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恋人が風邪で寝込んでいることを、学校の朝礼で知った。昨日の夜、メールの返信がなかったので、あれ? とは思っていたのだが。あの勇が風邪とは。放課後、お見舞いに行くね、なにか欲しいものある? とメールしたら、アイスの実、あとあきと短く返信がきた。短いのにこっぱずかしいこと言いやがって。けど、アイスの実とはまた可愛らしいものをご所望で。コンビニでアイスの実を買って、勇の家へ向かう。
「あら、わざわざ来てくれたの。いらっしゃい、あきちゃん」
「お邪魔します」
勇のママに挨拶し、2階の勇の部屋へ上がる。勇のママは嬉しそうというか、なんかによによしてらっしゃった。なんだかこそばゆい。
「勇、私。入っていい?」
「ゴホッ、ゴホッ、はい、れよ」
中から掠れた声が聞こえる。ああ、これガチで風邪ひいてるわ。ガチャリとドアを開けると、ベッドの上で身体を起こしていた。顔は上気し、目はとろんとしている。
「馬鹿は風邪ひかないって嘘だったんだね」
「うっせ、ゴホゴホ!」
こいつはかなりしんどそうだ。ベッドのすぐそばに座り、横になるように促す。勇は黙ってそれに従った。
「アイスの実買ってきたよ。今食べる?」
「たべる」
コンビニの袋からアイスの実を取り出し、封を開ける。仕方ないから、食べさせてあげるか。ひとつつまみ、勇の口元に持っていく。力無く開けられた口に、ころん、と放り込んだ。
「美味しい?」
「ん」
んあ、と口を開けるのでまたひとつ転がしてやる。いつもより数段大人しい恋人は、なんだか可愛らしい。何回か繰り返してやると、勇は口を閉じてこちらを見た。
「? もういらない?」
「なあ、口移ししてくれよ」
「はあ?」
前言撤回。勇は熱出てても勇だった。
「風邪移るじゃん、やだよ」
「口移し」
「しない」
「なーあき」
「…………」
私を見つめる瞳はうるんでいる。悔しいが、うるんでいなくても勇の瞳に私は弱い。しかも、勇は言い出したら聞かないから困ったものだ。はぁーと息を吐き出し、アイスの実を口に含んだ。
「お、してくれんの」
「いっはひらけらからね」
一回だけ、という意図は今ので伝わっただろうか。いつもより熱い頬に手を添える。そして、突き出された唇に自分のそれを重ね、舌でアイスを押し込んでやった。しかし、離れようとしたら、頭の後ろを抑えられてしまった。そのまま、舌を差し込まれる。
「ん、んう!」
体温の高い舌に絡め取られる。2人の口内でアイスが溶けてなくなる。すると今度は唇を味わうように吸われた。熱が出ていても、男の力にかなうわけもなく、されるがままになってしまう。
「ごちそうさま」
「っ、馬鹿!」
風邪のせいで掠れていつもより色っぽい声。至近距離でにやりと笑う勇に、私まで体温が上がってしまう。耐えきれなくなって離れた。勇はいつもの調子でくつくつ笑っていたが、そのうちに盛大に咳き込み出した。
「ちょっと、大丈夫?」
「ゴホッ、はぁーしんど。あき、もっかいして?」
「大人しく寝てろ!」
呆れて軽く額を叩いてやった。いて、と言うと勇は大人しくなった。勇の荒い息遣いがやけに部屋に響く。
「…………辛そうだし、私そろそろ帰るよ」
「ダメ、ここにいろ」
そんな風に言われたら、帰れないじゃない。観念して、ベッドにもたれかかる。
「早く治してよね。勇いないと学校つまんない」
「愛されてんなー俺」
またこういうこっぱずかしいことをさらりと言う。照れ隠しにもう一回額を叩いてやった。
「あら、わざわざ来てくれたの。いらっしゃい、あきちゃん」
「お邪魔します」
勇のママに挨拶し、2階の勇の部屋へ上がる。勇のママは嬉しそうというか、なんかによによしてらっしゃった。なんだかこそばゆい。
「勇、私。入っていい?」
「ゴホッ、ゴホッ、はい、れよ」
中から掠れた声が聞こえる。ああ、これガチで風邪ひいてるわ。ガチャリとドアを開けると、ベッドの上で身体を起こしていた。顔は上気し、目はとろんとしている。
「馬鹿は風邪ひかないって嘘だったんだね」
「うっせ、ゴホゴホ!」
こいつはかなりしんどそうだ。ベッドのすぐそばに座り、横になるように促す。勇は黙ってそれに従った。
「アイスの実買ってきたよ。今食べる?」
「たべる」
コンビニの袋からアイスの実を取り出し、封を開ける。仕方ないから、食べさせてあげるか。ひとつつまみ、勇の口元に持っていく。力無く開けられた口に、ころん、と放り込んだ。
「美味しい?」
「ん」
んあ、と口を開けるのでまたひとつ転がしてやる。いつもより数段大人しい恋人は、なんだか可愛らしい。何回か繰り返してやると、勇は口を閉じてこちらを見た。
「? もういらない?」
「なあ、口移ししてくれよ」
「はあ?」
前言撤回。勇は熱出てても勇だった。
「風邪移るじゃん、やだよ」
「口移し」
「しない」
「なーあき」
「…………」
私を見つめる瞳はうるんでいる。悔しいが、うるんでいなくても勇の瞳に私は弱い。しかも、勇は言い出したら聞かないから困ったものだ。はぁーと息を吐き出し、アイスの実を口に含んだ。
「お、してくれんの」
「いっはひらけらからね」
一回だけ、という意図は今ので伝わっただろうか。いつもより熱い頬に手を添える。そして、突き出された唇に自分のそれを重ね、舌でアイスを押し込んでやった。しかし、離れようとしたら、頭の後ろを抑えられてしまった。そのまま、舌を差し込まれる。
「ん、んう!」
体温の高い舌に絡め取られる。2人の口内でアイスが溶けてなくなる。すると今度は唇を味わうように吸われた。熱が出ていても、男の力にかなうわけもなく、されるがままになってしまう。
「ごちそうさま」
「っ、馬鹿!」
風邪のせいで掠れていつもより色っぽい声。至近距離でにやりと笑う勇に、私まで体温が上がってしまう。耐えきれなくなって離れた。勇はいつもの調子でくつくつ笑っていたが、そのうちに盛大に咳き込み出した。
「ちょっと、大丈夫?」
「ゴホッ、はぁーしんど。あき、もっかいして?」
「大人しく寝てろ!」
呆れて軽く額を叩いてやった。いて、と言うと勇は大人しくなった。勇の荒い息遣いがやけに部屋に響く。
「…………辛そうだし、私そろそろ帰るよ」
「ダメ、ここにいろ」
そんな風に言われたら、帰れないじゃない。観念して、ベッドにもたれかかる。
「早く治してよね。勇いないと学校つまんない」
「愛されてんなー俺」
またこういうこっぱずかしいことをさらりと言う。照れ隠しにもう一回額を叩いてやった。