longseries-2-
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今日は俺の誕生日だ。しかしながら、俺以外にとっては特別な日というわけでもなく、普通に学校はあるし、午後は防衛任務もあった。仕事を済ませれば、刻々と時間は過ぎていった。任務後、夜に仲間からお好み焼き「かげうら」に呼ばれていて、穂刈と義人を連れ立って向かった。現着して目に入ったのは、片想い中の相手の後ろ姿。こちらに気付くと、振り向いて笑顔を向ける。
「あ、荒船くん。お誕生日おめでとう」
「……おう、なんで珠莉が」
「うん? 雅人くんに誘われて、よかったらって! みんなでお好み焼き、楽しいよねぇ」
予想外の来訪者に、柄にもなく緊張をする。カゲと目が合うと、さっさと座れと目配せされた。
「配膳もういいから、座れ。ドジる前に座ってくれ」
「あー! またそうやって雅人くん私のこと厄介者にして」
「あーうるせぇ! 4人で喋ってろっての」
カゲの誘導と、穂刈と義人の連携で、上手いこと俺の隣に彼女が座る。うわ、近ぇ……食事を一緒に摂る機会なんてほぼないから、心音はうるさいし、顔は熱い。
「任務はなかったのか、今日。設楽は」
「うん、なかったよー。荒船隊は隊長が誕生日でも任務だもんね。お疲れ様!」
「ほんと、自分の誕生日くらい休み取ればいいっすよね」
「ふふ、それだけ荒船くんは真面目なんだよね」
「い、や……別にそういうわけじゃねーよ」
心臓鷲掴みにされて、くすぐられてる気分だ。会話に集中出来ねぇ。会話になってるか、大丈夫か俺。
「あ、そうだ。つまらないものですが、誕生日プレゼントをお待ちしました」
「つまらないものですが……??」
「つまらないものですが」
はい、と渡されたラッピングされた小さな紙包。
「開けてもいいか?」
「どーぞー」
丁寧にテープを剥がし、中身を出してみる。コロンと飛び出てきた消しゴムと、ボールペン1本と替え芯。頭にクエスチョンマークが浮かんだ。
「あれ……嬉しくない? いらなかった?」
「いや、そんなことはねぇけど……なんでこれ?」
「えっ初めて会った時、無いって言ってたよね?」
しばらく黙って長考してしまった。初めて会った日。確か、カゲの買い出しについて行ったら珠莉に会って……あ。
「いや、確かにあの日買いには出てたけど……かと言って誕プレに選ぶかよ」
ふに落ちたら、可笑しくなってしまって笑った。珠莉は、少し恥ずかしそうに首を傾げている。
「えー? だってあっても困らないよね?」
「あえては選ばないな、困らないからこそ」
「設楽先輩、趣味わる……というかダル」
「えー! 2人ともひどーい! 私が可笑しいのかなぁ」
カゲが完璧に焼き上げたお好み焼きを持ってきた。目の前の鉄板に乗せ、手際よく等分していく。
「ようやく気付いたか。お前はおかしいぞ」
「雅人くんは黙ってて!」
皆から笑われて、少ししょんぼりとしている彼女が愛くるしい。手の中の消しゴムもボールペンも、珠莉から貰ったというだけで、こんなにも大事に思えるのだから不思議だ。
「珠莉、」
「うん?」
「ありがとう。大事に使う、から」
パッと花が咲いたように笑う彼女は、綺麗だと思う。今の俺には、それだけでも充分だ。
「あ、荒船くん。お誕生日おめでとう」
「……おう、なんで珠莉が」
「うん? 雅人くんに誘われて、よかったらって! みんなでお好み焼き、楽しいよねぇ」
予想外の来訪者に、柄にもなく緊張をする。カゲと目が合うと、さっさと座れと目配せされた。
「配膳もういいから、座れ。ドジる前に座ってくれ」
「あー! またそうやって雅人くん私のこと厄介者にして」
「あーうるせぇ! 4人で喋ってろっての」
カゲの誘導と、穂刈と義人の連携で、上手いこと俺の隣に彼女が座る。うわ、近ぇ……食事を一緒に摂る機会なんてほぼないから、心音はうるさいし、顔は熱い。
「任務はなかったのか、今日。設楽は」
「うん、なかったよー。荒船隊は隊長が誕生日でも任務だもんね。お疲れ様!」
「ほんと、自分の誕生日くらい休み取ればいいっすよね」
「ふふ、それだけ荒船くんは真面目なんだよね」
「い、や……別にそういうわけじゃねーよ」
心臓鷲掴みにされて、くすぐられてる気分だ。会話に集中出来ねぇ。会話になってるか、大丈夫か俺。
「あ、そうだ。つまらないものですが、誕生日プレゼントをお待ちしました」
「つまらないものですが……??」
「つまらないものですが」
はい、と渡されたラッピングされた小さな紙包。
「開けてもいいか?」
「どーぞー」
丁寧にテープを剥がし、中身を出してみる。コロンと飛び出てきた消しゴムと、ボールペン1本と替え芯。頭にクエスチョンマークが浮かんだ。
「あれ……嬉しくない? いらなかった?」
「いや、そんなことはねぇけど……なんでこれ?」
「えっ初めて会った時、無いって言ってたよね?」
しばらく黙って長考してしまった。初めて会った日。確か、カゲの買い出しについて行ったら珠莉に会って……あ。
「いや、確かにあの日買いには出てたけど……かと言って誕プレに選ぶかよ」
ふに落ちたら、可笑しくなってしまって笑った。珠莉は、少し恥ずかしそうに首を傾げている。
「えー? だってあっても困らないよね?」
「あえては選ばないな、困らないからこそ」
「設楽先輩、趣味わる……というかダル」
「えー! 2人ともひどーい! 私が可笑しいのかなぁ」
カゲが完璧に焼き上げたお好み焼きを持ってきた。目の前の鉄板に乗せ、手際よく等分していく。
「ようやく気付いたか。お前はおかしいぞ」
「雅人くんは黙ってて!」
皆から笑われて、少ししょんぼりとしている彼女が愛くるしい。手の中の消しゴムもボールペンも、珠莉から貰ったというだけで、こんなにも大事に思えるのだから不思議だ。
「珠莉、」
「うん?」
「ありがとう。大事に使う、から」
パッと花が咲いたように笑う彼女は、綺麗だと思う。今の俺には、それだけでも充分だ。