longseries-2-
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺の従姉妹は、精神を病んでいる。それが分かってから、俺なりにいろいろ調べたけれど、結局治すには時間と本人の努力が必要で、俺は見守ることしか出来ない。鬱ってやつが俺には分からないが、そうなる奴は自分を追い込んで自傷することが多いと知って、あいつの手首の内側が綺麗かどうか、いつも気にかけるようにしてた。幸いにも、珠莉は自分に無関心になるだけで、自傷癖はないようでほっとした。それにしても、手のかかる従姉妹を持ったと思う。未だにハグは要求されるし、なにがいいのか分からないが耳は触られるし、こっちは恥ずかしい。……甘えん坊の従姉妹を、突き離せない俺も悪いのは分かっている。
「!」
メールの受信があり、開くと珠莉だった。件名はなく、
『今日、このあと暇?』
とだけ書かれていた。遊びたいんだろうな、と思ったが、あいにく防衛任務前だ。
『このあと防衛任務』
簡潔に伝えて、携帯をしまう。珠莉のしょぼくれた顔が脳裏をよぎる。……今日も具合、悪いんだろうか。1人で家に閉じこもる気分を想像する。今日一日、ひとりぼっちなのは可哀想だ。俺は一考したあと、鋼にメールを打った。鋼を選んだのは、嫌な顔をしなさそうだと思ったからだ。
『悪りぃ、珠莉が具合悪いかもしれねぇ。暇してるみたいだから、誘ってやってくれねーか?』
送信を押そうとして、一度やめて一言付け足す。
『俺から聞いたとは言うなよ』
鋼のことだ、こう釘を刺さなければ、荒船から聞いたと簡単に漏らすだろう。それはこっ恥ずかしくて嫌だ。任務の時間になったので、俺は隊室を後にした。
任務を終え、帰宅してから携帯を見る。2人は会えたんだろうか。鋼から一件、返信が来ていた。
『分かった、俺も暇だから誘ってみる。ありがとう』
礼を言うのはこっちのほうなんだが。
『今日は急に悪かった。珠莉はどんな様子だった?』
返信を待つ間に、明日の支度を済ませる。忘れ物がないかをチェックして、荷物がまとまったらシャワーを浴びた。寝巻きに着替えて、携帯を見る。
『元気そうに見えた。俺の前だと無理してるのかもしれないけど……ご飯はたくさん食べてた』
『飯まで食ったのか。遅くまで付き合ってくれてサンキュ。なに食べたんだ?』
『その……俺の家で回鍋肉、食べた』
「は?」
鋼からの返信に衝撃を受ける。家? 鋼の家?
「あんの馬鹿……!!」
俺は頭を掻きながら、まずは鋼に返信を打つ。
『マジで俺の従姉妹が迷惑かけて申し訳ない。悪かった。なんか埋め合わせする』
鋼が自ら珠莉を連れ込むことは、考えられなかった。100%、あの馬鹿がわがまま言って鋼を困らせたに違いない。
『いや、別に迷惑なわけじゃ……俺は、楽しかったし。珠莉は悪くない』
『悪くないわけあるか。急に上り込んですまねぇ……!!』
『俺は大丈夫だから。珠莉のこと、責めないでやってくれ』
鋼が社交辞令でそう言っているわけじゃないのは、人柄から分かっている。だからこそ、俺は珠莉を叱らずにはいられなかった。夜遅いだとか、俺らには関係がない。俺は迷わず電話をかけた。
「もしもし」
「おう。鋼の家に行ったらしいな」
「あ、うん! 楽しかった〜」
呑気な声にため息が出る。しかし、これに流されて珠莉のペースでは、意味がない。
「あのな? 女が急に男の家に行くのは、おかしいからな?」
「えー」
「えー、じゃねぇよ! どうせお前が行きたがって、鋼困らせたんだろが」
「困らせてないし」
「いや、困らせてんだよ。鋼が優しいからそう言わないだけで」
「…………」
「だいたい、お前は危機感がなさすぎなんだよ」
いつもボケっとしていて、知らない奴にも態度が温和なせいで、変な男に絡まれた回数は数知れない。それなのに、珠莉の呆けたところは直らない。自分でも心配にならないんだろうか。
「鋼くん相手に危機感もなにも無いじゃん」
「鋼にはそれでもいいけどな! ……ハァー」
これ以上言っても、こちらが疲れるだけな気がしてきた。珠莉は俺の話をよく聞くようで、肝心なところで聞き分けがない。
「とにかく、簡単に男の家に行くな」
「うーん」
「返事」
「はーい」
不服そうな声に、もう一度ため息。こいつの心配をしなくていい日は来るんだろうか。
「…………楽しかったのか、今日」
結局、珠莉の機嫌を持ち上げてやろうと話を振ってしまう。
「うん!! 鋼くんと河川敷まで行って……」
楽しそうな珠莉の声に、自然と穏やかな気分になる。やっぱり、こいつは元気な時が一番可愛い。……本人には、死んでも言いたかないけれど。
「!」
メールの受信があり、開くと珠莉だった。件名はなく、
『今日、このあと暇?』
とだけ書かれていた。遊びたいんだろうな、と思ったが、あいにく防衛任務前だ。
『このあと防衛任務』
簡潔に伝えて、携帯をしまう。珠莉のしょぼくれた顔が脳裏をよぎる。……今日も具合、悪いんだろうか。1人で家に閉じこもる気分を想像する。今日一日、ひとりぼっちなのは可哀想だ。俺は一考したあと、鋼にメールを打った。鋼を選んだのは、嫌な顔をしなさそうだと思ったからだ。
『悪りぃ、珠莉が具合悪いかもしれねぇ。暇してるみたいだから、誘ってやってくれねーか?』
送信を押そうとして、一度やめて一言付け足す。
『俺から聞いたとは言うなよ』
鋼のことだ、こう釘を刺さなければ、荒船から聞いたと簡単に漏らすだろう。それはこっ恥ずかしくて嫌だ。任務の時間になったので、俺は隊室を後にした。
任務を終え、帰宅してから携帯を見る。2人は会えたんだろうか。鋼から一件、返信が来ていた。
『分かった、俺も暇だから誘ってみる。ありがとう』
礼を言うのはこっちのほうなんだが。
『今日は急に悪かった。珠莉はどんな様子だった?』
返信を待つ間に、明日の支度を済ませる。忘れ物がないかをチェックして、荷物がまとまったらシャワーを浴びた。寝巻きに着替えて、携帯を見る。
『元気そうに見えた。俺の前だと無理してるのかもしれないけど……ご飯はたくさん食べてた』
『飯まで食ったのか。遅くまで付き合ってくれてサンキュ。なに食べたんだ?』
『その……俺の家で回鍋肉、食べた』
「は?」
鋼からの返信に衝撃を受ける。家? 鋼の家?
「あんの馬鹿……!!」
俺は頭を掻きながら、まずは鋼に返信を打つ。
『マジで俺の従姉妹が迷惑かけて申し訳ない。悪かった。なんか埋め合わせする』
鋼が自ら珠莉を連れ込むことは、考えられなかった。100%、あの馬鹿がわがまま言って鋼を困らせたに違いない。
『いや、別に迷惑なわけじゃ……俺は、楽しかったし。珠莉は悪くない』
『悪くないわけあるか。急に上り込んですまねぇ……!!』
『俺は大丈夫だから。珠莉のこと、責めないでやってくれ』
鋼が社交辞令でそう言っているわけじゃないのは、人柄から分かっている。だからこそ、俺は珠莉を叱らずにはいられなかった。夜遅いだとか、俺らには関係がない。俺は迷わず電話をかけた。
「もしもし」
「おう。鋼の家に行ったらしいな」
「あ、うん! 楽しかった〜」
呑気な声にため息が出る。しかし、これに流されて珠莉のペースでは、意味がない。
「あのな? 女が急に男の家に行くのは、おかしいからな?」
「えー」
「えー、じゃねぇよ! どうせお前が行きたがって、鋼困らせたんだろが」
「困らせてないし」
「いや、困らせてんだよ。鋼が優しいからそう言わないだけで」
「…………」
「だいたい、お前は危機感がなさすぎなんだよ」
いつもボケっとしていて、知らない奴にも態度が温和なせいで、変な男に絡まれた回数は数知れない。それなのに、珠莉の呆けたところは直らない。自分でも心配にならないんだろうか。
「鋼くん相手に危機感もなにも無いじゃん」
「鋼にはそれでもいいけどな! ……ハァー」
これ以上言っても、こちらが疲れるだけな気がしてきた。珠莉は俺の話をよく聞くようで、肝心なところで聞き分けがない。
「とにかく、簡単に男の家に行くな」
「うーん」
「返事」
「はーい」
不服そうな声に、もう一度ため息。こいつの心配をしなくていい日は来るんだろうか。
「…………楽しかったのか、今日」
結局、珠莉の機嫌を持ち上げてやろうと話を振ってしまう。
「うん!! 鋼くんと河川敷まで行って……」
楽しそうな珠莉の声に、自然と穏やかな気分になる。やっぱり、こいつは元気な時が一番可愛い。……本人には、死んでも言いたかないけれど。