longseries-2-
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目で追い始めたのはいつ頃だったか。目が合った時、帽子を深くかぶって誤魔化すように癖がついた頃。そんな俺に気付きもせず、駆け寄るあいつは無防備で、無垢な笑顔を俺に向ける。ずっと側で眺めていられたら、どんなにいいか。
初めて出会ったのは、1年ほど前になる。夏の暑い日、ちょうど夏休みに入った頃で、珍しく任務もない日だった。家で勉強していようと思ったが、何故かノートも消しゴムもボールペンのインクも持ち合わせがなくなるという異常事態が起きた。仕方なく買い物に出かけたところ、暑い中でもマスクに長袖姿のカゲと出会った。
「おう、相変わらず暑いのに大変だな」
「うっせー……店の手伝いなんだよ」
「? 出かけてるのに?」
「買い出しだよ、買い出し。暇なら荒船も来いよ、一枚くらい奢ってやるから」
「マジか、なら付き合ってやるよ」
カゲと2人、炎天下の中を歩く。商店街の突き当たりまで来て、カゲが足を止めた。設楽スーパー。カゲはズンズンと店の中に入る。マスクを下ろしたのを見て、慣れてる場所なんだと思った。
「あ、雅人くん。お疲れ様」
「おう。頼んでたやつ」
「ちょっと待っててね」
対応したのは、同い年くらいに見える女の子だった。長い髪を一つに結いていて大人びた印象も受けるが、歩く姿はなんだかひょこひょことしていて可愛らしい。気になって、思わずカゲに聞いた。
「あ? 珠莉に興味あんのかよ? 俺と同じだよ、ここが実家で一人娘なんだ」
「へぇ。いい奴そうだな」
「…………どうだかな。怒らすんじゃねぇぞ、わりとおっかねぇ」
「あら、それ誰の話かな雅人くん?」
戻ってきた彼女は、笑顔でカゲを問い詰める。カゲはめんどくさそうに頭を掻くと、
「あー普段はドジなクセにキレるとめんどくせー女の話だよ」
と、言い切った。仲良いんだな、と率直に思った。
「ちょっと! 雅人くん私のことそんな風に思ってたの」
「あーあーめんどくせぇな! さっさっとキャベツ寄越せよ」
言い合いながら、カゲはキャベツが5玉とウーロン茶2リットルが3本を買って俺に半分寄越した。
「あ、雅人くんのお友達だよね? はじめまして、設楽珠莉です」
「あ、どうも。荒船哲次だ、よろしく」
「外暑いよね、お水持ってくるね」
「おー転けるなよ、いつもみたいに」
「雅人くんは黙ってて!」
そう言ってお水を持ってきた彼女が、本当に転けるとは思わなかった。
その後、ボーダー本部に所属していることを知った。ボーダーで初めて会った時、お互い制服を着ていたので通う学校が違うこともその時知った。
「荒船くん、六頴館だったんだね」
「あぁ」
「すごいなぁ……あ、あのさ。厚かましいんだけどお願いが……」
「なんだ?」
「勉強、教えてもらえないでしょうか……!」
すごく申し訳なさそうに、必死に懇願する彼女はやはり可愛らしかった。俺は快く了承した。
「ありがとう、荒船くん!」
いつしか、感謝の言葉とその笑顔を独り占めしたいと思うようになっていた。男として、頼られる存在になりたい。ドジな彼女は鈍感でもあって、まだまだ全く気がついてないみたいだが。狙撃手に転向してからは、合同訓練で顔を合わせるので、チャンスだと思っている。
「荒船くん、お疲れ様!」
「っ、あぁお疲れ。珠莉」
くそ。話しかけられたくらいでどもるなんて、カッコつかねぇな。
初めて出会ったのは、1年ほど前になる。夏の暑い日、ちょうど夏休みに入った頃で、珍しく任務もない日だった。家で勉強していようと思ったが、何故かノートも消しゴムもボールペンのインクも持ち合わせがなくなるという異常事態が起きた。仕方なく買い物に出かけたところ、暑い中でもマスクに長袖姿のカゲと出会った。
「おう、相変わらず暑いのに大変だな」
「うっせー……店の手伝いなんだよ」
「? 出かけてるのに?」
「買い出しだよ、買い出し。暇なら荒船も来いよ、一枚くらい奢ってやるから」
「マジか、なら付き合ってやるよ」
カゲと2人、炎天下の中を歩く。商店街の突き当たりまで来て、カゲが足を止めた。設楽スーパー。カゲはズンズンと店の中に入る。マスクを下ろしたのを見て、慣れてる場所なんだと思った。
「あ、雅人くん。お疲れ様」
「おう。頼んでたやつ」
「ちょっと待っててね」
対応したのは、同い年くらいに見える女の子だった。長い髪を一つに結いていて大人びた印象も受けるが、歩く姿はなんだかひょこひょことしていて可愛らしい。気になって、思わずカゲに聞いた。
「あ? 珠莉に興味あんのかよ? 俺と同じだよ、ここが実家で一人娘なんだ」
「へぇ。いい奴そうだな」
「…………どうだかな。怒らすんじゃねぇぞ、わりとおっかねぇ」
「あら、それ誰の話かな雅人くん?」
戻ってきた彼女は、笑顔でカゲを問い詰める。カゲはめんどくさそうに頭を掻くと、
「あー普段はドジなクセにキレるとめんどくせー女の話だよ」
と、言い切った。仲良いんだな、と率直に思った。
「ちょっと! 雅人くん私のことそんな風に思ってたの」
「あーあーめんどくせぇな! さっさっとキャベツ寄越せよ」
言い合いながら、カゲはキャベツが5玉とウーロン茶2リットルが3本を買って俺に半分寄越した。
「あ、雅人くんのお友達だよね? はじめまして、設楽珠莉です」
「あ、どうも。荒船哲次だ、よろしく」
「外暑いよね、お水持ってくるね」
「おー転けるなよ、いつもみたいに」
「雅人くんは黙ってて!」
そう言ってお水を持ってきた彼女が、本当に転けるとは思わなかった。
その後、ボーダー本部に所属していることを知った。ボーダーで初めて会った時、お互い制服を着ていたので通う学校が違うこともその時知った。
「荒船くん、六頴館だったんだね」
「あぁ」
「すごいなぁ……あ、あのさ。厚かましいんだけどお願いが……」
「なんだ?」
「勉強、教えてもらえないでしょうか……!」
すごく申し訳なさそうに、必死に懇願する彼女はやはり可愛らしかった。俺は快く了承した。
「ありがとう、荒船くん!」
いつしか、感謝の言葉とその笑顔を独り占めしたいと思うようになっていた。男として、頼られる存在になりたい。ドジな彼女は鈍感でもあって、まだまだ全く気がついてないみたいだが。狙撃手に転向してからは、合同訓練で顔を合わせるので、チャンスだと思っている。
「荒船くん、お疲れ様!」
「っ、あぁお疲れ。珠莉」
くそ。話しかけられたくらいでどもるなんて、カッコつかねぇな。