荒船部屋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※スマッシュボーダーズのホワイトデー予告に滾って完成した、お料理する話。
哲次がオーブンレンジを通販で買った。突然。どうやら、最近自炊に目覚めたらしい。やり出すとなんでも凝るのは、とても彼らしい癖。朝、オーブンレンジが届いてから、ずーっとキッチンからこもって出てこない。近寄ろうとすると、
「邪魔だからあっち行ってろ」
とそっけない。手伝おうとしても、
「必要ない」
と一蹴された。仕方なく、いい匂いが漂ってくる部屋で1人、Twitterやゲームをして暇つぶし。ちらっとキッチンを覗けば、頼もしい背中が楽しそうに料理している。エプロン姿はなんだか様になっていて、なぜかかっこ良く見えた。
「……見てんじゃねぇよ。大人しく待ってろ」
「……はぁい」
熱心な視線はすぐにばれて、3度目の忠告。キッチンから離れて、お腹の虫を鳴らしながらひたすら待つ。そのうちうとうとしていたら、げしっと頭を軽く蹴られた。
「いたっ」
「出来た。昼飯にすんぞ」
満足そうな顔で見下ろされて、差し出された手に捕まり起き上がった。配膳を手伝うが、まあ自分の実家では見ないような力作がたくさんでてくる。サラダひとつとっても、盛り付けが本気だ。ドレッシングも手作り。スープは具沢山のミネストローネで、メインのグラタンはホワイトソースから作ったと自慢された。
「ほら、早く食べろよ」
「い、いただきます」
テーブルいっぱいの料理、まずはサラダを口に運ぶ。イタリアンのドレッシングは味のバランスが絶妙だった。
「おいし~!!」
「そうか?」
「うん、すっごく美味しい!」
笑顔を向ければ、照れ臭そうな、だけども自慢げな誇らしい顔をされた。スープもトマトの酸味と玉ねぎの甘さが染み出していて、とても美味しい。さて、メインのグラタンを食べようとしたのだが、焼きたてのせいでお皿まで熱い。思わず、
「あち、あち」
とこぼしてしまった。すると哲次は思いついたようにニヤリと笑い、
「冷ましてやろうか?」
「え」
スプーンで一口、グラタンをすくうとふーふーと息を吹きかける。そのまま、
「ほら、あーん」
と口元まで持って来られた。私は目を泳がせて、恥ずかしさを精一杯訴える。
「なんだ、食べねぇのか? こんなに美味しく出来たのに」
自分の口に運んで、また新しくスプーンですくう。同じようにふーふーと冷まされて、また私の口元に。
「あーんしろ」
「……うう、意地悪」
「泣きそうになることないだろ?」
「さっきまで放っといたクセに」
それを聞いて、哲次は目を丸くした後、ますます笑みを深くした。
「なんだよ、寂しかった?」
「寂しくない」
「本当に?」
「うーっ……!」
目をつぶって唸れば、ついに哲次は声をあげて笑った。
「ふ、ははは。悪かった、悪かったよ」
「意地悪ーっ……!」
「はいはい、ほらあーん」
観念して、涙目で口をつければまろやかなホワイトソースの味が口に広がる。
「美味しい」
「そうか。いっぱい食え。デザートにマフィンも焼いてあるからな」
これ以上なく幸せそうな顔で微笑まれて、私も嬉しいのだけど上手く顔に出せない。むず痒くてただ黙々とグラタンを食べた。たまにくるあーんにも黙って応えた。
「本当、お前可愛いな」
そんな意地悪な言葉、聞こえないフリ。
哲次がオーブンレンジを通販で買った。突然。どうやら、最近自炊に目覚めたらしい。やり出すとなんでも凝るのは、とても彼らしい癖。朝、オーブンレンジが届いてから、ずーっとキッチンからこもって出てこない。近寄ろうとすると、
「邪魔だからあっち行ってろ」
とそっけない。手伝おうとしても、
「必要ない」
と一蹴された。仕方なく、いい匂いが漂ってくる部屋で1人、Twitterやゲームをして暇つぶし。ちらっとキッチンを覗けば、頼もしい背中が楽しそうに料理している。エプロン姿はなんだか様になっていて、なぜかかっこ良く見えた。
「……見てんじゃねぇよ。大人しく待ってろ」
「……はぁい」
熱心な視線はすぐにばれて、3度目の忠告。キッチンから離れて、お腹の虫を鳴らしながらひたすら待つ。そのうちうとうとしていたら、げしっと頭を軽く蹴られた。
「いたっ」
「出来た。昼飯にすんぞ」
満足そうな顔で見下ろされて、差し出された手に捕まり起き上がった。配膳を手伝うが、まあ自分の実家では見ないような力作がたくさんでてくる。サラダひとつとっても、盛り付けが本気だ。ドレッシングも手作り。スープは具沢山のミネストローネで、メインのグラタンはホワイトソースから作ったと自慢された。
「ほら、早く食べろよ」
「い、いただきます」
テーブルいっぱいの料理、まずはサラダを口に運ぶ。イタリアンのドレッシングは味のバランスが絶妙だった。
「おいし~!!」
「そうか?」
「うん、すっごく美味しい!」
笑顔を向ければ、照れ臭そうな、だけども自慢げな誇らしい顔をされた。スープもトマトの酸味と玉ねぎの甘さが染み出していて、とても美味しい。さて、メインのグラタンを食べようとしたのだが、焼きたてのせいでお皿まで熱い。思わず、
「あち、あち」
とこぼしてしまった。すると哲次は思いついたようにニヤリと笑い、
「冷ましてやろうか?」
「え」
スプーンで一口、グラタンをすくうとふーふーと息を吹きかける。そのまま、
「ほら、あーん」
と口元まで持って来られた。私は目を泳がせて、恥ずかしさを精一杯訴える。
「なんだ、食べねぇのか? こんなに美味しく出来たのに」
自分の口に運んで、また新しくスプーンですくう。同じようにふーふーと冷まされて、また私の口元に。
「あーんしろ」
「……うう、意地悪」
「泣きそうになることないだろ?」
「さっきまで放っといたクセに」
それを聞いて、哲次は目を丸くした後、ますます笑みを深くした。
「なんだよ、寂しかった?」
「寂しくない」
「本当に?」
「うーっ……!」
目をつぶって唸れば、ついに哲次は声をあげて笑った。
「ふ、ははは。悪かった、悪かったよ」
「意地悪ーっ……!」
「はいはい、ほらあーん」
観念して、涙目で口をつければまろやかなホワイトソースの味が口に広がる。
「美味しい」
「そうか。いっぱい食え。デザートにマフィンも焼いてあるからな」
これ以上なく幸せそうな顔で微笑まれて、私も嬉しいのだけど上手く顔に出せない。むず痒くてただ黙々とグラタンを食べた。たまにくるあーんにも黙って応えた。
「本当、お前可愛いな」
そんな意地悪な言葉、聞こえないフリ。