short-1-
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
奈良坂君に告白されて数日。日曜までは早かったような長かったような、不思議な感覚だった。教室では奈良坂君をまともに見れなくて、でも頭の中は奈良坂君のことでいっぱいで、そっと様子を見たら目があってしまって微笑まれたりして。自分は告白が終わってるからってそんな反応ずるいと思いつつ、やっぱり奈良坂君は私のことからかっているだけで、本当は私のことなんてなんとも思ってないんじゃないかって嫌な考えにとらわれたり。舞い上がる私を見て楽しんでいるんじゃないかって。奈良坂君はそんなことする人じゃないって分かってても、やっぱり私なんかのどこがいいんだろうって疑問に思う。容姿が可愛いわけでもない、愛想がいいわけでもない、性格なんてこの通り根暗だし。だから、日曜が来るのは怖かった。約束通り校門に行って、誰もいなかったらどうしようって。裏切られるのが怖かった。けど、奈良坂君を裏切ることなんて出来なくて、私は勇気を出して家を出たんだ。流行りではないけど、自分なりの精一杯のオシャレをして。ざわつく心みたいに、ワンピースの裾が風で揺れる。歩くたびに、一歩ずつ学校の校門が近づく。いつも通っている道なのに、今日は険しい山道でも歩いているような気分で、それはそれで新鮮ではあった。校門前の横断歩道まで辿り着く。顔を上げれば、誰か待っているか分かってしまう。思わず電信柱に身体を隠す。そして、盗み見るようにおそるおそる校門を確認した。
(…………!! 奈良坂君、いる……)
爽やかな色のポロシャツに、黒いズボン。シンプルだけど、彼によく似合っていてかっこいい。少し落ち着きなく辺りを見回していて、私のこと待っているんだって分かった。奈良坂君がちゃんと来てくれたことに安堵すると同時に、急速に心臓は収縮する。めまいがするくらい。緊張で動けずに立ちすくんでいると、電信柱越しに目が合ってしまった。奈良坂君は、ゆっくりとこちらに歩いてくる。たまらずに背中を向けた。
「すごく可愛い格好してるから、驚いた」
「……お世辞なんて言わないで」
「お世辞じゃないさ。可愛いよ、早乙女さん」
背中越しに声を聞くだけでも、心臓は悲鳴を上げて目頭が熱い。想いを伝えられる前は、こんなに苦しくなんてならなかったのに。
「全部、奈良坂君のせいだ」
「うん?」
「奈良坂君に告白されてから、奈良坂君のことばっかり。今も後ろにいるだけで緊張してうまく喋れないし」
「……うん」
「私こんな乙女じゃないし。自分が自分じゃないみたい」
「っ、早乙女さん、」
「これ以上一緒にいたら、どこまでも落ちていきそうで、」
怖い、そう言い切る前に奈良坂君の腕が伸びてきて、後ろから抱きすくめられた。身体が密着したところから熱を帯びていく。
「奈良坂君、離してっ」
「絶対嫌だ。……反則だろう、そんな殺し文句」
耳にかかる奈良坂君の吐息が熱い。それが私と奈良坂君の気持ちが呼応している証拠のようで。
「まいったな……俺まで溺れそうだ」
奈良坂君は腕の力を強める。ダメだよ、君への気持ちが溢れてこぼれてしまう。
「……告白してからの、早乙女さんの反応が可愛くて、ますます好きになったんだ」
「別に、可愛くないよ」
「可愛い。そうやって否定するところも。全部、好きだ」
2回目の告白。信じられなくても、奈良坂君の声が、腕が、その全てが。嘘じゃないよって伝えてくる。誰かの一言に、こんなにも安心して、こんなにも苦しくなったのは、初めてだ。だから、私もちゃんと伝えなくてはと思った。
「私も、奈良坂君が好き。大好き」
そっと奈良坂君の身体が離れて、向かい合わせにされる。目に入った奈良坂君の顔は、耳まで赤かった。
「キス、してもいいかな?」
「っ、それはまだ無理」
「そっか。じゃあ、」
ちゅ、と額に落とされた口づけ。びっくりして触れた部分を手で覆う。
「今はこれで我慢する」
微笑んだ奈良坂君の表情に、全て溶かされて落ちていくのが分かった。
(…………!! 奈良坂君、いる……)
爽やかな色のポロシャツに、黒いズボン。シンプルだけど、彼によく似合っていてかっこいい。少し落ち着きなく辺りを見回していて、私のこと待っているんだって分かった。奈良坂君がちゃんと来てくれたことに安堵すると同時に、急速に心臓は収縮する。めまいがするくらい。緊張で動けずに立ちすくんでいると、電信柱越しに目が合ってしまった。奈良坂君は、ゆっくりとこちらに歩いてくる。たまらずに背中を向けた。
「すごく可愛い格好してるから、驚いた」
「……お世辞なんて言わないで」
「お世辞じゃないさ。可愛いよ、早乙女さん」
背中越しに声を聞くだけでも、心臓は悲鳴を上げて目頭が熱い。想いを伝えられる前は、こんなに苦しくなんてならなかったのに。
「全部、奈良坂君のせいだ」
「うん?」
「奈良坂君に告白されてから、奈良坂君のことばっかり。今も後ろにいるだけで緊張してうまく喋れないし」
「……うん」
「私こんな乙女じゃないし。自分が自分じゃないみたい」
「っ、早乙女さん、」
「これ以上一緒にいたら、どこまでも落ちていきそうで、」
怖い、そう言い切る前に奈良坂君の腕が伸びてきて、後ろから抱きすくめられた。身体が密着したところから熱を帯びていく。
「奈良坂君、離してっ」
「絶対嫌だ。……反則だろう、そんな殺し文句」
耳にかかる奈良坂君の吐息が熱い。それが私と奈良坂君の気持ちが呼応している証拠のようで。
「まいったな……俺まで溺れそうだ」
奈良坂君は腕の力を強める。ダメだよ、君への気持ちが溢れてこぼれてしまう。
「……告白してからの、早乙女さんの反応が可愛くて、ますます好きになったんだ」
「別に、可愛くないよ」
「可愛い。そうやって否定するところも。全部、好きだ」
2回目の告白。信じられなくても、奈良坂君の声が、腕が、その全てが。嘘じゃないよって伝えてくる。誰かの一言に、こんなにも安心して、こんなにも苦しくなったのは、初めてだ。だから、私もちゃんと伝えなくてはと思った。
「私も、奈良坂君が好き。大好き」
そっと奈良坂君の身体が離れて、向かい合わせにされる。目に入った奈良坂君の顔は、耳まで赤かった。
「キス、してもいいかな?」
「っ、それはまだ無理」
「そっか。じゃあ、」
ちゅ、と額に落とされた口づけ。びっくりして触れた部分を手で覆う。
「今はこれで我慢する」
微笑んだ奈良坂君の表情に、全て溶かされて落ちていくのが分かった。