荒船部屋
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毎週末のレッスンが終わった。レッスンはとにかく消耗する。クラス単位で動くのは元来苦手だ。精神的な疲労は他の人の比ではないのだろう。とにかく、生温い馴れ合いの空気が嫌だ。私を残して、楽しそうに回っていくのが嫌だ。誰に意識を割けばいいのか、分からないのが嫌だ。緊張感なく演技されるのが嫌だ。嫌なことだらけだ。しかも、今日は嫌いな人間と2人で作らなきゃいけないものがあり、それでも心を擦り減らした。
「コミュ障だと、うちのクラス辛くないですか? なんでうち通ってるんですか?」
平然とそんなことを聞けるお前の方がよっぽどコミュ障だと言ってやりたい。ズケズケと他人の心に踏み込んでくるやつほど、責任もなく裏切るのだと最近知った。何も信じたくなくなると、決まって哲次の家に転がり込む。
「……お疲れ。飯は?」
「食べてきた」
「そうか」
哲次の家に上がった瞬間、泣き出しそうになったので、靴だけ脱いで玄関のすぐそこにしゃがみこんだ。
「今日も辛かったのか」
「疲れた」
「そうか」
哲次ももう夕飯は食べたようで、さっきまでシャワーに入っていたのか、髪がしっとりと濡れていた。
「寒いだろ? こっち来いよ」
「哲次も髪乾かさないと風邪引くよ」
「そうだな。乾かしてくれるか?」
目を合わせたら、暖かく微笑まれた。黙って洗面所に行き、ドライヤーを持ち出す。それをコンセントに差し込んで、ブローをしていく。哲次の短い髪はすぐに乾いた。
「サンキュ」
ドライヤーを下ろして、哲次と背中合わせに座り込んだ。哲次がぐーっとこちらに体重をかけてくる。
「重い」
「頑張って行けたじゃねぇか。偉い偉い」
「子供扱いしないで」
「心配してんだよ。黙ってこっち向け」
言われるがままに振り向けば、広い胸が出迎えてくれる。そのまま私を包むと、ぽんぽんと背中を叩いてくれる。
「人なんて信じない。裏切るから」
「……信じてるから、いつも傷付いてるんだろ」
「裏切るやつなんて愛さない」
「でも、お前は誰にでも優しいよな。知ってるよ」
「…………優しさなんて、返ってこない」
「そんなことないだろ?」
子供をあやすように、哲次は身体を前後に揺らす。胸にすがりつけば、頭の上にキスを落とされた。
「そうやって、誰からも愛を受け取らないつもりか。寂しいこと言うなよ」
「いらない」
「俺の前では強がんなくていいから」
頭をわしゃわしゃと撫でられて、視界が歪む。ぎゅうと抱きつけば、抱き締め返してくれる腕がある。
「俺からの愛くらい、ちゃんと受け取れよな」
哲次は身体を離し、私の顔を覗こうとする。嫌で下を見ようとするが、両手で顔を掴んで上を向かされてしまった。目で訴えられて10秒。少し怒ってるような、優しさに満ちているような、力強い視線を離せない。
「……てつじ、」
「泣きたきゃ泣けよ。全部受け止めてやるから」
「うっうええ、えーん……」
言われた通りに泣き出してしまう私は、なんて弱くて素直なのだろうか。哲次は親指で私の涙をすくう。
「可哀想にな。よく頑張ったな」
「ううう、ぐすっ」
「大丈夫。お前がちゃんと頑張ってるの、俺は知ってるからな」
「うう、がんばって、ない」
「そこは素直に頷いとけよ」
笑いながら、哲次は私を抱き締め直した。泣き疲れて涙が止まるまで、そのまま抱き締めてくれていた。
「…………こんなとこ、他の男には見せてねぇよな?」
「?? うん」
「よし。それでいい。甘えるのは、俺だけにしろよ」
「哲次以外、いないよう」
安心して甘えられる人など、哲次の他にいない。それでも安心出来ないのか、
「お前は俺だけのもんだ」
なんて、ちょっとした独占欲をちらつかせて。うん、と頷いてしまうほどに、貴方を心の支えにしてる。
「コミュ障だと、うちのクラス辛くないですか? なんでうち通ってるんですか?」
平然とそんなことを聞けるお前の方がよっぽどコミュ障だと言ってやりたい。ズケズケと他人の心に踏み込んでくるやつほど、責任もなく裏切るのだと最近知った。何も信じたくなくなると、決まって哲次の家に転がり込む。
「……お疲れ。飯は?」
「食べてきた」
「そうか」
哲次の家に上がった瞬間、泣き出しそうになったので、靴だけ脱いで玄関のすぐそこにしゃがみこんだ。
「今日も辛かったのか」
「疲れた」
「そうか」
哲次ももう夕飯は食べたようで、さっきまでシャワーに入っていたのか、髪がしっとりと濡れていた。
「寒いだろ? こっち来いよ」
「哲次も髪乾かさないと風邪引くよ」
「そうだな。乾かしてくれるか?」
目を合わせたら、暖かく微笑まれた。黙って洗面所に行き、ドライヤーを持ち出す。それをコンセントに差し込んで、ブローをしていく。哲次の短い髪はすぐに乾いた。
「サンキュ」
ドライヤーを下ろして、哲次と背中合わせに座り込んだ。哲次がぐーっとこちらに体重をかけてくる。
「重い」
「頑張って行けたじゃねぇか。偉い偉い」
「子供扱いしないで」
「心配してんだよ。黙ってこっち向け」
言われるがままに振り向けば、広い胸が出迎えてくれる。そのまま私を包むと、ぽんぽんと背中を叩いてくれる。
「人なんて信じない。裏切るから」
「……信じてるから、いつも傷付いてるんだろ」
「裏切るやつなんて愛さない」
「でも、お前は誰にでも優しいよな。知ってるよ」
「…………優しさなんて、返ってこない」
「そんなことないだろ?」
子供をあやすように、哲次は身体を前後に揺らす。胸にすがりつけば、頭の上にキスを落とされた。
「そうやって、誰からも愛を受け取らないつもりか。寂しいこと言うなよ」
「いらない」
「俺の前では強がんなくていいから」
頭をわしゃわしゃと撫でられて、視界が歪む。ぎゅうと抱きつけば、抱き締め返してくれる腕がある。
「俺からの愛くらい、ちゃんと受け取れよな」
哲次は身体を離し、私の顔を覗こうとする。嫌で下を見ようとするが、両手で顔を掴んで上を向かされてしまった。目で訴えられて10秒。少し怒ってるような、優しさに満ちているような、力強い視線を離せない。
「……てつじ、」
「泣きたきゃ泣けよ。全部受け止めてやるから」
「うっうええ、えーん……」
言われた通りに泣き出してしまう私は、なんて弱くて素直なのだろうか。哲次は親指で私の涙をすくう。
「可哀想にな。よく頑張ったな」
「ううう、ぐすっ」
「大丈夫。お前がちゃんと頑張ってるの、俺は知ってるからな」
「うう、がんばって、ない」
「そこは素直に頷いとけよ」
笑いながら、哲次は私を抱き締め直した。泣き疲れて涙が止まるまで、そのまま抱き締めてくれていた。
「…………こんなとこ、他の男には見せてねぇよな?」
「?? うん」
「よし。それでいい。甘えるのは、俺だけにしろよ」
「哲次以外、いないよう」
安心して甘えられる人など、哲次の他にいない。それでも安心出来ないのか、
「お前は俺だけのもんだ」
なんて、ちょっとした独占欲をちらつかせて。うん、と頷いてしまうほどに、貴方を心の支えにしてる。