荒船部屋
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とにかく私は寝つきが悪く、しかも1度眠ると許される限り寝続けるという悪癖がある。その日も日中やりたいことがあったのに、日が暮れて星が出る頃まで眠りこけてしまった。目が覚めると、報告をするように哲次に電話する。
「今起きたの」
「おう。具合は?」
「元気」
「ならいい。飯は? 何も食べてねぇんじゃないだろうな?」
「朝は食べた」
「さっさとなんか食べろ!」
「今からおやつ食べに行くー」
電話を繋いだまま、着替えて外に行く支度をした。ポケットに鍵と財布だけ突っ込んで、表に出た。まだ、欠伸が出る。
「夢でケーキ食べてたから、ケーキ食べたいんだと思うんだよね」
「そんなもんばっか食べてたら太るぞ」
「なんも食べないよりいいでしょ」
コンビニやスーパーを巡って、思い描いたケーキがなかったので、カフェに入って贅沢をした。窓際の席で温かい紅茶を飲んで、食べ終わる頃に窓の外を見れば、マフラーで口元を覆った哲次が私を見下ろしていた。笑顔で手を振れば、振りかえしてくれる。席を立って、ごちそうさまを告げて店を出た。駆け寄って飛びつけば受け止めてもらえるのが嬉しい。
「哲次、おはよう!」
「もう夜だばーか。夕飯、一緒に食おうぜ」
そのまま当然のように哲次に攫われる。上手くいかなかった日も、哲次に会えれば幸せな日になる。買い物をして、哲次の家でパスタ作って食べて、膝の上で映画見て。飼い猫のように、哲次に擦り寄り甘えた。時折、哲次が言葉にする愛情が恥ずかしくて、身をよじった。
「甘える癖に、お前は言ってくれねぇんだ?」
「うーっ恥ずかしい……」
「外だと平気で言うのにな? 変な奴」
優しく笑われて、顔を伏せた。
「……好きー」
「んー、聞こえねぇぞ?」
「……意地悪ー」
そうやって、夢見てる時と同じような安心した時間を過ごしていた。哲次が大きく欠伸をする。時刻は深夜の1時を過ぎていた。
「そろそろ寝るぞ。明日、俺学校だし」
「んう……」
「なんだよ?」
「眠くない」
「そりゃ、あの時間まで寝てればな」
むにっと頬を摘ままれて、容赦無く布団に引き摺り込まれた。腕の中に私を閉じ込めると、
「おやすみ」
とそのまま眠りについてしまった。
「……おやすみなさい」
言ったはいいものの、眠気なんてやってこなくて。哲次の頬を撫でたり、耳を触ったり、胸に頬ずりしたり、とにかく忙しなくもぞもぞと動いていた。
「んー……寝れねぇだろうが」
「眠くない」
「ったく……」
寝ぼけ眼で、哲次は私の背中を優しくさすった。子供にそうするように。心地よくて、少しうつらうつらするが、気がつくと哲次の動きが止まって、また目が覚めてしまう。
「哲次、哲次」
「ん、寝ろ……」
そうやって何度か哲次を起こしてしまっては、撫でたりさすったりを強請った。そうして、ようやく眠りについたら。
「……きろ。起きろ、こら」
頬をつねられて、また目が覚める。目を開ければ、不機嫌そうな哲次と目があった。
「俺が寝れなくなったじゃねぇか。どうしてくれる」
「ごめん……なさい。寂しかった」
「ばーか。ガキ」
「今度から一人で起きてる」
「……別に、好きにしろよ」
ぎゅっと抱きしめ直されて、哲次と同じように呼吸を合わせていれば、そのうち2人して寝息を立てていた。明け方過ぎ、幼い私達は同じ幸せな夢を見る。
「今起きたの」
「おう。具合は?」
「元気」
「ならいい。飯は? 何も食べてねぇんじゃないだろうな?」
「朝は食べた」
「さっさとなんか食べろ!」
「今からおやつ食べに行くー」
電話を繋いだまま、着替えて外に行く支度をした。ポケットに鍵と財布だけ突っ込んで、表に出た。まだ、欠伸が出る。
「夢でケーキ食べてたから、ケーキ食べたいんだと思うんだよね」
「そんなもんばっか食べてたら太るぞ」
「なんも食べないよりいいでしょ」
コンビニやスーパーを巡って、思い描いたケーキがなかったので、カフェに入って贅沢をした。窓際の席で温かい紅茶を飲んで、食べ終わる頃に窓の外を見れば、マフラーで口元を覆った哲次が私を見下ろしていた。笑顔で手を振れば、振りかえしてくれる。席を立って、ごちそうさまを告げて店を出た。駆け寄って飛びつけば受け止めてもらえるのが嬉しい。
「哲次、おはよう!」
「もう夜だばーか。夕飯、一緒に食おうぜ」
そのまま当然のように哲次に攫われる。上手くいかなかった日も、哲次に会えれば幸せな日になる。買い物をして、哲次の家でパスタ作って食べて、膝の上で映画見て。飼い猫のように、哲次に擦り寄り甘えた。時折、哲次が言葉にする愛情が恥ずかしくて、身をよじった。
「甘える癖に、お前は言ってくれねぇんだ?」
「うーっ恥ずかしい……」
「外だと平気で言うのにな? 変な奴」
優しく笑われて、顔を伏せた。
「……好きー」
「んー、聞こえねぇぞ?」
「……意地悪ー」
そうやって、夢見てる時と同じような安心した時間を過ごしていた。哲次が大きく欠伸をする。時刻は深夜の1時を過ぎていた。
「そろそろ寝るぞ。明日、俺学校だし」
「んう……」
「なんだよ?」
「眠くない」
「そりゃ、あの時間まで寝てればな」
むにっと頬を摘ままれて、容赦無く布団に引き摺り込まれた。腕の中に私を閉じ込めると、
「おやすみ」
とそのまま眠りについてしまった。
「……おやすみなさい」
言ったはいいものの、眠気なんてやってこなくて。哲次の頬を撫でたり、耳を触ったり、胸に頬ずりしたり、とにかく忙しなくもぞもぞと動いていた。
「んー……寝れねぇだろうが」
「眠くない」
「ったく……」
寝ぼけ眼で、哲次は私の背中を優しくさすった。子供にそうするように。心地よくて、少しうつらうつらするが、気がつくと哲次の動きが止まって、また目が覚めてしまう。
「哲次、哲次」
「ん、寝ろ……」
そうやって何度か哲次を起こしてしまっては、撫でたりさすったりを強請った。そうして、ようやく眠りについたら。
「……きろ。起きろ、こら」
頬をつねられて、また目が覚める。目を開ければ、不機嫌そうな哲次と目があった。
「俺が寝れなくなったじゃねぇか。どうしてくれる」
「ごめん……なさい。寂しかった」
「ばーか。ガキ」
「今度から一人で起きてる」
「……別に、好きにしろよ」
ぎゅっと抱きしめ直されて、哲次と同じように呼吸を合わせていれば、そのうち2人して寝息を立てていた。明け方過ぎ、幼い私達は同じ幸せな夢を見る。