longseries-2-
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常々、設楽珠莉という女は、図々しいというか図太いなと俺は思ってた。みんな彼女に甘いから、仕方ないのかもしれないけど。鳩原ちゃんも二宮さんも、王子とか荒船とか、他のみんなもそう。まぁ、ボーダーの人達はみんな優しいから、珠莉ちゃんの在り方を否定するなんて奴はいないんだろう。俺はあまり好きじゃない、実は。大人しそうに見えて、押しが強い感じが嫌。そんなことを考えていたら、影だ。隊室の呼び鈴が鳴る。
「こんにちは、犬飼くん。二宮さん、いる?」
「…………今いない。呼ぶ?」
「うん、そうしてくれたら助かるかな」
ここで待ってていい? と小首を傾げる仕草は、こちらに主導権を譲っているようで、実はそうじゃない。断られるなんて、微塵も思ってなさそうな顔がどうにも。
「いいよー適当にしてて」
へらっと笑顔を返せば、本当に遠慮なく部屋に入り、ソファを占領する。……なんでわざわざ、俺の向かいに座るかなぁ。二宮さんに連絡を入れ、そのまま端末に視線を落として無視を決め込む。
「犬飼くん、最近はどう?」
「どうもなにもないよ。至ってふつー」
「そっか、上手くいってるんだね」
「……鳩原ちゃんの穴が気になるなら、珠莉ちゃんがうちに来ればいーじゃん」
「え」
予想通り、珠莉ちゃんは固まった。視線をかち合わせれば、少し揺れた。けど、すぐに真っ直ぐに返してきた。うん、その強さも好みじゃない。
「それは、ダメだよ。だって未来ちゃんの帰る場所がなくなっちゃう」
「ピンチヒッターでもいいじゃない? そんな深く考えなくても」
「いや、でも。それでも、私は嫌だよ」
きっぱりと断られる。知ってたし、毎日顔を合わせるなんて俺がゴメンだからいいんだけど。
「それに私、実家の手伝いもあるし……」
「あーいいよ。ちょっと思いついただけ。ごめんね?」
そう言えば、ホッとしたようにまた顔を綻ばせる。油断してるなぁ。俺がその気になれば、彼女をボロボロにするなんて容易いんだろうか。でも、案外思い通りにならないんだろうな。ムカつくな……不穏な思考をしていたら、隊室のドアが開いた。
「あ、二宮さん」
「待たせて悪い。シュークリーム買ってきたが、食べるか?」
「やったあ。いただきます!」
珠莉ちゃんは当たり前のように、給湯室に入っていった。俺と二宮さんが取り残される。
「お疲れ様です、二宮さん」
「あぁ。どうした? なにか不満気だが」
「そうですか? なんもないですよ」
珠莉ちゃんいるからって、わざわざお菓子買ってくる人に文句なんてないさ。しかも、毎回ね! 二宮さんは不思議そうな顔をしたが、それ以上は突っ込んでこなかった。
「こんにちは、犬飼くん。二宮さん、いる?」
「…………今いない。呼ぶ?」
「うん、そうしてくれたら助かるかな」
ここで待ってていい? と小首を傾げる仕草は、こちらに主導権を譲っているようで、実はそうじゃない。断られるなんて、微塵も思ってなさそうな顔がどうにも。
「いいよー適当にしてて」
へらっと笑顔を返せば、本当に遠慮なく部屋に入り、ソファを占領する。……なんでわざわざ、俺の向かいに座るかなぁ。二宮さんに連絡を入れ、そのまま端末に視線を落として無視を決め込む。
「犬飼くん、最近はどう?」
「どうもなにもないよ。至ってふつー」
「そっか、上手くいってるんだね」
「……鳩原ちゃんの穴が気になるなら、珠莉ちゃんがうちに来ればいーじゃん」
「え」
予想通り、珠莉ちゃんは固まった。視線をかち合わせれば、少し揺れた。けど、すぐに真っ直ぐに返してきた。うん、その強さも好みじゃない。
「それは、ダメだよ。だって未来ちゃんの帰る場所がなくなっちゃう」
「ピンチヒッターでもいいじゃない? そんな深く考えなくても」
「いや、でも。それでも、私は嫌だよ」
きっぱりと断られる。知ってたし、毎日顔を合わせるなんて俺がゴメンだからいいんだけど。
「それに私、実家の手伝いもあるし……」
「あーいいよ。ちょっと思いついただけ。ごめんね?」
そう言えば、ホッとしたようにまた顔を綻ばせる。油断してるなぁ。俺がその気になれば、彼女をボロボロにするなんて容易いんだろうか。でも、案外思い通りにならないんだろうな。ムカつくな……不穏な思考をしていたら、隊室のドアが開いた。
「あ、二宮さん」
「待たせて悪い。シュークリーム買ってきたが、食べるか?」
「やったあ。いただきます!」
珠莉ちゃんは当たり前のように、給湯室に入っていった。俺と二宮さんが取り残される。
「お疲れ様です、二宮さん」
「あぁ。どうした? なにか不満気だが」
「そうですか? なんもないですよ」
珠莉ちゃんいるからって、わざわざお菓子買ってくる人に文句なんてないさ。しかも、毎回ね! 二宮さんは不思議そうな顔をしたが、それ以上は突っ込んでこなかった。