荒船部屋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
狙撃の個人練習をしていて、久々に後輩の奈良坂君に会った。
「荒船さんとは落ち着きました?」
「まあぼちぼちだね」
後輩にまで私達のことを心配されているのか、と苦笑する。ポーカーフェイスなクセして、奈良坂君は割とよく話す。
「そういえば荒船さん、あきさんが自分と出かけてくれないって嘆いてましたよ?」
「えっ?」
「なんか家にばっかりいるとか。それはそれでごちそうさまなんですけど」
によによとからかわれて、頬に熱が集まる。
「だって、家って落ち着くじゃん!」
「へー?」
奈良坂君にはこう言って誤魔化したけど。
何を言ってるんだあのキャップ野郎は。毎度毎度、家に呼ぶのは自分じゃないか。しかも私が外に誘えば、「今忙しい」とか「疲れてんだよ」って言って出ないクセに。なのに周りには私が外に行きたがらないみたいに話してるのは、ちょっと我慢ならない。流石に頭にきたので、すぐに電話してやった。
「哲次が忙しいって言って、お出かけしないんじゃん! それなのにどういうこと!」
「あ? 別に嘘は言ってないだろ」
「私だって、哲次とお出かけしたい!」
「そうかよ。じゃあ今日、夜少し買い物にでも出るか?」
「行く!!」
しょーがねぇな、なんて言って電話は切れた。なんで出かけるってだけで不機嫌なのか。とりあえず、哲次の家に行って待機。付き合う前は突然連絡が来て、「映画見るから付き合え」とかたまにあったのだが。付き合ってからは、哲次が一人暮らし始めたからもあるけど、大体哲次の家だ。ちょっとだけワクワクしながら待っていれば、哲次が学校から帰ってきた。
「おかえり~」
「おう。ただいま」
荷物を放り出すと、ちゃっちゃと哲次は着替えた。いつも通りのジーンズに、黒いシャツ。
「よし、行くか」
茶色のハンチングをかぶり、渋い色のウエストポーチを身につける。
「まてまてまて待って!」
「ん? なんだよ?」
「じじくさい! ハンチングにウエストポーチって! 競馬場のおっさんか!!」
思わず突っ込んでしまった。なんでよりにもよってそんな組み合わせで出かけるのか。
「なんだよ! ウエストポーチ機能的だろうが!」
「そうだけど! ダサい!」
哲次は眉間にシワを寄せ、わなわなと震える。
「じゃあお前だって、彼氏とデートなのにスカートじゃないとか! 舐めてんのか!?」
「はあ?」
どこにそんなルールがあるのだろうか。理不尽な言い分にこちらも熱くなる。
「別にいいでしょ! 動きやすいんだから!」
「そんな運動しねーだろうが! ちょっとは女の子らしくしたらどうなんだよ!」
「じゃあ哲次も少しくらいオシャレに気を使ってよ!」
言い合いになってしまい、ふいっとお互いそっぽを向いて、部屋の片隅で対角線上に座り込む。少し黙ると冷静になれて、そもそも哲次とお出かけがしたいという気持ちを思い出した。そんなに怒ることでもなかったな、と反省して、哲次の肩を叩く。
「哲次、ごめん。一緒にお出かけしたい」
問いかければ、じとーっと睨みつけられた。苦笑すれば、黙って立ち上がり布団を敷き始める。
「もういい」
「??」
呆然としてたら、引き摺り込まれて布団の中へ。そのまま、しっかりと抱き込まれて身動きが出来なくなる。
「寝る」
「お出かけは?」
「寝る」
そう言って黙ったまま。恐る恐る、
「怒ってる?」
と尋ねれば。
「怒ってねぇ」
「ごめんね」
それにはぎゅっと抱き寄せられて答えられた。暖かくて、静かだから、自然と瞼が落ちる。哲次は一言も喋らずに、たまに私の髪を弄る。哲次は計画的な性格だから、ひとつ何か出鼻を挫かれると、全部嫌になって投げちゃうんだろうか? けどそんなこと、今までにあっただろうか? たまに子供なとこがあるのは、最近理解した。結局、こんな時でも考えるのは哲次のことだ。
そうやって哲次のことを考えながら、1時間は経っただろうか。ずっと動かずに喋らなかった哲次が、もぞもぞと動き出した。私の胸に顔を埋めたり、お尻を揉まれたり。急な変化に思わず、
「ちょっと、やめて、」
と制止の言葉が出る。すると、哲次は顔をあげた。なんだか泣きそうな顔をしていて面食らう。
「嫌か?」
「えっ」
「触られんの、嫌か」
「嫌じゃ、ないけど。……急だし恥ずかしい」
「そうか」
それでも、胸に顔を埋めるのはやめずに、手もお尻に触れたまま。
「嫌いになったか」
弱々しい声にまた驚く。ぎゅっと哲次は私の服を握り締めた。
「おっさんだったら、お前嫌いになんのか」
「え、いや。おっさんになったら嫌いとかじゃなくてね。おっさんだってオシャレな人いるし」
「ダサいから嫌いか」
「ダサくても好きだけど」
ピクッと哲次の身体が震えたのが分かった。
「もっかい」
「うん?」
「好きって、もう一回」
こんなにも甘えたで、弱ってる哲次は初めて見るかもしれない。可愛くなってきて、哲次の頭を撫でる。
「哲次好きだよー」
「ん」
ぐりぐりと胸に顔を押し付けられる。抱きしめる力も強くなって、少し苦しい。身じろぎをすれば、ちょっとだけ力が緩められた。
「奈良坂に、そんなに言うなら俺から誘えばいいって言われた」
「うん?」
「多分お前も喜ぶぞって」
奈良坂君そんなこと言ったんだ。けど、それならどうして。
「どこ誘ったら、喜ぶとか分かんねーし」
「うん」
「別に家で独り占め出来ればそれでいいし」
「うん」
「どこ行きたいんだよ、お前」
そんなの、答えは決まっているじゃないか。
「……哲次と一緒なら、どこでもいいよ」
自然と笑みがこぼれた。その私の顔を目を見開いて見つめた後、哲次はくしゃっと顔を歪めた。
「んだよそれ、なんだよそれ」
また抱き締める腕に力がこもる。それは私を閉じ込めるように。
「ちょ、苦しい苦しい!」
「そんなん俺だってどこでもいいし。スカートじゃなくても、可愛くなくても。お前といれりゃいい」
同じ気持ちなのに、どうしてこうもすれ違うのかなぁ。気持ちが通じ合って、安心して私も素直に本音を口に出来る。
「……私、好きな人といろんなとこ行きたいなぁ。哲次といろんな物見たいし、話したいし、いっぱい遊びたい」
「ん」
「わがままかな」
「いいや」
「連れてってほしいな」
「うん」
額同士を合わせて、見つめ合う。そのまま口付けられた。貪るように繰り返されるキス。唇を甘噛みしたり、舌を差し込まれたり。哲次の好きなように任せたら、酸欠になるほどたくさんキスされた。
「苦しい、よ」
そう伝えても、休まる気配はなかった。
「荒船さんとは落ち着きました?」
「まあぼちぼちだね」
後輩にまで私達のことを心配されているのか、と苦笑する。ポーカーフェイスなクセして、奈良坂君は割とよく話す。
「そういえば荒船さん、あきさんが自分と出かけてくれないって嘆いてましたよ?」
「えっ?」
「なんか家にばっかりいるとか。それはそれでごちそうさまなんですけど」
によによとからかわれて、頬に熱が集まる。
「だって、家って落ち着くじゃん!」
「へー?」
奈良坂君にはこう言って誤魔化したけど。
何を言ってるんだあのキャップ野郎は。毎度毎度、家に呼ぶのは自分じゃないか。しかも私が外に誘えば、「今忙しい」とか「疲れてんだよ」って言って出ないクセに。なのに周りには私が外に行きたがらないみたいに話してるのは、ちょっと我慢ならない。流石に頭にきたので、すぐに電話してやった。
「哲次が忙しいって言って、お出かけしないんじゃん! それなのにどういうこと!」
「あ? 別に嘘は言ってないだろ」
「私だって、哲次とお出かけしたい!」
「そうかよ。じゃあ今日、夜少し買い物にでも出るか?」
「行く!!」
しょーがねぇな、なんて言って電話は切れた。なんで出かけるってだけで不機嫌なのか。とりあえず、哲次の家に行って待機。付き合う前は突然連絡が来て、「映画見るから付き合え」とかたまにあったのだが。付き合ってからは、哲次が一人暮らし始めたからもあるけど、大体哲次の家だ。ちょっとだけワクワクしながら待っていれば、哲次が学校から帰ってきた。
「おかえり~」
「おう。ただいま」
荷物を放り出すと、ちゃっちゃと哲次は着替えた。いつも通りのジーンズに、黒いシャツ。
「よし、行くか」
茶色のハンチングをかぶり、渋い色のウエストポーチを身につける。
「まてまてまて待って!」
「ん? なんだよ?」
「じじくさい! ハンチングにウエストポーチって! 競馬場のおっさんか!!」
思わず突っ込んでしまった。なんでよりにもよってそんな組み合わせで出かけるのか。
「なんだよ! ウエストポーチ機能的だろうが!」
「そうだけど! ダサい!」
哲次は眉間にシワを寄せ、わなわなと震える。
「じゃあお前だって、彼氏とデートなのにスカートじゃないとか! 舐めてんのか!?」
「はあ?」
どこにそんなルールがあるのだろうか。理不尽な言い分にこちらも熱くなる。
「別にいいでしょ! 動きやすいんだから!」
「そんな運動しねーだろうが! ちょっとは女の子らしくしたらどうなんだよ!」
「じゃあ哲次も少しくらいオシャレに気を使ってよ!」
言い合いになってしまい、ふいっとお互いそっぽを向いて、部屋の片隅で対角線上に座り込む。少し黙ると冷静になれて、そもそも哲次とお出かけがしたいという気持ちを思い出した。そんなに怒ることでもなかったな、と反省して、哲次の肩を叩く。
「哲次、ごめん。一緒にお出かけしたい」
問いかければ、じとーっと睨みつけられた。苦笑すれば、黙って立ち上がり布団を敷き始める。
「もういい」
「??」
呆然としてたら、引き摺り込まれて布団の中へ。そのまま、しっかりと抱き込まれて身動きが出来なくなる。
「寝る」
「お出かけは?」
「寝る」
そう言って黙ったまま。恐る恐る、
「怒ってる?」
と尋ねれば。
「怒ってねぇ」
「ごめんね」
それにはぎゅっと抱き寄せられて答えられた。暖かくて、静かだから、自然と瞼が落ちる。哲次は一言も喋らずに、たまに私の髪を弄る。哲次は計画的な性格だから、ひとつ何か出鼻を挫かれると、全部嫌になって投げちゃうんだろうか? けどそんなこと、今までにあっただろうか? たまに子供なとこがあるのは、最近理解した。結局、こんな時でも考えるのは哲次のことだ。
そうやって哲次のことを考えながら、1時間は経っただろうか。ずっと動かずに喋らなかった哲次が、もぞもぞと動き出した。私の胸に顔を埋めたり、お尻を揉まれたり。急な変化に思わず、
「ちょっと、やめて、」
と制止の言葉が出る。すると、哲次は顔をあげた。なんだか泣きそうな顔をしていて面食らう。
「嫌か?」
「えっ」
「触られんの、嫌か」
「嫌じゃ、ないけど。……急だし恥ずかしい」
「そうか」
それでも、胸に顔を埋めるのはやめずに、手もお尻に触れたまま。
「嫌いになったか」
弱々しい声にまた驚く。ぎゅっと哲次は私の服を握り締めた。
「おっさんだったら、お前嫌いになんのか」
「え、いや。おっさんになったら嫌いとかじゃなくてね。おっさんだってオシャレな人いるし」
「ダサいから嫌いか」
「ダサくても好きだけど」
ピクッと哲次の身体が震えたのが分かった。
「もっかい」
「うん?」
「好きって、もう一回」
こんなにも甘えたで、弱ってる哲次は初めて見るかもしれない。可愛くなってきて、哲次の頭を撫でる。
「哲次好きだよー」
「ん」
ぐりぐりと胸に顔を押し付けられる。抱きしめる力も強くなって、少し苦しい。身じろぎをすれば、ちょっとだけ力が緩められた。
「奈良坂に、そんなに言うなら俺から誘えばいいって言われた」
「うん?」
「多分お前も喜ぶぞって」
奈良坂君そんなこと言ったんだ。けど、それならどうして。
「どこ誘ったら、喜ぶとか分かんねーし」
「うん」
「別に家で独り占め出来ればそれでいいし」
「うん」
「どこ行きたいんだよ、お前」
そんなの、答えは決まっているじゃないか。
「……哲次と一緒なら、どこでもいいよ」
自然と笑みがこぼれた。その私の顔を目を見開いて見つめた後、哲次はくしゃっと顔を歪めた。
「んだよそれ、なんだよそれ」
また抱き締める腕に力がこもる。それは私を閉じ込めるように。
「ちょ、苦しい苦しい!」
「そんなん俺だってどこでもいいし。スカートじゃなくても、可愛くなくても。お前といれりゃいい」
同じ気持ちなのに、どうしてこうもすれ違うのかなぁ。気持ちが通じ合って、安心して私も素直に本音を口に出来る。
「……私、好きな人といろんなとこ行きたいなぁ。哲次といろんな物見たいし、話したいし、いっぱい遊びたい」
「ん」
「わがままかな」
「いいや」
「連れてってほしいな」
「うん」
額同士を合わせて、見つめ合う。そのまま口付けられた。貪るように繰り返されるキス。唇を甘噛みしたり、舌を差し込まれたり。哲次の好きなように任せたら、酸欠になるほどたくさんキスされた。
「苦しい、よ」
そう伝えても、休まる気配はなかった。