荒船部屋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私にも少なからず友人というのはいて、恋バナなんかも最近は盛り上がる。こんな時幸せだねーとか、こういう時こんな対応だよねーとか。そうすると、自然と私達と彼女達で相違点が見えてくるもので。欲張りな私は、他所様の恋愛にもとても憧れる。今日羨ましかったのは、「自然と手が伸びてきて、引き寄せられたり撫でれたりする」こと。私は基本ぐいぐい迫ってしまうし、手招きをされればすぐ飛んでいってしまうので、哲次から引き寄せられたりというのはあまりない気がする。だから。ちょいちょい、といつも通り手招きをする哲次を知らんぷりしてみた。哲次の部屋で、哲次は勉強をしていて、私はスマホを弄りながら哲次を眺めている。ノートに走ってる視線に構わず、いつもなら反応して飛びついているところだ。反応がないのに気付き、顔を上げた哲次と目が合う。もう1度、今度はぽんぽんと膝を叩いた。それにも、そっぽを向いて背中を向けた。イライラするのかなあーなんて悠長に考えていた。
「おい、どうした? 来ねぇのか?」
「んー」
「なんで?」
黙って鼻唄を歌っていたら、コト、とペンを置く音が聞こえた。それから、慌てて立ち上がって駆け寄る気配。驚いたけど、その衝撃で身動き出来なかった。
「なあ、俺またなんかしたか?」
声色は信じられないくらい弱々しくて。振り向けば、顔色悪くした哲次が私と目線を合わせていた。
「またあきのこと傷つけることしたかよ?」
瞬きを数回、言葉を失っていると、次第に泣き出しそうな顔になって。
「え、え?」
「なんか怒ってんのか? なあ、辛いならそう言ってくれよ、分かんねぇんだよ」
「て、つじ」
遂には俯いて、頭を抱えてしまった。
「もう泣かしたくねぇんだよ、なんか言ってくれ……不安で押し潰される」
「哲次、違う。違うの」
哲次の手を取れば、ビクッと肩を揺らした。不安で揺れる瞳に、胸が苦しくなる。
「ごめん、あのね。哲次から引き寄せて欲しくてね」
「……は?」
見開いた瞳から、つーっと一粒涙がこぼれた。それを親指で拭い去った。
「友達と恋バナしててね、友達は彼氏が自然と引き寄せてくれるんだって。それが羨ましかったの」
「……は、じゃあなに。俺に抱き寄せて貰いたかったってことか?」
こくり、と頷けば、ぐいっと力強く引き寄せられた。あっという間に哲次の腕の中で、潰れるほどに抱き締められる。
「それなら、そうして欲しいって言えよバカ! 言わなきゃ分かんねえっていつも言ってんだろ!」
「ごめん、なさい」
「はぁー……もう。肝が冷えた。泣かれるかと思った」
「ごめん、ごめんね」
謝れば、すがりつくように私の上着を握り締めた。
「バカやろ、こんにゃろ……急に冷たくとかすんなよ」
「うん、悪かった」
「うっせ、バーカ。……よかった、嫌われたんじゃなくて」
予想外の反応に戸惑った。こんなにも哲次のこと、追い詰めてるのだろうか。私にも不安が残るけど、とりあえず申し訳なくて頭を撫でてあげた。その日は、そのまま離してくれなかった。
「おい、どうした? 来ねぇのか?」
「んー」
「なんで?」
黙って鼻唄を歌っていたら、コト、とペンを置く音が聞こえた。それから、慌てて立ち上がって駆け寄る気配。驚いたけど、その衝撃で身動き出来なかった。
「なあ、俺またなんかしたか?」
声色は信じられないくらい弱々しくて。振り向けば、顔色悪くした哲次が私と目線を合わせていた。
「またあきのこと傷つけることしたかよ?」
瞬きを数回、言葉を失っていると、次第に泣き出しそうな顔になって。
「え、え?」
「なんか怒ってんのか? なあ、辛いならそう言ってくれよ、分かんねぇんだよ」
「て、つじ」
遂には俯いて、頭を抱えてしまった。
「もう泣かしたくねぇんだよ、なんか言ってくれ……不安で押し潰される」
「哲次、違う。違うの」
哲次の手を取れば、ビクッと肩を揺らした。不安で揺れる瞳に、胸が苦しくなる。
「ごめん、あのね。哲次から引き寄せて欲しくてね」
「……は?」
見開いた瞳から、つーっと一粒涙がこぼれた。それを親指で拭い去った。
「友達と恋バナしててね、友達は彼氏が自然と引き寄せてくれるんだって。それが羨ましかったの」
「……は、じゃあなに。俺に抱き寄せて貰いたかったってことか?」
こくり、と頷けば、ぐいっと力強く引き寄せられた。あっという間に哲次の腕の中で、潰れるほどに抱き締められる。
「それなら、そうして欲しいって言えよバカ! 言わなきゃ分かんねえっていつも言ってんだろ!」
「ごめん、なさい」
「はぁー……もう。肝が冷えた。泣かれるかと思った」
「ごめん、ごめんね」
謝れば、すがりつくように私の上着を握り締めた。
「バカやろ、こんにゃろ……急に冷たくとかすんなよ」
「うん、悪かった」
「うっせ、バーカ。……よかった、嫌われたんじゃなくて」
予想外の反応に戸惑った。こんなにも哲次のこと、追い詰めてるのだろうか。私にも不安が残るけど、とりあえず申し訳なくて頭を撫でてあげた。その日は、そのまま離してくれなかった。