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最近なんだか見られているような気がする。気のせいならいいのだが、背後に気配を感じるのだ。それは毎日ではないが、登校中だったり、玉狛に向かうときだったり、休みの外出中だったりと場面は様々だ。気持ち悪いけれど、実害は出ていないし、確信が持てないので誰にも相談出来ずにいる。私の様子がおかしいことに気づいた柚宇お姉ちゃんは、「何かあるなら、ちゃんと相談してね」と言ってくれたけど、同んなじ顔の双子の姉にこんなことを知られるわけにはいかないと思った。だって、柚宇お姉ちゃんまでこんな怖い思いして欲しくない。巻き込みたくないの。今日、本部に来るまでもねっとりとした視線を感じた。これから玉狛に戻らなければならないのに。嫌だなぁ。
「そこで立ち止まって、どうしたんだ、国近」
「!! 二宮さん。防衛任務の帰りですか?」
「……まあ、そんなところだ」
「お疲れ様です」
「お前はこれから玉狛か?」
「はい、そうです。林藤さんに頼まれた仕事が残ってるので……」
うっかり不安を悟られないように、無理に笑顔を作る。二宮さんは眉をひそめた。
「……もう暗い。俺が玉狛まで送っていってやろう」
「え? そんな、悪いです」
「別に構わん」
そう言うと、二宮さんは私の荷物を取り上げて歩き出してしまった。気づかれてしまっただろうか。そんなはずはないだろうけど、紳士的な行動に心から感謝する。張り詰めていた緊張がほぐされていくのが分かる。
「最近は玉狛にいる時間が長いな。忙しいのか?」
「あ、えっと、後輩が入ってきてまた賑やかになりました。宇佐美ちゃんと忙しくしてます」
「そうか。あまり無理はするなよ」
「ありがとうございます」
私みたいな下っ端のことまで気にかけてくれて、二宮さんは本当によく出来た人だ。厳格な佇まいに、大人の魅力を感じる。ねっとりした視線は今は感じず、この人の隣で完全に安心していた。
「二宮さんは、お休みは何をしているんですか?」
二宮さんが休日何をしているのか、想像もつかない。興味本位で質問してみた。
「そうだな、お前を見ている」
「え?」
チカチカと、街灯が点滅を繰り返す。振り向いた二宮さんの表情は、いつもと変わらない。毅然とした、大人の顔。そういえば、ここは玉狛に向かう道じゃない。
「お前は、いつ見ても飽きない。可愛らしい」
「二宮……さん? さっきから何を言って」
ぞわぞわと背筋を冷たいものが走る。足は震えて言うことを聞かない。だって、そんな、まさか。
「もう、遅い」
手首を掴まれ、口に布をあてがわれる。つん、とした匂いとともに私は意識を手放した。
「!!」
目が覚めると、見知らぬ天井が目に入った。知らないベットに寝かされていて、知らない毛布をかけられている。慌てて身を起こすと、軽い目眩。窓のない部屋は薄暗く、時計も置かれていない。
「やっと起きたか。待ちくたびれた」
「……二宮さん! どういうことですか!?」
「あきが悪いんだ。そこかしこで愛想を振りまきやがって」
二宮さんは部屋の扉を背に一歩、また一歩近づいてくる。ベットの上で身を縮こませて逃げようとしたが、呆気なく追い詰められてしまった。顔の横に手をつかれ、二宮さんの息がかかる。
「っ、いや!」
「綺麗な髪だな。ずっと触れたかった」
髪を撫ぜる手つきは優しいが、私を写す瞳は獰猛な猛獣のようだった。獲物を狙い、捕える時のそれ。
「今日からお前は俺のものだ、あき」
言い渡された言葉に、抵抗することを忘れてしまう。それくらい、恐ろしかった。ああ、お母さん、お父さん、柚宇お姉ちゃん。私はもう、日の光を見ることは叶わないでしょう。ごめんなさい、ごめんなさい……。
「そこで立ち止まって、どうしたんだ、国近」
「!! 二宮さん。防衛任務の帰りですか?」
「……まあ、そんなところだ」
「お疲れ様です」
「お前はこれから玉狛か?」
「はい、そうです。林藤さんに頼まれた仕事が残ってるので……」
うっかり不安を悟られないように、無理に笑顔を作る。二宮さんは眉をひそめた。
「……もう暗い。俺が玉狛まで送っていってやろう」
「え? そんな、悪いです」
「別に構わん」
そう言うと、二宮さんは私の荷物を取り上げて歩き出してしまった。気づかれてしまっただろうか。そんなはずはないだろうけど、紳士的な行動に心から感謝する。張り詰めていた緊張がほぐされていくのが分かる。
「最近は玉狛にいる時間が長いな。忙しいのか?」
「あ、えっと、後輩が入ってきてまた賑やかになりました。宇佐美ちゃんと忙しくしてます」
「そうか。あまり無理はするなよ」
「ありがとうございます」
私みたいな下っ端のことまで気にかけてくれて、二宮さんは本当によく出来た人だ。厳格な佇まいに、大人の魅力を感じる。ねっとりした視線は今は感じず、この人の隣で完全に安心していた。
「二宮さんは、お休みは何をしているんですか?」
二宮さんが休日何をしているのか、想像もつかない。興味本位で質問してみた。
「そうだな、お前を見ている」
「え?」
チカチカと、街灯が点滅を繰り返す。振り向いた二宮さんの表情は、いつもと変わらない。毅然とした、大人の顔。そういえば、ここは玉狛に向かう道じゃない。
「お前は、いつ見ても飽きない。可愛らしい」
「二宮……さん? さっきから何を言って」
ぞわぞわと背筋を冷たいものが走る。足は震えて言うことを聞かない。だって、そんな、まさか。
「もう、遅い」
手首を掴まれ、口に布をあてがわれる。つん、とした匂いとともに私は意識を手放した。
「!!」
目が覚めると、見知らぬ天井が目に入った。知らないベットに寝かされていて、知らない毛布をかけられている。慌てて身を起こすと、軽い目眩。窓のない部屋は薄暗く、時計も置かれていない。
「やっと起きたか。待ちくたびれた」
「……二宮さん! どういうことですか!?」
「あきが悪いんだ。そこかしこで愛想を振りまきやがって」
二宮さんは部屋の扉を背に一歩、また一歩近づいてくる。ベットの上で身を縮こませて逃げようとしたが、呆気なく追い詰められてしまった。顔の横に手をつかれ、二宮さんの息がかかる。
「っ、いや!」
「綺麗な髪だな。ずっと触れたかった」
髪を撫ぜる手つきは優しいが、私を写す瞳は獰猛な猛獣のようだった。獲物を狙い、捕える時のそれ。
「今日からお前は俺のものだ、あき」
言い渡された言葉に、抵抗することを忘れてしまう。それくらい、恐ろしかった。ああ、お母さん、お父さん、柚宇お姉ちゃん。私はもう、日の光を見ることは叶わないでしょう。ごめんなさい、ごめんなさい……。