荒船部屋
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付き合い始めた頃の話。
鋼君と仲良くなってから、哲次はずっと機嫌が悪くて冷たい。もともと意地悪だったけど、口の悪さが加速して突き放すような話し方になった。哲次と鋼君、どっちも大切で、でも「どっちのが大事なんだ」って聞かれたら、哲次で。そう伝えたら、ふって少し緩んだ顔になったけど、すぐ気難しい顔に戻って、「じゃあ態度で示せよ」って言われた。心なしか、顔が赤かった。そんなの、3年以上片想いしてきてて、ずっと伝えてるじゃんと思う。今だって、家に呼び出されたのに放ったらかしで机にずーっと向かってる。態度で示して欲しいのはこっちの方だ。キスだってあんまりされないし、抱きしめられたりもない。好き? って問い詰めれば、「好きだよ!」って怒鳴るし。哲次のことは大好きだけど、付き合ってるのに満たされないことばかりで。
「哲次哲次ー」
って名前呼びながら後ろから抱きついてみた。ぎゅーって好きって気持ちが伝わるように。それなのに、
「邪魔くせえ」
って手を払おうとする。
「好きー大好きー」
って言ってみても、
「うるさい」
と一言。もう我慢が出来なくて、
「意地悪嫌い」
って思わず呟いた。それにも返事はないまま。
「冷たいの嫌。悲しい、辛い。傷つく。」
それでも黙ってるから、こめかみにキスをした。
「……は?」
哲次はキスした場所を手で抑えて、やっと振り向いた。そのまま頬にもキスしようとしたら、
「待て、待て!」
って口抑えられた。なんで止めるの。じーっと目を見たら戸惑うように揺れていて、
「見んな、寄るな。」
ってまた突き放されて背中向けられた。悲しくて、悲しくて。
「意地悪ーっ……!」
涙が溢れてきて、ぽつりぽつりと床を濡らす。振り向いた哲次が、
「なんで泣くんだよ」
って言うから。なんで分かってくれないの。余計に泣けてきて大声で泣き出したら、慌てて抱き寄せてきて、
「悪かった、悪かったから」
背中撫ぜてくれた。今更なによ。溜まっていた不安や不満がこぼれ出す。
「なんで、意地悪ばっかりするの、酷いことばっかり言うの」
「……ごめん」
「嫌だ、許さない」
「悪かったって」
びーびー子供のように泣いた。背中を撫でる手が早くなって、焦ったように、
「勘弁しろって。泣かれるのキツイんだよ」
って言ってくれるけど。そんなの納得出来ないよ。
「じゃあ泣かすようなことしないで」
「……分かった、気をつけるから、泣くんじゃねぇ」
泣くなと言われると、ますます涙は止まらなくて。もう分かんなくなりながら、
「好き、哲次好き」
ってうわ言のように繰り返した。
「俺も好きだから、落ち着け」
「嘘だぁ」
「嘘じゃねぇって馬鹿」
「知ってるけど、知らない」
目をこすろうとしたら、その手抑えられて、
「こすんな、赤くなる」
ティッシュで丁寧に涙を拭き取られる。鼻もかまされて、子供をあやす様に前後に身体を揺らす。
「抱きしめるだけじゃ足りねぇか」
哲次の声は真剣で、どこか申し訳なさそうに弱かった。
「一緒にいるだけじゃ伝わんねえのか」
うん、って頷いたら、
「馬鹿な女だな」
なんてまた冷たく言うから、もう一度泣き出しそうになる。その顔見て、しまったという顔をして、
「悪い、違う、あーもう……」
慌てて抱き寄せられて頭撫でられる。哲次は気持ちを落ち着かせる様にふーっと息を吐くと、
「……一回しか言わねぇからな」
と言った。すぐに、
「嫌だいっぱい言って欲しい」
と言い返した。
「まだなんも言ってねぇだろうが」
「嫌だ、いっぱい」
「わがまま」
「わがまま、いっぱい聞いてほしい」
哲次はもう一度息を吸い込んだ。そして、顔を見られない様に私を胸に押し付けた。
「……可愛い、そーいう馬鹿で欲張りなとこ。不器用で、弱っちくて、甘ったれで、どーしようもねぇけど、けどいいとこもいっぱいあって、素直だし、優しいし、真っ直ぐで、いじめたくもなるし、純粋すぎて俺は恥ずかしいし。……そういうの、分かれよ」
「分かるけど、分かりたくない。たまには優しくしてほしい」
「……悪かった。どんなことしても戻ってきて欲しいし、多分、俺も甘えてるんだな。好きだよ、誰よりもそばにいて欲しいし、ずっと一緒にいて欲しい」
今の言葉は、優しい音をしていた。嬉しかった。全部なんて分からないし、まだ満たされないけれど、それでも哲次のことは大好きでいられる。顔上げて目を合わせたら、そっと唇にキスされた。
「見んな」
赤くなってたから、素直に胸に顔を埋めたら、
「ん。いい子」
って頭撫でてくれた。哲次に褒められたら、なんでもしてしまう。だから、ちょっとでもいいから、私を愛してほしい。ちょっとでいいから、恋人みたいにしてほしい。ズキズキと痛む頭を堪える様に、哲次のシャツをぎゅっと握りしめた。
鋼君と仲良くなってから、哲次はずっと機嫌が悪くて冷たい。もともと意地悪だったけど、口の悪さが加速して突き放すような話し方になった。哲次と鋼君、どっちも大切で、でも「どっちのが大事なんだ」って聞かれたら、哲次で。そう伝えたら、ふって少し緩んだ顔になったけど、すぐ気難しい顔に戻って、「じゃあ態度で示せよ」って言われた。心なしか、顔が赤かった。そんなの、3年以上片想いしてきてて、ずっと伝えてるじゃんと思う。今だって、家に呼び出されたのに放ったらかしで机にずーっと向かってる。態度で示して欲しいのはこっちの方だ。キスだってあんまりされないし、抱きしめられたりもない。好き? って問い詰めれば、「好きだよ!」って怒鳴るし。哲次のことは大好きだけど、付き合ってるのに満たされないことばかりで。
「哲次哲次ー」
って名前呼びながら後ろから抱きついてみた。ぎゅーって好きって気持ちが伝わるように。それなのに、
「邪魔くせえ」
って手を払おうとする。
「好きー大好きー」
って言ってみても、
「うるさい」
と一言。もう我慢が出来なくて、
「意地悪嫌い」
って思わず呟いた。それにも返事はないまま。
「冷たいの嫌。悲しい、辛い。傷つく。」
それでも黙ってるから、こめかみにキスをした。
「……は?」
哲次はキスした場所を手で抑えて、やっと振り向いた。そのまま頬にもキスしようとしたら、
「待て、待て!」
って口抑えられた。なんで止めるの。じーっと目を見たら戸惑うように揺れていて、
「見んな、寄るな。」
ってまた突き放されて背中向けられた。悲しくて、悲しくて。
「意地悪ーっ……!」
涙が溢れてきて、ぽつりぽつりと床を濡らす。振り向いた哲次が、
「なんで泣くんだよ」
って言うから。なんで分かってくれないの。余計に泣けてきて大声で泣き出したら、慌てて抱き寄せてきて、
「悪かった、悪かったから」
背中撫ぜてくれた。今更なによ。溜まっていた不安や不満がこぼれ出す。
「なんで、意地悪ばっかりするの、酷いことばっかり言うの」
「……ごめん」
「嫌だ、許さない」
「悪かったって」
びーびー子供のように泣いた。背中を撫でる手が早くなって、焦ったように、
「勘弁しろって。泣かれるのキツイんだよ」
って言ってくれるけど。そんなの納得出来ないよ。
「じゃあ泣かすようなことしないで」
「……分かった、気をつけるから、泣くんじゃねぇ」
泣くなと言われると、ますます涙は止まらなくて。もう分かんなくなりながら、
「好き、哲次好き」
ってうわ言のように繰り返した。
「俺も好きだから、落ち着け」
「嘘だぁ」
「嘘じゃねぇって馬鹿」
「知ってるけど、知らない」
目をこすろうとしたら、その手抑えられて、
「こすんな、赤くなる」
ティッシュで丁寧に涙を拭き取られる。鼻もかまされて、子供をあやす様に前後に身体を揺らす。
「抱きしめるだけじゃ足りねぇか」
哲次の声は真剣で、どこか申し訳なさそうに弱かった。
「一緒にいるだけじゃ伝わんねえのか」
うん、って頷いたら、
「馬鹿な女だな」
なんてまた冷たく言うから、もう一度泣き出しそうになる。その顔見て、しまったという顔をして、
「悪い、違う、あーもう……」
慌てて抱き寄せられて頭撫でられる。哲次は気持ちを落ち着かせる様にふーっと息を吐くと、
「……一回しか言わねぇからな」
と言った。すぐに、
「嫌だいっぱい言って欲しい」
と言い返した。
「まだなんも言ってねぇだろうが」
「嫌だ、いっぱい」
「わがまま」
「わがまま、いっぱい聞いてほしい」
哲次はもう一度息を吸い込んだ。そして、顔を見られない様に私を胸に押し付けた。
「……可愛い、そーいう馬鹿で欲張りなとこ。不器用で、弱っちくて、甘ったれで、どーしようもねぇけど、けどいいとこもいっぱいあって、素直だし、優しいし、真っ直ぐで、いじめたくもなるし、純粋すぎて俺は恥ずかしいし。……そういうの、分かれよ」
「分かるけど、分かりたくない。たまには優しくしてほしい」
「……悪かった。どんなことしても戻ってきて欲しいし、多分、俺も甘えてるんだな。好きだよ、誰よりもそばにいて欲しいし、ずっと一緒にいて欲しい」
今の言葉は、優しい音をしていた。嬉しかった。全部なんて分からないし、まだ満たされないけれど、それでも哲次のことは大好きでいられる。顔上げて目を合わせたら、そっと唇にキスされた。
「見んな」
赤くなってたから、素直に胸に顔を埋めたら、
「ん。いい子」
って頭撫でてくれた。哲次に褒められたら、なんでもしてしまう。だから、ちょっとでもいいから、私を愛してほしい。ちょっとでいいから、恋人みたいにしてほしい。ズキズキと痛む頭を堪える様に、哲次のシャツをぎゅっと握りしめた。