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「……分かんない。分かんないよ、米屋」
そう言って泣き出した早乙女の顔が頭から離れない。
重苦しい教室から逃げるように帰ったあの日から、ずっと早乙女のことを考えてしまう。初めて見た、あいつの泣き顔は、女の子らしいか弱さを感じて可愛いと思った。いつも明るくさっぱりした早乙女からは想像つかなくて、それが俺のせいで作られた表情だと思うと、なんか胸が締め付けられて。誰にも見せたくないと思った。俺以外で早乙女にこんな顔させる奴は許せねぇと思った。もう一度、笑顔が見たいと思った。……ああ、俺は早乙女が好きなんだって今更思った。
自覚した恋心は加速して、俺から早乙女を遠ざけた。泣かせてしまった後ろめたさ、顔を合わせることの恥ずかしさ。もう、今までの距離に戻れない切なさ。それらに襲われ邪魔されて、俺は早乙女を避けるようになった。早乙女からメールが着ても、前のようにだらだら無駄話することはなくなったし、ランク戦したり街に繰り出したりすることもなくなった。それは2週間程度の期間だったけど、俺は空っぽになったようで辛かった。早乙女が作戦室まで来た時は焦った。咄嗟に奥に隠れて、いないと伝えてくれと秀次に頼んだ。みんな俺を驚いた目で見たけど、俺の必死さにそれ以上は聞いてこなかった。早乙女が俺に会いに来てくれたことが嬉しい反面、もう近づかないでくれとも思った。だって、俺は本当の気持ちを伝える前に振られているのだから。早乙女が元に戻っても、俺はもう戻れない。募る思いが胸を苦しめた。
いい加減自分にうんざりしていた時に、弾バカからメールが着た。
『なんか悩んでるみてーじゃん? ランク戦でもして気分晴らそうぜ!15時半にモニター前な!』
出水に分かるくらい俺は弱ってんのかと驚いた。けれど、戦闘しまくって忘れるのもいいかもしれない。
『行く。サンキューな』
返信をして、身体を起こす。顔洗って、髪上げて、着替える。冷蔵庫の牛乳を一気飲みして、本部に向かった。
ほんの少しだけ早く到着した。夏休みってこともあり、わりとロビーは盛況していた。モニターに映し出される戦闘を見て、あー早乙女とランク戦してぇと思う。結局、何しても早乙女に結びついてしまう頭に苦笑した。でもまあ約束もしちまったし、とりあえず弾バカを待とうとモニター前に移動した。
「よねやぁぁーー!!」
「!? 早乙女!?」
突然の大声にびっくりする。聞きたかった声。どこにいるのかキョロキョロすれば、席の後方に姿を見つけた。真っ直ぐ向けられた視線に、逃げようとしていた足は止まる。ドキドキとうるさいくらいに心臓は激しく波打った。
「好きぃぃーー!! 私と、付き合って!!」
そう叫んだ後、早乙女は笑った。やっぱ笑った方が可愛い、なんて考えながら、言われた言葉を頭で繰り返して思考停止した。
「…………マジかよ」
てっきり嫌われたと思っていた。友達以上にはなれないと諦めていた。でも、それは間違いだったらしい。押し込めていた感情がこみ上げる。そうか、俺は早乙女を好きでいていいんだ。早乙女はじっと俺を見つめて答えを待ってる。もう一度、今度はちゃんとした気持ちを伝えよう。俺は深く息を吸い込んだ。
「俺も好きだ!! こんにゃろー!!」
早乙女に負けないくらい大声で叫んだ。キャーキャーいう女子の声、どこからともなく巻き起こる拍手。そういえば、ここランク戦のロビーだった。思い出して顔に熱が集まる。早乙女は構わずに、俺のところまで駆け寄って来て飛びついた。密着する身体に戸惑う。触っていいのだろうか。どうしたらいいか分からず、腕は不自然に宙に浮いた。
「米屋、大好き!」
そう言う彼女の笑顔は俺だけのものだ。もっと、もっといろんな表情を知りたいと思った。
そう言って泣き出した早乙女の顔が頭から離れない。
重苦しい教室から逃げるように帰ったあの日から、ずっと早乙女のことを考えてしまう。初めて見た、あいつの泣き顔は、女の子らしいか弱さを感じて可愛いと思った。いつも明るくさっぱりした早乙女からは想像つかなくて、それが俺のせいで作られた表情だと思うと、なんか胸が締め付けられて。誰にも見せたくないと思った。俺以外で早乙女にこんな顔させる奴は許せねぇと思った。もう一度、笑顔が見たいと思った。……ああ、俺は早乙女が好きなんだって今更思った。
自覚した恋心は加速して、俺から早乙女を遠ざけた。泣かせてしまった後ろめたさ、顔を合わせることの恥ずかしさ。もう、今までの距離に戻れない切なさ。それらに襲われ邪魔されて、俺は早乙女を避けるようになった。早乙女からメールが着ても、前のようにだらだら無駄話することはなくなったし、ランク戦したり街に繰り出したりすることもなくなった。それは2週間程度の期間だったけど、俺は空っぽになったようで辛かった。早乙女が作戦室まで来た時は焦った。咄嗟に奥に隠れて、いないと伝えてくれと秀次に頼んだ。みんな俺を驚いた目で見たけど、俺の必死さにそれ以上は聞いてこなかった。早乙女が俺に会いに来てくれたことが嬉しい反面、もう近づかないでくれとも思った。だって、俺は本当の気持ちを伝える前に振られているのだから。早乙女が元に戻っても、俺はもう戻れない。募る思いが胸を苦しめた。
いい加減自分にうんざりしていた時に、弾バカからメールが着た。
『なんか悩んでるみてーじゃん? ランク戦でもして気分晴らそうぜ!15時半にモニター前な!』
出水に分かるくらい俺は弱ってんのかと驚いた。けれど、戦闘しまくって忘れるのもいいかもしれない。
『行く。サンキューな』
返信をして、身体を起こす。顔洗って、髪上げて、着替える。冷蔵庫の牛乳を一気飲みして、本部に向かった。
ほんの少しだけ早く到着した。夏休みってこともあり、わりとロビーは盛況していた。モニターに映し出される戦闘を見て、あー早乙女とランク戦してぇと思う。結局、何しても早乙女に結びついてしまう頭に苦笑した。でもまあ約束もしちまったし、とりあえず弾バカを待とうとモニター前に移動した。
「よねやぁぁーー!!」
「!? 早乙女!?」
突然の大声にびっくりする。聞きたかった声。どこにいるのかキョロキョロすれば、席の後方に姿を見つけた。真っ直ぐ向けられた視線に、逃げようとしていた足は止まる。ドキドキとうるさいくらいに心臓は激しく波打った。
「好きぃぃーー!! 私と、付き合って!!」
そう叫んだ後、早乙女は笑った。やっぱ笑った方が可愛い、なんて考えながら、言われた言葉を頭で繰り返して思考停止した。
「…………マジかよ」
てっきり嫌われたと思っていた。友達以上にはなれないと諦めていた。でも、それは間違いだったらしい。押し込めていた感情がこみ上げる。そうか、俺は早乙女を好きでいていいんだ。早乙女はじっと俺を見つめて答えを待ってる。もう一度、今度はちゃんとした気持ちを伝えよう。俺は深く息を吸い込んだ。
「俺も好きだ!! こんにゃろー!!」
早乙女に負けないくらい大声で叫んだ。キャーキャーいう女子の声、どこからともなく巻き起こる拍手。そういえば、ここランク戦のロビーだった。思い出して顔に熱が集まる。早乙女は構わずに、俺のところまで駆け寄って来て飛びついた。密着する身体に戸惑う。触っていいのだろうか。どうしたらいいか分からず、腕は不自然に宙に浮いた。
「米屋、大好き!」
そう言う彼女の笑顔は俺だけのものだ。もっと、もっといろんな表情を知りたいと思った。