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「早乙女さ、俺と付き合わね?」
2ヶ月前、ホワイトデーのあの日から、きっと私は夢を見ているままなのです。
5月、大型連休直前。米屋くんと付き合い始めて、もうすぐ2ヶ月経とうとしている。未だに私は、米屋くんの目を見て話せないし、彼女と名乗っていいのか分からないままでいた。高2は別になってしまった教室で、今日も米屋くんの事を考える。
「おーい、あきー」
「あっごめんなさい!」
ごめんなさい、は私の口癖のようなもので。他人に迷惑をかけたくない、ほんの少しでも良い人でいたい。多分、そんな想いが空回りして飛び出すんだと思う。米屋くんは、呆れた顔で笑いながら、私を手招きする。
「あき、ゴールデンウィークはどこか暇ある?」
「うぇ、ええと、ごめんなさい……4日と5日は暇です……」
わざわざ私のクラスまで訪ねにきてくれた米屋くんは、私のためにデートのお誘いをしてくれた。せっかくのお休み、私なんかと過ごしていいのかな。申し訳ない、なんて気持ちが湧き上がるけど、それ以上に米屋くんと一緒に過ごしたい気持ちが勝ってしまうから、米屋くんに言われるがまま、デートを受けてしまうんだ。
「じゃ、5日空けとけよ! よろしくー」
「うん、分かった……それじゃ」
結局、私は私の幸福のために、夢を見たままで居続けている。米屋くんの気持ちを、確かめないまま。
私が米屋くんに告白をしたのは、高1のバレンタインデーだった。今考えると、よくそんな大それたことが出来たなと思う。けれど、周囲の女の子が頑張っていて、男の子が浮き足立っていて。空気に酔ったとでも言うのだろうか。きっと、多分迷惑だろうけど、気持ちとチョコを渡すくらいは、許されないかなと思ったんだ。放課後の教室で、なんとか米屋くんの正面に立った。
「ごめんなさい、米屋くんが好きです!」
両手で握りしめたチョコレートは、少し溶けてたんじゃないかって今でも心配だ。ぎゅっと目を瞑って時間が過ぎるのを待った。しん、と教室の空気が冷えた感じがして、怖かった。涙が溢れそうになった瞬間、チョコレートが受け取られる感覚があった。
「おう、サンキューな」
顔を上げれば、米屋くんは眩しい笑顔だった。私が大好きで夢中になった、その笑顔。見惚れていたら、ポンと頭に手が触れて、横を通り過ぎて行った。それだけで、胸がいっぱいで天に昇るようだった。
その後、ホワイトデーなんて忘れていて。米屋くんがお返しをくれた事にも驚いたし、なにより
「早乙女さ、俺と付き合わね?」
と、米屋くんから言われたのも信じられなかった。けれど、米屋くんの申し出を断るなんて出来なくて、気付いたら頷いて応えていた。そうして今まで、「どうして私なのか」訊けないまま。
5月5日は、晴天に恵まれた。私は昨晩ドキドキで眠れなくて、危うく寝坊しかけた。慌てて支度をして家を出たけど、待ち合わせにはギリギリになってしまって。あぁ、米屋くんは先に着いて待っていた。
「ごめんなさい、待ったよね!? ごめんなさい」
「いや、待ってねーし」
米屋くんはまた呆れた顔で笑って、私の頭に手を置いた。
「それより、今日可愛いじゃん」
「かっ可愛くは、ないよ……」
米屋くんは、私の頭をポンポンするのが好きなようだ。よくそうしてくれるので、私は目線を下げて耐える。
「じゃ、行くか」
米屋くんは自然に私の手を取って歩き出す。ずっと繋いでいたいなぁ、なんて、夢見心地で思う。
2人で三門市内の大型ショッピングモールに来た。
2ヶ月前、ホワイトデーのあの日から、きっと私は夢を見ているままなのです。
5月、大型連休直前。米屋くんと付き合い始めて、もうすぐ2ヶ月経とうとしている。未だに私は、米屋くんの目を見て話せないし、彼女と名乗っていいのか分からないままでいた。高2は別になってしまった教室で、今日も米屋くんの事を考える。
「おーい、あきー」
「あっごめんなさい!」
ごめんなさい、は私の口癖のようなもので。他人に迷惑をかけたくない、ほんの少しでも良い人でいたい。多分、そんな想いが空回りして飛び出すんだと思う。米屋くんは、呆れた顔で笑いながら、私を手招きする。
「あき、ゴールデンウィークはどこか暇ある?」
「うぇ、ええと、ごめんなさい……4日と5日は暇です……」
わざわざ私のクラスまで訪ねにきてくれた米屋くんは、私のためにデートのお誘いをしてくれた。せっかくのお休み、私なんかと過ごしていいのかな。申し訳ない、なんて気持ちが湧き上がるけど、それ以上に米屋くんと一緒に過ごしたい気持ちが勝ってしまうから、米屋くんに言われるがまま、デートを受けてしまうんだ。
「じゃ、5日空けとけよ! よろしくー」
「うん、分かった……それじゃ」
結局、私は私の幸福のために、夢を見たままで居続けている。米屋くんの気持ちを、確かめないまま。
私が米屋くんに告白をしたのは、高1のバレンタインデーだった。今考えると、よくそんな大それたことが出来たなと思う。けれど、周囲の女の子が頑張っていて、男の子が浮き足立っていて。空気に酔ったとでも言うのだろうか。きっと、多分迷惑だろうけど、気持ちとチョコを渡すくらいは、許されないかなと思ったんだ。放課後の教室で、なんとか米屋くんの正面に立った。
「ごめんなさい、米屋くんが好きです!」
両手で握りしめたチョコレートは、少し溶けてたんじゃないかって今でも心配だ。ぎゅっと目を瞑って時間が過ぎるのを待った。しん、と教室の空気が冷えた感じがして、怖かった。涙が溢れそうになった瞬間、チョコレートが受け取られる感覚があった。
「おう、サンキューな」
顔を上げれば、米屋くんは眩しい笑顔だった。私が大好きで夢中になった、その笑顔。見惚れていたら、ポンと頭に手が触れて、横を通り過ぎて行った。それだけで、胸がいっぱいで天に昇るようだった。
その後、ホワイトデーなんて忘れていて。米屋くんがお返しをくれた事にも驚いたし、なにより
「早乙女さ、俺と付き合わね?」
と、米屋くんから言われたのも信じられなかった。けれど、米屋くんの申し出を断るなんて出来なくて、気付いたら頷いて応えていた。そうして今まで、「どうして私なのか」訊けないまま。
5月5日は、晴天に恵まれた。私は昨晩ドキドキで眠れなくて、危うく寝坊しかけた。慌てて支度をして家を出たけど、待ち合わせにはギリギリになってしまって。あぁ、米屋くんは先に着いて待っていた。
「ごめんなさい、待ったよね!? ごめんなさい」
「いや、待ってねーし」
米屋くんはまた呆れた顔で笑って、私の頭に手を置いた。
「それより、今日可愛いじゃん」
「かっ可愛くは、ないよ……」
米屋くんは、私の頭をポンポンするのが好きなようだ。よくそうしてくれるので、私は目線を下げて耐える。
「じゃ、行くか」
米屋くんは自然に私の手を取って歩き出す。ずっと繋いでいたいなぁ、なんて、夢見心地で思う。
2人で三門市内の大型ショッピングモールに来た。
