longseries-2-
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一人は気楽だ。一人は自由だ。一人は孤独で、困難だ。一人が好きかと問われると……私は解答に困る。嫌いなような気もするが、なにせ一人で抱えなきゃいけないことが多過ぎる。背負うものを肩代わりする者がいないのなら、いっそ一人になって荷を全て下ろしたいと思う。そんな気分を引きずって、本部の屋上に出ていた。煙草を吸っていたら、頭上に影が現れた。
「門 発生、門 発生。座標誘導誤差、0.12。近隣の皆さまはご注意ください。門 発生……」
「近………」
トリオン兵が落とされた爆風で、煙草の煙がくゆる。モールモッドは2体。放っておいても、誰か駆けつけるだろうし、本部の防衛システムでも撃退可能だろう。しかし、万に一つだ。私は、非常用トリガーを起動した。手に馴染んだハンドガンの感触は、少し懐かしかった。
「ほら、こっち」
モールモッドにアピールするように、1発撃った。2体いるから、回り込まれることだけに注意する。あとは、隙を狙って撃ち込むだけだ。装備してるのはアステロイドとバイパー。バイパーで気を引き、アステロイドで仕留める。そういう算段だった。カシャカシャカシャ! 突然、1体が予想外に突っ込んできた。
「っ…………!?」
私の身体は弾き飛ばされ、屋上の縁まで追い詰められた。ガン、という衝突音と衝撃に、思考が揺れる。目の前に、モールモッドのブレードが迫った。
「くっ」
仕方なく、屋上からエスケープした。背中からの落下は、嫌いだ。空が遠くなる、浮遊感と、あとは。目に入る陽の光が痛い。目を瞑る。気付けば、手を上へ伸ばしていた。地面は近い。
ボスッ
何かに受け止められた。ぼんやりと目を開ければ、東の顔があった。
「大丈夫か? 間に合ってよかったよ」
「別に、トリオン体だし」
「素直じゃないのは、感心しないな」
「…………ありがとう」
そう言えば、アルカイックな笑顔を見せる。この男は、底知れない。
「東さーん! 屋上までどうやって行くのが早いですかね?」
「普通に本部内を駆け上がるしかないだろ……摩子さん、状況は」
後輩はバタバタと屋上へ向かっていった。もう、大丈夫だろう。私はトリガーをオフにした。そうして、東の腕の中から逃れる。
「珠莉はエンジニアなんだから、無理せず退避すればよかったんだぞ」
「…………念のため、と思って」
「ふーん?」
それ以上の追求は嫌だと、意思表示に顔を背けた。伝わったのか、東は話題を変えてきた。
「今夜、空いてるか? 暇な奴誘って、呑みにでも行こうと思うんだけど」
「………行ってもいい、けど」
「そうか、じゃあ数に入れる」
またあとで、と東は本部に入っていった。私はまた煙草に火をつけて、吸い直しをした。ボーダー本部を見上げると、空が小さく見えた。
「
「近………」
トリオン兵が落とされた爆風で、煙草の煙がくゆる。モールモッドは2体。放っておいても、誰か駆けつけるだろうし、本部の防衛システムでも撃退可能だろう。しかし、万に一つだ。私は、非常用トリガーを起動した。手に馴染んだハンドガンの感触は、少し懐かしかった。
「ほら、こっち」
モールモッドにアピールするように、1発撃った。2体いるから、回り込まれることだけに注意する。あとは、隙を狙って撃ち込むだけだ。装備してるのはアステロイドとバイパー。バイパーで気を引き、アステロイドで仕留める。そういう算段だった。カシャカシャカシャ! 突然、1体が予想外に突っ込んできた。
「っ…………!?」
私の身体は弾き飛ばされ、屋上の縁まで追い詰められた。ガン、という衝突音と衝撃に、思考が揺れる。目の前に、モールモッドのブレードが迫った。
「くっ」
仕方なく、屋上からエスケープした。背中からの落下は、嫌いだ。空が遠くなる、浮遊感と、あとは。目に入る陽の光が痛い。目を瞑る。気付けば、手を上へ伸ばしていた。地面は近い。
ボスッ
何かに受け止められた。ぼんやりと目を開ければ、東の顔があった。
「大丈夫か? 間に合ってよかったよ」
「別に、トリオン体だし」
「素直じゃないのは、感心しないな」
「…………ありがとう」
そう言えば、アルカイックな笑顔を見せる。この男は、底知れない。
「東さーん! 屋上までどうやって行くのが早いですかね?」
「普通に本部内を駆け上がるしかないだろ……摩子さん、状況は」
後輩はバタバタと屋上へ向かっていった。もう、大丈夫だろう。私はトリガーをオフにした。そうして、東の腕の中から逃れる。
「珠莉はエンジニアなんだから、無理せず退避すればよかったんだぞ」
「…………念のため、と思って」
「ふーん?」
それ以上の追求は嫌だと、意思表示に顔を背けた。伝わったのか、東は話題を変えてきた。
「今夜、空いてるか? 暇な奴誘って、呑みにでも行こうと思うんだけど」
「………行ってもいい、けど」
「そうか、じゃあ数に入れる」
またあとで、と東は本部に入っていった。私はまた煙草に火をつけて、吸い直しをした。ボーダー本部を見上げると、空が小さく見えた。