longseries-2-
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朝って誰にでも等しくやってくる。それはこの街のヒーロー、佐鳥賢にだって同じで。
「ちょっと母さん! なんで起こしてくんなかったの!」
「大げさねぇ、まだ間に合うじゃないの」
「間に合うけど、間に合わないの!」
朝ごはんを大急ぎで食べて、家を飛び出す。学校には余裕で間に合うのだが。毎日の楽しみ、俺と先輩の唯一2人きりの時間がなくなってしまう! 走って走って、でも悟られないように手前で呼吸を整えて……大通りに出る十字路で、珠莉先輩は待ってくれていた。
「おはよう、佐鳥くん」
「お、おはようございます、珠莉先輩!」
緩やかに笑いかける先輩に、心臓は高鳴っている。毎朝、同じやり取りをしているのに。高校に上がってから、珠莉先輩と俺は同じ通学路になった。前々から気になる存在だった先輩に、勇気を出して登校を共にしていいか、とアタックしたのだ。珠莉先輩は二つ返事でオーケーしてくれた。
「佐鳥くん、寝癖ついてるよ」
「えっ、あっ」
「ふふ、可愛い」
背伸びした先輩が髪に触れるから、ドキドキが止まらない。なんかいい匂いする。可愛いのは珠莉先輩! そんな主張も出来ずにされるがまま、寝癖を直してもらう。
「昨日も忙しかったの?」
「えっと……はい。広報の仕事あって」
「お疲れ様。本当に佐鳥くんは街のヒーローだね!」
嫌味なんかでなく、真っ直ぐそう伝えてくれる先輩は眩しい。初めて会った時も、恋に落ちた時も、珠莉先輩はいつだって素直で綺麗だ。
「珠莉先輩は、昨日はなにしてたの?」
「昨日? 昨日は珍しく迅さんに会ったかな」
「迅さんに? へぇー」
「うん、なんか変だったけどーー」
毎日毎日、話すことなんて探すのは大変で、ましてや緊張してるから上手く話題なんて出なくて。それでも、嫌な顔ひとつせず、珠莉先輩は話を続けてくれる。どんな表情も見逃したくなくて、ずっと見つめてしまう。……なんで気付かないかなぁ。
「佐鳥くんは、最近迅さんに会ったりした?」
「!! いや、最近はない、です」
急にこっちを見るから、心臓に悪い。やっぱり、気付かないで欲しいかも……。ぐるぐる回る思考回路。校門が近づいて、お別れも近くなる。
「じゃあ、佐鳥くん。今日も一日頑張ろうね!」
「はい、お疲れ様です!」
手を振って、たくさんの学生の一人になっていく先輩。それを見送る時には、すっかり自信なんて無くなってしまう。俺が一緒にいられるのは、登校の20分ほどだけ。クラスに行けば王子先輩がいるし、狙撃訓練の時は……。珠莉先輩がモテることなんて知ってる。それも、俺よりカッコいい奴に。高嶺の花を通り越して、俺には崖の上の花に見える。手を伸ばして、届くだろうか? いや、無理かも。そう思っても、珠莉先輩への想いは毎日、加速していくんだ。
「ちょっと母さん! なんで起こしてくんなかったの!」
「大げさねぇ、まだ間に合うじゃないの」
「間に合うけど、間に合わないの!」
朝ごはんを大急ぎで食べて、家を飛び出す。学校には余裕で間に合うのだが。毎日の楽しみ、俺と先輩の唯一2人きりの時間がなくなってしまう! 走って走って、でも悟られないように手前で呼吸を整えて……大通りに出る十字路で、珠莉先輩は待ってくれていた。
「おはよう、佐鳥くん」
「お、おはようございます、珠莉先輩!」
緩やかに笑いかける先輩に、心臓は高鳴っている。毎朝、同じやり取りをしているのに。高校に上がってから、珠莉先輩と俺は同じ通学路になった。前々から気になる存在だった先輩に、勇気を出して登校を共にしていいか、とアタックしたのだ。珠莉先輩は二つ返事でオーケーしてくれた。
「佐鳥くん、寝癖ついてるよ」
「えっ、あっ」
「ふふ、可愛い」
背伸びした先輩が髪に触れるから、ドキドキが止まらない。なんかいい匂いする。可愛いのは珠莉先輩! そんな主張も出来ずにされるがまま、寝癖を直してもらう。
「昨日も忙しかったの?」
「えっと……はい。広報の仕事あって」
「お疲れ様。本当に佐鳥くんは街のヒーローだね!」
嫌味なんかでなく、真っ直ぐそう伝えてくれる先輩は眩しい。初めて会った時も、恋に落ちた時も、珠莉先輩はいつだって素直で綺麗だ。
「珠莉先輩は、昨日はなにしてたの?」
「昨日? 昨日は珍しく迅さんに会ったかな」
「迅さんに? へぇー」
「うん、なんか変だったけどーー」
毎日毎日、話すことなんて探すのは大変で、ましてや緊張してるから上手く話題なんて出なくて。それでも、嫌な顔ひとつせず、珠莉先輩は話を続けてくれる。どんな表情も見逃したくなくて、ずっと見つめてしまう。……なんで気付かないかなぁ。
「佐鳥くんは、最近迅さんに会ったりした?」
「!! いや、最近はない、です」
急にこっちを見るから、心臓に悪い。やっぱり、気付かないで欲しいかも……。ぐるぐる回る思考回路。校門が近づいて、お別れも近くなる。
「じゃあ、佐鳥くん。今日も一日頑張ろうね!」
「はい、お疲れ様です!」
手を振って、たくさんの学生の一人になっていく先輩。それを見送る時には、すっかり自信なんて無くなってしまう。俺が一緒にいられるのは、登校の20分ほどだけ。クラスに行けば王子先輩がいるし、狙撃訓練の時は……。珠莉先輩がモテることなんて知ってる。それも、俺よりカッコいい奴に。高嶺の花を通り越して、俺には崖の上の花に見える。手を伸ばして、届くだろうか? いや、無理かも。そう思っても、珠莉先輩への想いは毎日、加速していくんだ。