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いやあ、やっぱり鋼君のお母さんのご飯は美味しかった! 今日は定期的に開催される「幼馴染の会」だった。内容は、私と鋼君がどちらかの家で夕飯を一緒に食べる、というものだ。赤ちゃんの頃から、お互いの家を行き来していたから、鋼君の家は第二の我が家と言って差し支えない。久しぶりに鋼君のお母さんと話し込んでしまって、すっかり帰るのが遅くなってしまった。鋼君に家まで送ってもらって、さっき別れたところだ。お母さんもお父さんももう寝ているようで、家は真っ暗だった。そっと玄関を開け、自分の部屋に入る。もうシャワーは明日の朝浴びよう。手早くパジャマに着替えて、ベットに倒れこむ。
(そういえば、恋の方は順調なの?)
(あら、良かったじゃない! 告白は? 告白はしないの?)
(えーすればいいのに。もっと仲良くなりたくない?)
(いいわよねぇいいわよねぇ! やっぱり恋は実らせないと!)
(勇気出したら、違う世界が広がっているものよ。自信持って。あきちゃん可愛いから大丈夫よ)
鋼君のお母さんとの会話を思い浮かべる。すごいテンション高かったな。告白……告白。荒船君とは、もっと仲良くなりたい、もちろん。けど、踏み込んで思いが通じるとは限らない。もし、フラれてしまったら。今と同じようには接してもらえないだろう。それは耐えられないなあ。私は、荒船君とお話出来るだけでも、充分幸せだし。そんなことを考えていたら、ヴッー、ヴッーとスマホが震える。メールだと思ったが、どうやら電話らしく振動は続く。こんな時間に、誰だろう。
「!!? うえっ!?」
画面には『荒船哲次』の文字。なんで!? どうしよう、どうしたらいい。私は一瞬でパニックになった。かけ間違いかな、それともなにか大変な事が起きたのだろうか。そうこうしているうちに、電話は留守電に入る。とにかく、出なくちゃ!
「はい! もしもし!」
「もしもし、荒船、だけど」
うわあ、荒船君の声が耳元で聞こえる。身体を起こし、正座して次の言葉を待つ。
「…………」
「あー……悪い、夜中に電話なんて。その……寝れなくてさ。早乙女の、声聞きたい」
ドクン、と心臓は大きく脈を打つ。眠れないから、声が、聞きたい。なんか、遠距離の恋人みたいで。
「……えっと、こんばんは」
「……ふっ、こんばんは」
吐息混じりに笑わないで、心臓爆発して死んじゃう。
「好きに話していい、途中で寝ちまうけど」
「う、うん。じゃあ、今日ね、鋼君の家に行ったんだけど」
「……へえ」
「鋼君のお母さんのご飯、すごく美味しかったの」
「……早乙女が作ったんじゃなくて?」
「?? 少しはお手伝いしたけど」
「早乙女は料理しねぇのか」
「うーん、あんまり作らないなあ」
しまった。嘘でも出来るって言えばよかった。
「荒船君は? 料理とかするの?」
「お好み焼きなら作れるな」
「ふふふ。また一緒にお好み焼き食べたいな」
「……俺も、早乙女と食いたい」
「あ、あとこの前ね、瞳ちゃんがね……」
自分の声で誰かと話すなんて久しぶりで、それも荒船君となんて夢のようで、とにかく嬉しい。けど、そんな時間は長くは続かない。一言喋るごとに、荒船君の返事が鈍くなっていく。ちょっと寂しくて切ない、な。
「…………おやすみ、荒船君」
「ん…………おやすみ……あき」
「へっ!? 荒船君、今私のこと名前で呼んだ!?」
返答はなく、受話器からは規則正しい呼吸音だけが聞こえる。こうなっては、もう私の声では起こせない。そっと、通話を切る。
「名前で、呼ばれた……」
囁くような掠れた声。聞き間違いだったんだろうか。そうじゃなかったら、なぜ。ドキドキと心臓は暴れて、とても眠りにはつけなくなった。
(そういえば、恋の方は順調なの?)
(あら、良かったじゃない! 告白は? 告白はしないの?)
(えーすればいいのに。もっと仲良くなりたくない?)
(いいわよねぇいいわよねぇ! やっぱり恋は実らせないと!)
(勇気出したら、違う世界が広がっているものよ。自信持って。あきちゃん可愛いから大丈夫よ)
鋼君のお母さんとの会話を思い浮かべる。すごいテンション高かったな。告白……告白。荒船君とは、もっと仲良くなりたい、もちろん。けど、踏み込んで思いが通じるとは限らない。もし、フラれてしまったら。今と同じようには接してもらえないだろう。それは耐えられないなあ。私は、荒船君とお話出来るだけでも、充分幸せだし。そんなことを考えていたら、ヴッー、ヴッーとスマホが震える。メールだと思ったが、どうやら電話らしく振動は続く。こんな時間に、誰だろう。
「!!? うえっ!?」
画面には『荒船哲次』の文字。なんで!? どうしよう、どうしたらいい。私は一瞬でパニックになった。かけ間違いかな、それともなにか大変な事が起きたのだろうか。そうこうしているうちに、電話は留守電に入る。とにかく、出なくちゃ!
「はい! もしもし!」
「もしもし、荒船、だけど」
うわあ、荒船君の声が耳元で聞こえる。身体を起こし、正座して次の言葉を待つ。
「…………」
「あー……悪い、夜中に電話なんて。その……寝れなくてさ。早乙女の、声聞きたい」
ドクン、と心臓は大きく脈を打つ。眠れないから、声が、聞きたい。なんか、遠距離の恋人みたいで。
「……えっと、こんばんは」
「……ふっ、こんばんは」
吐息混じりに笑わないで、心臓爆発して死んじゃう。
「好きに話していい、途中で寝ちまうけど」
「う、うん。じゃあ、今日ね、鋼君の家に行ったんだけど」
「……へえ」
「鋼君のお母さんのご飯、すごく美味しかったの」
「……早乙女が作ったんじゃなくて?」
「?? 少しはお手伝いしたけど」
「早乙女は料理しねぇのか」
「うーん、あんまり作らないなあ」
しまった。嘘でも出来るって言えばよかった。
「荒船君は? 料理とかするの?」
「お好み焼きなら作れるな」
「ふふふ。また一緒にお好み焼き食べたいな」
「……俺も、早乙女と食いたい」
「あ、あとこの前ね、瞳ちゃんがね……」
自分の声で誰かと話すなんて久しぶりで、それも荒船君となんて夢のようで、とにかく嬉しい。けど、そんな時間は長くは続かない。一言喋るごとに、荒船君の返事が鈍くなっていく。ちょっと寂しくて切ない、な。
「…………おやすみ、荒船君」
「ん…………おやすみ……あき」
「へっ!? 荒船君、今私のこと名前で呼んだ!?」
返答はなく、受話器からは規則正しい呼吸音だけが聞こえる。こうなっては、もう私の声では起こせない。そっと、通話を切る。
「名前で、呼ばれた……」
囁くような掠れた声。聞き間違いだったんだろうか。そうじゃなかったら、なぜ。ドキドキと心臓は暴れて、とても眠りにはつけなくなった。