short-1-
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「犬飼くん、なに考えてるのか分からない」
今回のお別れの言葉はこれ。まあ、そうだろうねとしか思わない。だって、初めからあんたなんかにキョーミなんてない。じゃあ、別れよって言ってからそれっきり。
「犬飼、また別れたんだってね」
「お、あきちゃん情報早いじゃん」
隣の席、あきはちら、とこちらを見ると手元の小説に視線を戻した。メガネの下の、クールな瞳を揺るがしたい。前の席を陣取って、あきの机に肘をつく。唇までの距離、30センチ。
「今度はなんで?」
「んー? なに考えてるのか分かんないってさ」
「ふーん。ま、彼女の選択が正解ね」
「何気に酷いこと言われてない?」
そうだけど? と言いたげに、少しだけこちらを見た。けど、それも一瞬で。
「なー、あきちゃんは気にならない?」
「何が」
「俺の、考えてること」
「…………別に」
「教えてあげよっか」
「…………別に」
どくり、と心拍数が上がる。伝えたいことは喉まででかかっているのに、いつも吐息に溶けてしまう。かっこ悪くないように、平静を取り繕うのが精一杯。
「じゃあさ、あきちゃんの考えてること、教えてよ」
「……あんたみたいな男に振り回される女の子は、愚かで可哀想ね」
「はは、言うね」
誰のせいだと。
「確かに、俺の都合に付き合わせてるだけだよ。言い寄ってくるから、仕方なく相手してんの」
「とんだ色男ね。でも、女の子はひっきりなしに貴方に寄って来るんだからすごい。私には理解しかねる」
「……俺が理解して欲しいのは、1人なんだけどね」
ふっ、と合わさる目と目。見透かすような澄んだ瞳に吸い込まれる。見つめ続けるのは怖い、けれど、逸らすことが出来ない。心臓の裏が、じくりじくりと焦がされていく感覚。興味が薄れたようで、彼女はまた活字を追いだした。
「……貴方のこと、分かってくれる人が現れればいいね」
そんなの現れなくていい。ねえ、知ってる? どうして俺が面倒な女の子達の相手をするのか。
「じゃあ、あきちゃんが俺のこと、分かってよ」
再度交わる視線。そう、女の子と別れた時だけ、話す機会が、君がこちらを見る機会が増えるから。それで、少しでも、ほんのちょっとでいいから、俺のこと意識して欲しくて。たったそれだけの理由なんだよ。
「…………」
彼女は少し困った顔で黙ったまま。もっと、もっと君の感情を揺さぶりたいのに。これ以上は期待出来ないなんて、あんまりじゃないか。
「…………なあ、どうしたら、あきちゃんはずっと俺のこと見てくれんの」
消え入りそうな声で、そっとたずねた。胸が急激に締め付けられる。恋しい気持ちが溢れて、泣きそうだなんて。なんて、かっこ悪い。
「……まず、犬飼が私のことずっと見ていてよ」
本を閉じ、あきちゃんは席を立った。ねえ、期待していいの。
「…………好きだよ。あきちゃんだけが、好きなんだよ」
持ち主のいなくなった机に突っ伏す。告白は、多分届いてない。ああ、神様。彼女のハートを奪う術を俺に教えてくれ。
今回のお別れの言葉はこれ。まあ、そうだろうねとしか思わない。だって、初めからあんたなんかにキョーミなんてない。じゃあ、別れよって言ってからそれっきり。
「犬飼、また別れたんだってね」
「お、あきちゃん情報早いじゃん」
隣の席、あきはちら、とこちらを見ると手元の小説に視線を戻した。メガネの下の、クールな瞳を揺るがしたい。前の席を陣取って、あきの机に肘をつく。唇までの距離、30センチ。
「今度はなんで?」
「んー? なに考えてるのか分かんないってさ」
「ふーん。ま、彼女の選択が正解ね」
「何気に酷いこと言われてない?」
そうだけど? と言いたげに、少しだけこちらを見た。けど、それも一瞬で。
「なー、あきちゃんは気にならない?」
「何が」
「俺の、考えてること」
「…………別に」
「教えてあげよっか」
「…………別に」
どくり、と心拍数が上がる。伝えたいことは喉まででかかっているのに、いつも吐息に溶けてしまう。かっこ悪くないように、平静を取り繕うのが精一杯。
「じゃあさ、あきちゃんの考えてること、教えてよ」
「……あんたみたいな男に振り回される女の子は、愚かで可哀想ね」
「はは、言うね」
誰のせいだと。
「確かに、俺の都合に付き合わせてるだけだよ。言い寄ってくるから、仕方なく相手してんの」
「とんだ色男ね。でも、女の子はひっきりなしに貴方に寄って来るんだからすごい。私には理解しかねる」
「……俺が理解して欲しいのは、1人なんだけどね」
ふっ、と合わさる目と目。見透かすような澄んだ瞳に吸い込まれる。見つめ続けるのは怖い、けれど、逸らすことが出来ない。心臓の裏が、じくりじくりと焦がされていく感覚。興味が薄れたようで、彼女はまた活字を追いだした。
「……貴方のこと、分かってくれる人が現れればいいね」
そんなの現れなくていい。ねえ、知ってる? どうして俺が面倒な女の子達の相手をするのか。
「じゃあ、あきちゃんが俺のこと、分かってよ」
再度交わる視線。そう、女の子と別れた時だけ、話す機会が、君がこちらを見る機会が増えるから。それで、少しでも、ほんのちょっとでいいから、俺のこと意識して欲しくて。たったそれだけの理由なんだよ。
「…………」
彼女は少し困った顔で黙ったまま。もっと、もっと君の感情を揺さぶりたいのに。これ以上は期待出来ないなんて、あんまりじゃないか。
「…………なあ、どうしたら、あきちゃんはずっと俺のこと見てくれんの」
消え入りそうな声で、そっとたずねた。胸が急激に締め付けられる。恋しい気持ちが溢れて、泣きそうだなんて。なんて、かっこ悪い。
「……まず、犬飼が私のことずっと見ていてよ」
本を閉じ、あきちゃんは席を立った。ねえ、期待していいの。
「…………好きだよ。あきちゃんだけが、好きなんだよ」
持ち主のいなくなった机に突っ伏す。告白は、多分届いてない。ああ、神様。彼女のハートを奪う術を俺に教えてくれ。