荒船部屋
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荒船隊は基本自由な人しかいない。みんなそれぞれ、いつも好きなことをして過ごしている。私はよく義人とお昼寝をしたり、漫画読んだり、パソコン弄ったり。義人は寝るかゲームして、穂刈は筋トレしてて、加賀美ちゃんは何かしら作ってる。哲次は黙々と仕事をしてて、いつも手伝おうか聞くのだが、断られてしまう。今日も断られたので、私はゴロゴロしてるうちに浅い眠りに入った。1人、1人と帰る気配がして、今部屋には3人しかいない。哲次が立ち上がった気配を背中に感じる。
「穂刈、まだ残ってるか?」
「いるな、まだしばらくは」
「じゃあ、こいつどっか行かないか見張っててくれ」
気付かないフリ、寝ているフリを続ける。
「分かった、見ておこう」
「おう、頼んだぞ」
哲次が帽子を被り直した様な気がする。そのまま、哲次は部屋を出て行った。多分、報告書を提出しに行ったのだろう。
「…………別にどこにも行かないのにね~」
「起きてたか、やっぱり」
起き上がって穂刈に話しかける。彼はあまり表情は変わらない人だが、うっすらと呆れた様に微笑んでいた。
「そんなに私がどっか行くの嫌なのかな?」
「嫌なんだろう、だから頼んだ。心配なんだ、他の男と仲良くするのが」
「だって私、男相手の方が話しやすいんだもん」
「分かってるさ、それは荒船も。それでも、嫌なものは嫌なんだろう」
繰り返し持ち上げられるダンベルは、何kgくらいあるのだろうか。哲次の使ってるのと同じくらいかな。私には扱うのが厳しい物だ。穂刈は、私よりも哲次に近い。きっと共感出来るものが多い。彼は男性だから。
「けど、いーなー。穂刈は哲次の相棒感あるの」
「そうか?」
「そうだよ。なりたくても、そのポジションには私なれないじゃん」
私は女性だから。どうしたって、壁があると思うのだ。飛び越えることの出来ない壁が。
「鋼君にしろ、カゲにしろ。私には入れない領域にいる気がするんだ」
「……逆だと思うがな、それは」
「うん??」
首を傾げれば、穂刈は目を細めた。
「よっぽど、#早乙女#のが。近寄れない距離にいると思う、俺たちには」
穂刈はダンベルを置くと、私の隣に移動してきた。ベットに腰掛けて、子供に言い聞かす様に話し始めた。
「自信もて、もっと。何より掛け替えのない存在だ、荒船にとってお前は」
「そうかなぁ?」
「下手くそなんだな、甘え方が。男だから。分かってやってくれ、愛なんだきっと、束縛するのも」
「そーいうの分かるの、やっぱり穂刈のが哲次のこと分かってるじゃん」
そう言えば、穂刈は苦笑して軽く私にデコピンしてきた。
「いたっ」
「受け入れてるだろ、その束縛を。平然と。それはお前にしか出来ないし、お前にしかしない。荒船は」
「うーん……」
なお食い下がる私に、もう一度穂刈はデコピンした。そのあと、ぐしゃぐしゃと私の頭を撫で回した。
「わっ」
「それに、1人で抱えなくていいと思う、荒船のことを。俺たちにも支えさせろ、荒船もお前も。持ちきれない時は、俺たちに寄越せ、半分を。友達だろう?」
「うん!」
友達ということに素直に頷けば、穂刈は肩を揺らした。
「敵わないな、お前の素直さには。心配になる、俺でも」
「なんで? だってずっと一緒に荒船隊してるし、友達だよ?」
「事実でも、それを言えないこともあるんだ、男にはな」
「そうなんだ」
「そうなんだよ」
穂刈や鋼君や、カゲが羨ましかった。同じステージに立てる彼らが。今でも、諦めずにそうなりたいと進んでるつもりだ。でもやっぱり、女の子だから。甘えたいし愛されたいとどうしても思ってしまって、なりきれないのだ。
「なんでも頼れ、困ったら。荒船も#早乙女#も大事だ、俺にとっては」
「はーい。ありがとう、穂刈」
そう笑いかけた時に、哲次が戻ってきた。私を見ると、ぐっと眉を寄せた。
「哲次、おかえり」
「おう。お前なにしてんだ」
「穂刈と話してた!」
すると、今度は穂刈を睨んだ。やれやれといった風に、
「見てたぞ、ちゃんと。どこか行かない様に」
と弁明した。それでも哲次は追及をやめない。
「なに話してたんだよ」
「それは、聞け。#早乙女#に」
「んだよ。話せねぇことなのか」
「ないが、そんなことは? な、#早乙女#」
「うん、哲次の話してたの」
そう言えば、少し表情が緩んだ。それを見計らって、哲次の傍へ歩み寄る。手を繋ぎ、
「帰ろ?」
と提案すれば、ぎゅっと握り返された。
「大変だな、ヤキモチ焼きも」
「うるせぇ、そんなんじゃねえよ」
「なれよ、素直に。#早乙女#、分かってないぞ、まだお前に愛されてるってこと」
「…………別に。愛してるとか、そんなの」
同い年の前で、哲次は恋人らしいことをしたがらない。恥ずかしくて仕方ないといった様子だ。
「私は哲次愛してるよ!」
だから、その分私は人前でも伝えるようにしている。
「聞いてねぇよ、馬鹿」
帽子を深く被り直し、哲次は私の手を引いて踵を返した。
「ご苦労様。じゃあな」
「穂刈、お疲れ様!」
「おう、お疲れ、#早乙女#、荒船」
隊室を出て、私は哲次の腕に頬を寄せる。
「ひっつくな、まだ本部だぞ」
「はあい」
それでも、手だけは恋人繋ぎで歩いた。どーしても甘えちゃうんだ、女の子だから。男友達にヤキモチ焼くのは、私だって一緒だ。誰よりも、哲次の傍にいたいのだから。
「穂刈、まだ残ってるか?」
「いるな、まだしばらくは」
「じゃあ、こいつどっか行かないか見張っててくれ」
気付かないフリ、寝ているフリを続ける。
「分かった、見ておこう」
「おう、頼んだぞ」
哲次が帽子を被り直した様な気がする。そのまま、哲次は部屋を出て行った。多分、報告書を提出しに行ったのだろう。
「…………別にどこにも行かないのにね~」
「起きてたか、やっぱり」
起き上がって穂刈に話しかける。彼はあまり表情は変わらない人だが、うっすらと呆れた様に微笑んでいた。
「そんなに私がどっか行くの嫌なのかな?」
「嫌なんだろう、だから頼んだ。心配なんだ、他の男と仲良くするのが」
「だって私、男相手の方が話しやすいんだもん」
「分かってるさ、それは荒船も。それでも、嫌なものは嫌なんだろう」
繰り返し持ち上げられるダンベルは、何kgくらいあるのだろうか。哲次の使ってるのと同じくらいかな。私には扱うのが厳しい物だ。穂刈は、私よりも哲次に近い。きっと共感出来るものが多い。彼は男性だから。
「けど、いーなー。穂刈は哲次の相棒感あるの」
「そうか?」
「そうだよ。なりたくても、そのポジションには私なれないじゃん」
私は女性だから。どうしたって、壁があると思うのだ。飛び越えることの出来ない壁が。
「鋼君にしろ、カゲにしろ。私には入れない領域にいる気がするんだ」
「……逆だと思うがな、それは」
「うん??」
首を傾げれば、穂刈は目を細めた。
「よっぽど、#早乙女#のが。近寄れない距離にいると思う、俺たちには」
穂刈はダンベルを置くと、私の隣に移動してきた。ベットに腰掛けて、子供に言い聞かす様に話し始めた。
「自信もて、もっと。何より掛け替えのない存在だ、荒船にとってお前は」
「そうかなぁ?」
「下手くそなんだな、甘え方が。男だから。分かってやってくれ、愛なんだきっと、束縛するのも」
「そーいうの分かるの、やっぱり穂刈のが哲次のこと分かってるじゃん」
そう言えば、穂刈は苦笑して軽く私にデコピンしてきた。
「いたっ」
「受け入れてるだろ、その束縛を。平然と。それはお前にしか出来ないし、お前にしかしない。荒船は」
「うーん……」
なお食い下がる私に、もう一度穂刈はデコピンした。そのあと、ぐしゃぐしゃと私の頭を撫で回した。
「わっ」
「それに、1人で抱えなくていいと思う、荒船のことを。俺たちにも支えさせろ、荒船もお前も。持ちきれない時は、俺たちに寄越せ、半分を。友達だろう?」
「うん!」
友達ということに素直に頷けば、穂刈は肩を揺らした。
「敵わないな、お前の素直さには。心配になる、俺でも」
「なんで? だってずっと一緒に荒船隊してるし、友達だよ?」
「事実でも、それを言えないこともあるんだ、男にはな」
「そうなんだ」
「そうなんだよ」
穂刈や鋼君や、カゲが羨ましかった。同じステージに立てる彼らが。今でも、諦めずにそうなりたいと進んでるつもりだ。でもやっぱり、女の子だから。甘えたいし愛されたいとどうしても思ってしまって、なりきれないのだ。
「なんでも頼れ、困ったら。荒船も#早乙女#も大事だ、俺にとっては」
「はーい。ありがとう、穂刈」
そう笑いかけた時に、哲次が戻ってきた。私を見ると、ぐっと眉を寄せた。
「哲次、おかえり」
「おう。お前なにしてんだ」
「穂刈と話してた!」
すると、今度は穂刈を睨んだ。やれやれといった風に、
「見てたぞ、ちゃんと。どこか行かない様に」
と弁明した。それでも哲次は追及をやめない。
「なに話してたんだよ」
「それは、聞け。#早乙女#に」
「んだよ。話せねぇことなのか」
「ないが、そんなことは? な、#早乙女#」
「うん、哲次の話してたの」
そう言えば、少し表情が緩んだ。それを見計らって、哲次の傍へ歩み寄る。手を繋ぎ、
「帰ろ?」
と提案すれば、ぎゅっと握り返された。
「大変だな、ヤキモチ焼きも」
「うるせぇ、そんなんじゃねえよ」
「なれよ、素直に。#早乙女#、分かってないぞ、まだお前に愛されてるってこと」
「…………別に。愛してるとか、そんなの」
同い年の前で、哲次は恋人らしいことをしたがらない。恥ずかしくて仕方ないといった様子だ。
「私は哲次愛してるよ!」
だから、その分私は人前でも伝えるようにしている。
「聞いてねぇよ、馬鹿」
帽子を深く被り直し、哲次は私の手を引いて踵を返した。
「ご苦労様。じゃあな」
「穂刈、お疲れ様!」
「おう、お疲れ、#早乙女#、荒船」
隊室を出て、私は哲次の腕に頬を寄せる。
「ひっつくな、まだ本部だぞ」
「はあい」
それでも、手だけは恋人繋ぎで歩いた。どーしても甘えちゃうんだ、女の子だから。男友達にヤキモチ焼くのは、私だって一緒だ。誰よりも、哲次の傍にいたいのだから。