longseries-2-
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追いつきたい人がいる。18歳の頃にエンジニアに転属したが、実現していない。銃手トリガーの性能向上は3年前から見ても伸びる一方で、対して攻撃手は俺がレイガストを製作して以降、新しいものは生まれていない。木崎は予想外の形で使ってくれているし、村上も強者としてレイガストを選んでくれているが、俺は満足出来ていない。もっと、もっと鋭く斬り込める攻撃手トリガーは作れないだろうか……攻撃手は本人の実力が出やすいポジションであるので、劇的に銃手に近づきやすくなるトリガーなど難しいだろうけど。データの解析を進めながら、頭の片隅で構想を練る。近界のテクノロジーを、こちらの科学に置き換える作業は骨が折れる。鬼怒田開発室長とか、最初どうやって挑んだんだろうか。ある程度システム化されてから加入した俺でも分かるが、気が遠くなるような作業だったろうなと思う。俺が越えたい人は、そんな最初期からエンジニアで関わっている人だ。射手トリガーを参考に、銃手トリガーの基盤を作った人。当然、今も銃手トリガーの改良を手掛け、日々隊員から寄せられるオーダーに応えている。俺の宿敵とでも言える人だ。
「雷蔵、お疲れ。少し休めば?」
「…………珠莉チーフ」
珠莉さんは俺にコーラを投げて寄越す。奢りらしい。炭酸が落ち着くのを待ってから、封を開けた。シュワシュワと弾ける二酸化炭素が、喉に心地よい。
「解析、進んでる?」
「ちょっと難航してます」
「見ようか?」
「もうちょい粘らせてください」
そう伝えると、くつくつと珠莉さんは笑った。
「ほんと、負けず嫌いだなー雷蔵は」
「あんただからですよ」
「ふうん? ま、私が引き込んだようなもんだしね。この部屋に」
俺も珠莉さんも入り浸る、エンジニアのラボ。ところどころ片付いていなくて、明かりはずっとついているけど人工的なもので、およそ健康とはかけ離れたこの部屋。おかげさまで俺は太った。珠莉さんは……この人なんでこんなガリガリで細いんだろうな。
「たまには外に出たら? あんたは実戦も出来るんだし」
「お互い、籠もりきりはよくないですからね」
ここで、夕飯でも誘えたらいいんだろうけど。なんだかんだで、2人でサシ飲みなんてした事がないから、誘えずにいる。時間が経てば経つほど、やり辛くなるとは分かってるけど。
「言っても、私はどうせこの本部住みだからさぁ。ラボも部屋も変わらないっていうか」
俺は仕事とプライベートが分けられない環境、嫌だなと思うけど。……珠莉さんは、城戸司令の遠戚だと聞いている。いろいろと混み入った事情があるのかもしれない。
「…………たまには市街に出たほうがいいっすよ」
「そう? そうかな? 検討するかー」
一つ伸びをして、珠莉さんは自分のデスクに戻った。少し緩くなったコーラを一飲みして、俺も作業に戻る。少しでも、あなたの視界に入りたい。エンジニアとしても、男としても。だから、今日もタスクに向き合うのだ。
「雷蔵、お疲れ。少し休めば?」
「…………珠莉チーフ」
珠莉さんは俺にコーラを投げて寄越す。奢りらしい。炭酸が落ち着くのを待ってから、封を開けた。シュワシュワと弾ける二酸化炭素が、喉に心地よい。
「解析、進んでる?」
「ちょっと難航してます」
「見ようか?」
「もうちょい粘らせてください」
そう伝えると、くつくつと珠莉さんは笑った。
「ほんと、負けず嫌いだなー雷蔵は」
「あんただからですよ」
「ふうん? ま、私が引き込んだようなもんだしね。この部屋に」
俺も珠莉さんも入り浸る、エンジニアのラボ。ところどころ片付いていなくて、明かりはずっとついているけど人工的なもので、およそ健康とはかけ離れたこの部屋。おかげさまで俺は太った。珠莉さんは……この人なんでこんなガリガリで細いんだろうな。
「たまには外に出たら? あんたは実戦も出来るんだし」
「お互い、籠もりきりはよくないですからね」
ここで、夕飯でも誘えたらいいんだろうけど。なんだかんだで、2人でサシ飲みなんてした事がないから、誘えずにいる。時間が経てば経つほど、やり辛くなるとは分かってるけど。
「言っても、私はどうせこの本部住みだからさぁ。ラボも部屋も変わらないっていうか」
俺は仕事とプライベートが分けられない環境、嫌だなと思うけど。……珠莉さんは、城戸司令の遠戚だと聞いている。いろいろと混み入った事情があるのかもしれない。
「…………たまには市街に出たほうがいいっすよ」
「そう? そうかな? 検討するかー」
一つ伸びをして、珠莉さんは自分のデスクに戻った。少し緩くなったコーラを一飲みして、俺も作業に戻る。少しでも、あなたの視界に入りたい。エンジニアとしても、男としても。だから、今日もタスクに向き合うのだ。