longseries-2-
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俺にとって最大級のチャンスが到来した。映画のスターのように、カッコよくなれる瞬間が。好きな女が悪漢に絡まれてるシチュエーションなんて、本当に存在するんだな。道の反対側で、確かに男共に囲まれた珠莉を確認した。
「行きません! しつこいですよ」
「いーじゃんいーじゃん。ちょっと俺らとお茶しようよ」
「そうそう。なんせ、俺らボーダー隊員だよ? ちょっとした自慢になるっしょ」
どうやら見たところ、勘違いでつけ上がったC級隊員のようだ。
「関係ありません、行きません」
「あーうっざいなぁ。ちょっと可愛い顔してるから声かけてんのに」
「俺らの持ってるコレ、分かる? コレあればあんたを黙らせるなんて簡単なんだよ?」
コレ、と呼ばれたそれは訓練用のトリガー。あまりにも下衆で珠莉のことは関係なく、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
「いーから、来いよ」
「嫌っ……!!」
「おい、その汚ねぇ手を離せ」
「あ……?」
珠莉の左腕を掴んだ男の、右手首を思い切り捻ってやった。
「痛っ……なにしやがんだてめー!」
「おい、馬鹿! やめろ、正隊員だこいつ! ランク戦で見た!」
「おう、お前らの顔覚えたからな。本部に報告はさせてもらう」
「くそっ、ズラかれ!」
一人、また一人と散るように逃げていく。全く、入隊時の面接とかで見抜けねーもんなのか。ため息を吐いて、背後に隠した珠莉に振り返る。
「おい、大丈夫か……」
また、いつもみたいに「ありがとう」と笑顔で言われると思ったし、それを期待していた。しかし、現実の反応はそれとは違っていて。
「くっ……ふっ……泣いてない、泣いてないよ……!」
「!?……おい、なんかされたか? 本当に大丈夫か」
「大丈夫だよ! ……なんもない、なんもないったら」
そう言って、顔を両手で覆ってしまった。怖かったのだろう。少し戸惑ったが、肩に触れようと手を伸ばした。が、振り払われる。
「荒船くん、来なくても、一人でなんとか出来たんだから……!」
「はぁ??」
この状態を見て、誰がそう思うだろうか。
「いや、無理あるだろそれ」
「うるさい、なんとか出来たもん」
彼女はそっぽを向いて、不貞腐れてしまった。普通ならムカつくところなんだろうが、なんだろうな。普段の朗らかな彼女からは予想出来ない、可愛らしい強がりにキュンとしてしまった。
「おいおい、窮地を助けたヒーローに、感謝の言葉はねーのかよ」
「…………荒船くん、ありがと」
いつもより小さい声で伝えられたそれが、胸を締め付けて離さない。
「つーか、トリガーは?」
「わ、忘れたの! 家にはちゃんとある!」
この日改めて、俺は設楽珠莉に恋をした。
「行きません! しつこいですよ」
「いーじゃんいーじゃん。ちょっと俺らとお茶しようよ」
「そうそう。なんせ、俺らボーダー隊員だよ? ちょっとした自慢になるっしょ」
どうやら見たところ、勘違いでつけ上がったC級隊員のようだ。
「関係ありません、行きません」
「あーうっざいなぁ。ちょっと可愛い顔してるから声かけてんのに」
「俺らの持ってるコレ、分かる? コレあればあんたを黙らせるなんて簡単なんだよ?」
コレ、と呼ばれたそれは訓練用のトリガー。あまりにも下衆で珠莉のことは関係なく、ふつふつと怒りが込み上げてきた。
「いーから、来いよ」
「嫌っ……!!」
「おい、その汚ねぇ手を離せ」
「あ……?」
珠莉の左腕を掴んだ男の、右手首を思い切り捻ってやった。
「痛っ……なにしやがんだてめー!」
「おい、馬鹿! やめろ、正隊員だこいつ! ランク戦で見た!」
「おう、お前らの顔覚えたからな。本部に報告はさせてもらう」
「くそっ、ズラかれ!」
一人、また一人と散るように逃げていく。全く、入隊時の面接とかで見抜けねーもんなのか。ため息を吐いて、背後に隠した珠莉に振り返る。
「おい、大丈夫か……」
また、いつもみたいに「ありがとう」と笑顔で言われると思ったし、それを期待していた。しかし、現実の反応はそれとは違っていて。
「くっ……ふっ……泣いてない、泣いてないよ……!」
「!?……おい、なんかされたか? 本当に大丈夫か」
「大丈夫だよ! ……なんもない、なんもないったら」
そう言って、顔を両手で覆ってしまった。怖かったのだろう。少し戸惑ったが、肩に触れようと手を伸ばした。が、振り払われる。
「荒船くん、来なくても、一人でなんとか出来たんだから……!」
「はぁ??」
この状態を見て、誰がそう思うだろうか。
「いや、無理あるだろそれ」
「うるさい、なんとか出来たもん」
彼女はそっぽを向いて、不貞腐れてしまった。普通ならムカつくところなんだろうが、なんだろうな。普段の朗らかな彼女からは予想出来ない、可愛らしい強がりにキュンとしてしまった。
「おいおい、窮地を助けたヒーローに、感謝の言葉はねーのかよ」
「…………荒船くん、ありがと」
いつもより小さい声で伝えられたそれが、胸を締め付けて離さない。
「つーか、トリガーは?」
「わ、忘れたの! 家にはちゃんとある!」
この日改めて、俺は設楽珠莉に恋をした。