longseries-2-
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トリオン体での活動が多いと季節の移り変わりにも疎くなる。陽が沈む時刻が早くなったことで、ようやく吹きつける風が冷たいことに気がついた。
「っくし」
くしゃみが出て身震いをする。とても肌寒い。トリオン体で帰ってしまうことも考えたが、使用履歴が本部に残ってしまうので弁明が恥ずかしい。どうしようか、と迷って本部から出られずにいると、
「設楽、どうしたんだ」
二宮さんが声をかけてくれた。二宮さんはしっかり防寒していて、暖かそうだ。
「いえ、想像以上に寒いなって……二宮さんしっかり衣替えしてますね」
「今日は冷え込むと予報が出てたからな」
二宮さん、余裕があって大人だなぁ。この後の二宮さんの私生活を想像する。帰って、なに食べるのかな。テレビとか、見るんだろうか。
「設楽、」
「! はい?」
「これ、着ていけ」
惚けていた私に、二宮さんはフワッと上着を着せた。そうして、自分はさっさと歩いて行ってしまおうとする。
「えっちょっと待ってください二宮さん!」
「なんだ、立ち止まると寒い」
「あっ、すみません!」
駆け寄ろうにも、私と二宮さんの進行方向は逆なようだし、あたふたと変な動きをしてしまう。そんな私を見て、二宮さんはフッと笑った。
「着ていけ。俺は大丈夫だ」
スタスタと去っていく背中が颯爽としていて、上着から香る匂いも相まって体温が上がる。
「ありがとうございます!」
遠ざかる距離でも聞こえるように、少しだけ大きな声で呼びかけた。
それが数日前の出来事。上着は念のためにクリーニングに出して綺麗にした。でも、ただ返すだけじゃ失礼だよね。本部の二宮さんに会いにいく前、街中をふらふらして手土産を探す。最近出来た、お菓子屋さんが目に入る。どうやらミルクキャラメルがお店の自慢らしく、大きくポスターで宣伝されている。妙に美味しそうに見えたので、これにすることにした。ラッピングも無料だったのでしてもらった。喜んでもらえるといいな。
「失礼しますー」
二宮隊の隊室、メンバーは任務に出る前のようで各々準備をしていた。渡すだけで済むことなので、中には入らなかった。
「設楽」
「二宮さん、こないだはありがとうございました。これ、御礼です」
上着と共にキャラメルの小包を渡すと、二宮さんは珍しく驚いた顔をした。
「どうしました?」
「いや……この菓子は」
「あぁ、お口に合えばいいんですけど。美味しそうだったので」
「…………そうか」
なにか納得したようで、満足気に二宮さんは微笑んだ。理由は分からないが私も笑う。心なしか頬が熱い。
「それじゃ、私はこれで。任務頑張ってくださいね」
「あぁ。ありがとう」
二宮隊室を後にする。なんだか予想以上に喜んでもらえたようでよかった。キャラメル、お好きなんだろうか。いつもお茶をする時にお菓子を買ってきてくれるから、甘いものは好きなのだと思うけど……。二宮さんの口で溶けていく砂糖は幸せだろうな、となんだかメルヘンチックなことを思ったりした。10月27日。今年もあと少しだ。
「っくし」
くしゃみが出て身震いをする。とても肌寒い。トリオン体で帰ってしまうことも考えたが、使用履歴が本部に残ってしまうので弁明が恥ずかしい。どうしようか、と迷って本部から出られずにいると、
「設楽、どうしたんだ」
二宮さんが声をかけてくれた。二宮さんはしっかり防寒していて、暖かそうだ。
「いえ、想像以上に寒いなって……二宮さんしっかり衣替えしてますね」
「今日は冷え込むと予報が出てたからな」
二宮さん、余裕があって大人だなぁ。この後の二宮さんの私生活を想像する。帰って、なに食べるのかな。テレビとか、見るんだろうか。
「設楽、」
「! はい?」
「これ、着ていけ」
惚けていた私に、二宮さんはフワッと上着を着せた。そうして、自分はさっさと歩いて行ってしまおうとする。
「えっちょっと待ってください二宮さん!」
「なんだ、立ち止まると寒い」
「あっ、すみません!」
駆け寄ろうにも、私と二宮さんの進行方向は逆なようだし、あたふたと変な動きをしてしまう。そんな私を見て、二宮さんはフッと笑った。
「着ていけ。俺は大丈夫だ」
スタスタと去っていく背中が颯爽としていて、上着から香る匂いも相まって体温が上がる。
「ありがとうございます!」
遠ざかる距離でも聞こえるように、少しだけ大きな声で呼びかけた。
それが数日前の出来事。上着は念のためにクリーニングに出して綺麗にした。でも、ただ返すだけじゃ失礼だよね。本部の二宮さんに会いにいく前、街中をふらふらして手土産を探す。最近出来た、お菓子屋さんが目に入る。どうやらミルクキャラメルがお店の自慢らしく、大きくポスターで宣伝されている。妙に美味しそうに見えたので、これにすることにした。ラッピングも無料だったのでしてもらった。喜んでもらえるといいな。
「失礼しますー」
二宮隊の隊室、メンバーは任務に出る前のようで各々準備をしていた。渡すだけで済むことなので、中には入らなかった。
「設楽」
「二宮さん、こないだはありがとうございました。これ、御礼です」
上着と共にキャラメルの小包を渡すと、二宮さんは珍しく驚いた顔をした。
「どうしました?」
「いや……この菓子は」
「あぁ、お口に合えばいいんですけど。美味しそうだったので」
「…………そうか」
なにか納得したようで、満足気に二宮さんは微笑んだ。理由は分からないが私も笑う。心なしか頬が熱い。
「それじゃ、私はこれで。任務頑張ってくださいね」
「あぁ。ありがとう」
二宮隊室を後にする。なんだか予想以上に喜んでもらえたようでよかった。キャラメル、お好きなんだろうか。いつもお茶をする時にお菓子を買ってきてくれるから、甘いものは好きなのだと思うけど……。二宮さんの口で溶けていく砂糖は幸せだろうな、となんだかメルヘンチックなことを思ったりした。10月27日。今年もあと少しだ。