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夕暮れ、建物の間から差し込む斜陽が、私の顔を照らす。生温い風が横を通り過ぎていく。鳴り響くサイレンの音の渦中へ急ぐ。
「早乙女隊、現着しました。これより、掃討に移ります」
現れた近界民は、4体。バムスター1体とモールモッドが3体。ばらけられると、面倒だな。
「1体ずつ、確実に仕留めていこう」
チームメイトに指示を出す。了解、と返事をもらった。いつも通り、私が引きつけて、トドメを皆に刺してもらう、つもりだった。
「! あきさん、危ないっ!」
思ったよりも、モールモッドの動きが早い。背後に振りかざされたブレードが迫る。
(やば、緊急脱出……!)
目を瞑った瞬間、ぴゅいん、と弾丸が敵の心臓を捉えた。
「あ、」
『荒船隊、現着。援護に入る』
聞き慣れた、よく知る声が耳に流れる。助けられたことがちょっぴり恥ずかしい。
「い、今のは引きつけてたんだよ!おいしいところ持ってっちゃって!」
『嘘つけ。緊急脱出直前だったくせに。』
荒船君は鼻で笑う。うー悔しい。お礼を言いそびれたが、そんなに時間はない。構え直して近界民に立ち向かった。
「よぉ、お疲れさん」
任務が終わり、ラウンジで休んでいると、荒船君が歩み寄ってきた。ドカリ、と隣に座り込む。
「報告書、終わったのか?」
コクリ、と私は頷く。
「モールモッド相手に手こずるようじゃ、早乙女もまだまだだな」
む、痛いところを突かれる。頬を膨らまし、ポカポカと荒船君の肩を叩く。
「やめろって。なんか俺に言うことあるんじゃないか?」
得意気な荒船君から視線を逸らし、観念してスマホに文字を打ち出す。
『ありがとう』
「どーいたしまして」
荒船君は口角を薄くあげて笑う。くそう、今の表情好きだ。
ところで、なんで私が身振り手振り、文明の利器を使って喋らないでいるのかというと、それには私のSEが関係している。「睡眠誘発」。それが私のSEで、つまりは私の声を聴いた人は眠くなる。トリオン体の時は生身の時より効果が薄いみたいで、皆に指示が出せるが、生身の今普通に喋ってしまったら、荒船君が眠り込んでしまう。それは勘弁願いたい。長年の事で慣れてはいるけど、不便ではある。
「じゃあ、俺は帰るわ。早乙女は?」
『私も帰るよ』
立ち上がり、どちらともなく歩き出す。私の家と荒船君の家は、同じ通りにあって、私のが本部寄りである。道中はランク戦の事とか、最近の部隊の様子とか、ボーダーの情勢とか、お互いが隊長であることもあって、仕事の話が中心だった。
「じゃ、またな」
『うん、お疲れ様』
家の前で別れを告げ、荒船君の背中を見送る。その背中に、声をかけることは出来ない。スマホに打ち出した『好きです』の文字をデリートした。
「早乙女隊、現着しました。これより、掃討に移ります」
現れた近界民は、4体。バムスター1体とモールモッドが3体。ばらけられると、面倒だな。
「1体ずつ、確実に仕留めていこう」
チームメイトに指示を出す。了解、と返事をもらった。いつも通り、私が引きつけて、トドメを皆に刺してもらう、つもりだった。
「! あきさん、危ないっ!」
思ったよりも、モールモッドの動きが早い。背後に振りかざされたブレードが迫る。
(やば、緊急脱出……!)
目を瞑った瞬間、ぴゅいん、と弾丸が敵の心臓を捉えた。
「あ、」
『荒船隊、現着。援護に入る』
聞き慣れた、よく知る声が耳に流れる。助けられたことがちょっぴり恥ずかしい。
「い、今のは引きつけてたんだよ!おいしいところ持ってっちゃって!」
『嘘つけ。緊急脱出直前だったくせに。』
荒船君は鼻で笑う。うー悔しい。お礼を言いそびれたが、そんなに時間はない。構え直して近界民に立ち向かった。
「よぉ、お疲れさん」
任務が終わり、ラウンジで休んでいると、荒船君が歩み寄ってきた。ドカリ、と隣に座り込む。
「報告書、終わったのか?」
コクリ、と私は頷く。
「モールモッド相手に手こずるようじゃ、早乙女もまだまだだな」
む、痛いところを突かれる。頬を膨らまし、ポカポカと荒船君の肩を叩く。
「やめろって。なんか俺に言うことあるんじゃないか?」
得意気な荒船君から視線を逸らし、観念してスマホに文字を打ち出す。
『ありがとう』
「どーいたしまして」
荒船君は口角を薄くあげて笑う。くそう、今の表情好きだ。
ところで、なんで私が身振り手振り、文明の利器を使って喋らないでいるのかというと、それには私のSEが関係している。「睡眠誘発」。それが私のSEで、つまりは私の声を聴いた人は眠くなる。トリオン体の時は生身の時より効果が薄いみたいで、皆に指示が出せるが、生身の今普通に喋ってしまったら、荒船君が眠り込んでしまう。それは勘弁願いたい。長年の事で慣れてはいるけど、不便ではある。
「じゃあ、俺は帰るわ。早乙女は?」
『私も帰るよ』
立ち上がり、どちらともなく歩き出す。私の家と荒船君の家は、同じ通りにあって、私のが本部寄りである。道中はランク戦の事とか、最近の部隊の様子とか、ボーダーの情勢とか、お互いが隊長であることもあって、仕事の話が中心だった。
「じゃ、またな」
『うん、お疲れ様』
家の前で別れを告げ、荒船君の背中を見送る。その背中に、声をかけることは出来ない。スマホに打ち出した『好きです』の文字をデリートした。