怒ってるわけではないのに、あきは愚図りだした。泣いたらまた目に悪い。
「怒ってないでしょ。ただ、無理をして辛くなるのはあきなんだから。僕は心配をしてるだけ」
「うん、ごめんなさい……」
「分かってるならよろしい」
わしゃわしゃと頭を撫でてやれば、顔をあげる。可哀想に、目は充血して真っ赤になっている。
「大丈夫? 冷やす? 持ってこようか?」
「ううん、大丈夫……。お兄ちゃんここにいて」
「分かった」
勝手にもたれかかってくるので、仕方なく受け止めて落ち着かせてやる。あきの体温は僕のより暖かくて眠気を誘った。
「あき抱っこしてると眠くなるから嫌……」
「少し寝ようよ。いいでしょ?」
僕は分かりやすくため息を吐いて、妹の願いを叶えてやった。明かりの消えた部屋の中、2人分の心音だけを聞いていた。それは僕たちにしか分からない、とても安心できる場所だった。