荒船部屋
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ぶらぶら街中を歩くのが好きだ。歩きながらお馴染みの店を巡って、おかわりのあるカフェで文章書いて。RPGとかで言うところの遊び人のように、ふらふらと何者にも縛られずに。浮き雲のように時間に流されていくのが好きだ。最近は学校帰りの哲次を迎えに行って、「早く帰んぞ」と愚痴られながら連れまわすことが増えた。
「昨日もこの店見ただろうが」
「新作あるかもしれないじゃん」
機嫌良く歩く私にため息を吐いて、きゅっと手を握り直す。隣にいてくれることが、何よりも嬉しい。
「!!」
「? どうした?」
道をすれ違う人が、煙草を投げ捨てた。哲次の手を離れて、私はその煙草を踏みつけて火を消す。
「火くらい消してほしい」
「そもそも捨てるなって話だな」
哲次の元に戻り、手を繋ぎ直す。手を揺らしていると、
「お前は吸いたいと思うか?」
と聞かれた。
「煙草? んー吸わない」
「吸わねぇんだ。でも好きだろ?」
「憧れはあるけど、基本煙たいし。声変わるの嫌だから」
「なるほどな」
ふっと哲次は笑うと、
「お前そんな可愛い声でもねぇけどな」
なんて意地悪を言った。
「別に可愛い声だから変えたくないわけじゃないよ。寧ろかっこいいから変えたくないの」
「へーへー。分かってますよ」
ちょっとムカついたので、繋いだ手をコツンと哲次にぶつけた。くつくつと哲次は笑う。
「哲次は? 煙草吸わないの?」
「ん? んー……」
少し考えているようで、無言。次の言葉を待っている静寂は嫌いじゃない。そんなのは、この人の隣の時くらいだけど。
「お前はどう思う?」
「どう?」
「俺が煙草吸うとしたら」
「かっこいいと思うよ? 似合うんじゃない?」
即座に返答した。カッコつけの哲次には、うってつけのアイテムだと思う。すぱーっと煙を漂わせる哲次を想像する。
「うん、かっこいい」
「……苦くなるぞ、その、キスとか」
「哲次のキスならそれでもいいよ」
笑えば、握った手でグッと小突かれた。少し左によろける。
「いたっ」
「ほんっとにお前は俺のこと好きだな?」
呆れたように言うから、
「うん、好きだよ」
と真っ直ぐ前を向いたまま言った。すると哲次は押し黙る。立ち止まられて、後ろに身体を引かれる。
「おい、こっち向け」
「? なに?」
振り向いて見上げれば、ちゅ、と額にキスをされた。手で抑えて哲次の顔を見れば、耳まで赤くて。にっと笑った顔にドキリとした。
「帰んぞ」
歩き出す哲次に、今度は私が静かになる番だった。
「昨日もこの店見ただろうが」
「新作あるかもしれないじゃん」
機嫌良く歩く私にため息を吐いて、きゅっと手を握り直す。隣にいてくれることが、何よりも嬉しい。
「!!」
「? どうした?」
道をすれ違う人が、煙草を投げ捨てた。哲次の手を離れて、私はその煙草を踏みつけて火を消す。
「火くらい消してほしい」
「そもそも捨てるなって話だな」
哲次の元に戻り、手を繋ぎ直す。手を揺らしていると、
「お前は吸いたいと思うか?」
と聞かれた。
「煙草? んー吸わない」
「吸わねぇんだ。でも好きだろ?」
「憧れはあるけど、基本煙たいし。声変わるの嫌だから」
「なるほどな」
ふっと哲次は笑うと、
「お前そんな可愛い声でもねぇけどな」
なんて意地悪を言った。
「別に可愛い声だから変えたくないわけじゃないよ。寧ろかっこいいから変えたくないの」
「へーへー。分かってますよ」
ちょっとムカついたので、繋いだ手をコツンと哲次にぶつけた。くつくつと哲次は笑う。
「哲次は? 煙草吸わないの?」
「ん? んー……」
少し考えているようで、無言。次の言葉を待っている静寂は嫌いじゃない。そんなのは、この人の隣の時くらいだけど。
「お前はどう思う?」
「どう?」
「俺が煙草吸うとしたら」
「かっこいいと思うよ? 似合うんじゃない?」
即座に返答した。カッコつけの哲次には、うってつけのアイテムだと思う。すぱーっと煙を漂わせる哲次を想像する。
「うん、かっこいい」
「……苦くなるぞ、その、キスとか」
「哲次のキスならそれでもいいよ」
笑えば、握った手でグッと小突かれた。少し左によろける。
「いたっ」
「ほんっとにお前は俺のこと好きだな?」
呆れたように言うから、
「うん、好きだよ」
と真っ直ぐ前を向いたまま言った。すると哲次は押し黙る。立ち止まられて、後ろに身体を引かれる。
「おい、こっち向け」
「? なに?」
振り向いて見上げれば、ちゅ、と額にキスをされた。手で抑えて哲次の顔を見れば、耳まで赤くて。にっと笑った顔にドキリとした。
「帰んぞ」
歩き出す哲次に、今度は私が静かになる番だった。