longseries-2-
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僕が恋した君は、大層な人間嫌いだった。僕だって昔は似たようなものだったから、哀しそうな目で大衆を眺める君の姿は、酷く僕に焼き付いたのかもしれない。君は人間の、嘘を吐くところが嫌いで、集団を作るところが嫌いで、嘲笑うところが嫌いで、争うところが大嫌いだった。詰まるところ、君ははみ出し者って奴で、みんなから無視され虐げられて、それでも大嫌いな人間になりたくなくて、ただただ黙って耐えているような人だ。戦う勇気も、負けない心も、きっと持ち合わせている君が、口を閉ざしてどこか遠くへ深く去っていこうとするのを、僕は引き止めたかった。
「隣、いいかい?」
今日も授業を抜け出して、誰にも見つからないような、体育館裏の隅っこで膝を抱えていた。声をかけると、一瞬だけ目が合う。僕に対して呆れたような、でも決して冷たくはないそれが嬉しい。いいとも悪いとも言われないので、勝手に横に座る。
「今日はいい天気だね」
「……話すことないなら、話さなくていいのに」
「いいや? 雨だったら君、風邪引いちゃうじゃないか。だからよかったねって」
「…………うん」
それから、春らしい爽やかな風が通り抜けて、心地のよい静寂が訪れる。君の隣がこんなにも落ち着くのはなんでなんだろう。君が息をして、隣を許してくれるだけで、穏やかな気持ちで満たされるのはなんでなんだろう。
「王子は、」
「え、なに?」
珍しく君が口を開くのでビックリしてしまった。今まで、数えられるくらいしかないんじゃないか。
「なんで、私に構うの」
「なんだ、前にも言ったじゃないか。君が好きだからだよ」
「……好きになる理由、ないじゃん」
そんなの、君が決められることじゃないのにね。君を好きな理由は僕が決めて選ぶんだ。可笑しくて笑えば、君は不満そうな顔をする。
「誤魔化さないでよ」
「誤魔化してないよ。君を好きな理由なんて、たくさんある」
でも、それをひとつひとつ丁寧に教えてあげるほど、僕は優しくなれないし勇気だって出ないんだよ。
「嘘、教えてくれたことない」
「いいじゃない、理由はどうあれ側にいるんだから。それとも、僕が側にいるの、嫌かい?」
少しだけ、僕の声が震えた。拒絶されたらどうしよう。本当は誰よりも優しい君が、我慢してるだけだったらどうしよう。
「…………嫌じゃないよ。ありがとう」
君の声は小さくて、顔は耳まで真っ赤だった。想像していた答えの先を言われて、僕も身体が熱い。そして、今まで隣にいられれば満足だったのに、僕は途端に欲張りになった。
「ねえ。……少しは君も、僕のこと好きかな」
「嫌いなんて、言ったことない」
顔を背ける君に意地悪したくなる僕は、きっと君が嫌いな「人間」なんだろうね。
「嫌いじゃなくて、好きって言って欲しいな」
「………………」
「僕のこと、好き?」
こくり、と黙って頷く君に、僕の脳内はパレードだ。きっと今僕、君にしか見せられない幸せな顔をしてる。
「そっか、そうなんだ」
「…………好きだから、嫌われるの怖い」
僕とは裏腹に、悲しそうで泣き出しそうな君。でも、吐き出された不安は可愛らしいもので、僕は余計に笑顔になってしまう。ごめんね。
「嫌いになんて、ならないよ」
「そんなの、分からないじゃん……!」
顔を覆って、泣き出してしまった。きっと君は、今まで怖い想いをたくさんしてきたんだろうね。嫌なことがたくさん、降り積もってしまって、だから「人間」を信じられなくなってしまったんだ。今すぐに、その悲しみを覆すなんて出来ないけれど。
「泣かないで、僕のお姫様。きっと、きっと大丈夫だよ」
そっと肩に触れ、そのまま抱き締めた。君ってば、こんなに小さかったの? ドキドキと加速していく心音が、君のそれと重なる。そのまま溶けてしまっても、構わないとすら思えた。
「君の嫌いな「人間」でごめん。でも、もう一回だけ僕にチャンスを頂戴」
「…………?」
君との関係は、絶対ハッピーエンドで終わらせるから。もう一人で泣いたりしないで。
「もう、君を一人にしないから。もう一度だけ、信じてみて」
僕は君に嘘は吐かない。誰かの心ない言葉に流されたりしない。優しすぎる君を嘲笑ったりしないし、無駄な争いは起こさない。……戦争に加担してるから、それだけ胸を張れないのが心苦しいけど。君の嫌いなものに、僕はならない。君のことも、嫌いにはならない。
「うん、信じる。王子は、私のこと裏切ったりしない」
君の涙を掬うために、頬に触れた。びくっと君の肩が揺れる。綺麗な瞳に魅せられて、そのまま夢見心地で顔を近づけた。ゆっくりと目蓋を閉じて、唇と唇が重なる。そっと離れて、お互い林檎みたいな顔を晒す。
「あ、あはは……キス、しちゃったね」
「うん」
「いつも通りの日だったはずなのに、おかしいね」
「うん」
「…………もう一回、してもいい?」
僕のお願いに、君はまた黙って頷いて目蓋を閉じた。2回目のほうが、緊張する。君の柔らかい唇が、病みつきになりそうで怖くなった。
「隣、いいかい?」
今日も授業を抜け出して、誰にも見つからないような、体育館裏の隅っこで膝を抱えていた。声をかけると、一瞬だけ目が合う。僕に対して呆れたような、でも決して冷たくはないそれが嬉しい。いいとも悪いとも言われないので、勝手に横に座る。
「今日はいい天気だね」
「……話すことないなら、話さなくていいのに」
「いいや? 雨だったら君、風邪引いちゃうじゃないか。だからよかったねって」
「…………うん」
それから、春らしい爽やかな風が通り抜けて、心地のよい静寂が訪れる。君の隣がこんなにも落ち着くのはなんでなんだろう。君が息をして、隣を許してくれるだけで、穏やかな気持ちで満たされるのはなんでなんだろう。
「王子は、」
「え、なに?」
珍しく君が口を開くのでビックリしてしまった。今まで、数えられるくらいしかないんじゃないか。
「なんで、私に構うの」
「なんだ、前にも言ったじゃないか。君が好きだからだよ」
「……好きになる理由、ないじゃん」
そんなの、君が決められることじゃないのにね。君を好きな理由は僕が決めて選ぶんだ。可笑しくて笑えば、君は不満そうな顔をする。
「誤魔化さないでよ」
「誤魔化してないよ。君を好きな理由なんて、たくさんある」
でも、それをひとつひとつ丁寧に教えてあげるほど、僕は優しくなれないし勇気だって出ないんだよ。
「嘘、教えてくれたことない」
「いいじゃない、理由はどうあれ側にいるんだから。それとも、僕が側にいるの、嫌かい?」
少しだけ、僕の声が震えた。拒絶されたらどうしよう。本当は誰よりも優しい君が、我慢してるだけだったらどうしよう。
「…………嫌じゃないよ。ありがとう」
君の声は小さくて、顔は耳まで真っ赤だった。想像していた答えの先を言われて、僕も身体が熱い。そして、今まで隣にいられれば満足だったのに、僕は途端に欲張りになった。
「ねえ。……少しは君も、僕のこと好きかな」
「嫌いなんて、言ったことない」
顔を背ける君に意地悪したくなる僕は、きっと君が嫌いな「人間」なんだろうね。
「嫌いじゃなくて、好きって言って欲しいな」
「………………」
「僕のこと、好き?」
こくり、と黙って頷く君に、僕の脳内はパレードだ。きっと今僕、君にしか見せられない幸せな顔をしてる。
「そっか、そうなんだ」
「…………好きだから、嫌われるの怖い」
僕とは裏腹に、悲しそうで泣き出しそうな君。でも、吐き出された不安は可愛らしいもので、僕は余計に笑顔になってしまう。ごめんね。
「嫌いになんて、ならないよ」
「そんなの、分からないじゃん……!」
顔を覆って、泣き出してしまった。きっと君は、今まで怖い想いをたくさんしてきたんだろうね。嫌なことがたくさん、降り積もってしまって、だから「人間」を信じられなくなってしまったんだ。今すぐに、その悲しみを覆すなんて出来ないけれど。
「泣かないで、僕のお姫様。きっと、きっと大丈夫だよ」
そっと肩に触れ、そのまま抱き締めた。君ってば、こんなに小さかったの? ドキドキと加速していく心音が、君のそれと重なる。そのまま溶けてしまっても、構わないとすら思えた。
「君の嫌いな「人間」でごめん。でも、もう一回だけ僕にチャンスを頂戴」
「…………?」
君との関係は、絶対ハッピーエンドで終わらせるから。もう一人で泣いたりしないで。
「もう、君を一人にしないから。もう一度だけ、信じてみて」
僕は君に嘘は吐かない。誰かの心ない言葉に流されたりしない。優しすぎる君を嘲笑ったりしないし、無駄な争いは起こさない。……戦争に加担してるから、それだけ胸を張れないのが心苦しいけど。君の嫌いなものに、僕はならない。君のことも、嫌いにはならない。
「うん、信じる。王子は、私のこと裏切ったりしない」
君の涙を掬うために、頬に触れた。びくっと君の肩が揺れる。綺麗な瞳に魅せられて、そのまま夢見心地で顔を近づけた。ゆっくりと目蓋を閉じて、唇と唇が重なる。そっと離れて、お互い林檎みたいな顔を晒す。
「あ、あはは……キス、しちゃったね」
「うん」
「いつも通りの日だったはずなのに、おかしいね」
「うん」
「…………もう一回、してもいい?」
僕のお願いに、君はまた黙って頷いて目蓋を閉じた。2回目のほうが、緊張する。君の柔らかい唇が、病みつきになりそうで怖くなった。
