荒船部屋
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……寝坊した。クリスマスデートに。なんということでしょう。私はもはや慌てるということはせずに、哲次に連絡を取る。
「もしもし、おはよう」
「……お前、今起きただろ」
「おっしゃる通りで」
「……はぁ。まあ、いい。駅前じゃなくてお前の家に迎えにいくから。それまでに支度しろ」
「申し訳ありません……」
プツッと切れる携帯。ぼんやりする頭で、最低限やらなくてはならない支度を考える。
「朝ごはんは諦めて、シャワーだなぁ……」
結局、シャワーを浴びて髪を乾かした頃には哲次が来てしまって、ろくに化粧もせず、服もまともに選べずに普段通りの格好で外に出た。うっすらと曇る空は、今夜は冷え込むことを教えているようだ。哲次は怒るでもなく、愚痴るでもなく、普段通りの私の手を取った。そうして、ポッケに誘い込むと、そのまま歩き出してしまった。
「寝坊してごめん」
「別に。具合悪いとかじゃないんだろ?」
「うん、単に寝過ごした」
「ならいい」
ポッケの中で右手が、哲次の左手に弄られる。握ったり、指で撫でたり。時間に厳しい性格のはずだが、本当に怒ってはいないようだ。落ち着いたよなぁと、2年目のクリスマスを前に思う。こんな風に落ち着くまでは、傷付けて傷付けられて、不安になる夜も多かった。今、本当に彼は心からの理解者と呼べるし、哲次にとってもそうであれたらと思う。そうぼんやり考えていたら、人混みの多い道まで出てきていた。そっと哲次が私を引き寄せる。そんな気遣いに、心から暖まる。
「どこ行く?」
「決めてねえ。この前言ってた、映画観れるかな」
「先に映画館行って、チケット確認しようか。そんで、お昼」
「ん。なに食いたい?」
「なんでも」
「決まんねえから、それなし」
私達の将来は、何一つとして約束されていない。明日、大規模な侵攻があるかもしれない。逆にピタッとやむかもしれない。仕事も、生活も、人生も。なにも約束などしていない。けれど、2人一緒なことは確かだと思う。何一つ決まらなかったクリスマスを過ごす私達は、これからもこのペースで生きていく。
「哲次、」
「あ?」
「いつもありがとう」
「なんだそれ。ま、お前じゃなきゃこんなデートはゴメンだけど」
あ、お小言始まるなぁ。それすらも愛おしいのだから、大概私は彼にベタ惚れしている。本当は、哲次はいろいろとしっかり決めたい男だ。私は流れに身を任せて巡り合わせを信じる女だ。本当は、噛み合ってなんかいない。けどね、それがまた楽しいんだよ。分かり合えないから、歩み寄るのが嬉しいんだ。
「聞いてんのかよ。俺はすこーしくらい、お前がオシャレするかもって期待したんだぞ」
「それを私に求めちゃうかー」
「ちょっとくらい彼氏の要望を聞けっての」
「んー」
そうだなあ、明日くらいはオシャレして化粧しようかな。君がいる明日を当たり前に想像しながら、イブのデートを楽しんだ。
「もしもし、おはよう」
「……お前、今起きただろ」
「おっしゃる通りで」
「……はぁ。まあ、いい。駅前じゃなくてお前の家に迎えにいくから。それまでに支度しろ」
「申し訳ありません……」
プツッと切れる携帯。ぼんやりする頭で、最低限やらなくてはならない支度を考える。
「朝ごはんは諦めて、シャワーだなぁ……」
結局、シャワーを浴びて髪を乾かした頃には哲次が来てしまって、ろくに化粧もせず、服もまともに選べずに普段通りの格好で外に出た。うっすらと曇る空は、今夜は冷え込むことを教えているようだ。哲次は怒るでもなく、愚痴るでもなく、普段通りの私の手を取った。そうして、ポッケに誘い込むと、そのまま歩き出してしまった。
「寝坊してごめん」
「別に。具合悪いとかじゃないんだろ?」
「うん、単に寝過ごした」
「ならいい」
ポッケの中で右手が、哲次の左手に弄られる。握ったり、指で撫でたり。時間に厳しい性格のはずだが、本当に怒ってはいないようだ。落ち着いたよなぁと、2年目のクリスマスを前に思う。こんな風に落ち着くまでは、傷付けて傷付けられて、不安になる夜も多かった。今、本当に彼は心からの理解者と呼べるし、哲次にとってもそうであれたらと思う。そうぼんやり考えていたら、人混みの多い道まで出てきていた。そっと哲次が私を引き寄せる。そんな気遣いに、心から暖まる。
「どこ行く?」
「決めてねえ。この前言ってた、映画観れるかな」
「先に映画館行って、チケット確認しようか。そんで、お昼」
「ん。なに食いたい?」
「なんでも」
「決まんねえから、それなし」
私達の将来は、何一つとして約束されていない。明日、大規模な侵攻があるかもしれない。逆にピタッとやむかもしれない。仕事も、生活も、人生も。なにも約束などしていない。けれど、2人一緒なことは確かだと思う。何一つ決まらなかったクリスマスを過ごす私達は、これからもこのペースで生きていく。
「哲次、」
「あ?」
「いつもありがとう」
「なんだそれ。ま、お前じゃなきゃこんなデートはゴメンだけど」
あ、お小言始まるなぁ。それすらも愛おしいのだから、大概私は彼にベタ惚れしている。本当は、哲次はいろいろとしっかり決めたい男だ。私は流れに身を任せて巡り合わせを信じる女だ。本当は、噛み合ってなんかいない。けどね、それがまた楽しいんだよ。分かり合えないから、歩み寄るのが嬉しいんだ。
「聞いてんのかよ。俺はすこーしくらい、お前がオシャレするかもって期待したんだぞ」
「それを私に求めちゃうかー」
「ちょっとくらい彼氏の要望を聞けっての」
「んー」
そうだなあ、明日くらいはオシャレして化粧しようかな。君がいる明日を当たり前に想像しながら、イブのデートを楽しんだ。